道・東北地区小学校家庭科教育研究大会 生活見つめ直す学習を 7年ぶり開催、分科会等で研鑚(関係団体 2019-10-16付)
全道や東北から教員、学生ら約140人が参加した
道小学校家庭科教育連盟(石澤優子会長)と道・東北地区小学校家庭科教育研究会は11日、札幌市立厚別北小学校(鷲足和枝校長)で第34回道・東北地区小学校家庭科教育研究大会北海道大会兼第57回道小学校家庭科教育研究大会札幌大会兼第13回札幌市小学校家庭科教育研究大会を開いた。道・東北大会の本道での開催は7年ぶり。全道や東北から教諭、栄養教諭、学生ら約140人が参加した。大会主題は「豊かな心と実践力を育み、未来を拓く家庭科教育」。開会式で石澤会長は、家庭科教育の果たす役割を説明。生活をみつめ直し、子どもの言葉、行動が変化する学習の大切さを訴えた。
同連盟は本年度、研究主題「自らよりよい生活を創り出す子ども」に沿って、①日常生活から疑問や気付きを生む題材構成②子どもの言葉や行動が変化する教師のかかわり―の2つの視点で研究を進めている。
①では、「生活経験や既習内容とのつながりから解決の見通しがもて、体験や活動を通し生活の知恵や価値観の多様性に気づいていく題材構成」を授業づくりに取り入れるため、生活アンケートや意識調査によって児童の実態を把握。題材の目標や育てたい力を明確化している。
②では、児童の発想を生かしながら、活動を通して課題を解決していく場の設定や教師の意図的なかかわりを通し、日常生活での行動につながる学習を目指している。児童の知識や技能、心情の変化を学習の前後で比較できるよう、子どもの変化見取り表を作成した。
開会式では、石澤会長があいさつ。「未来を担う子どもたちには、今後の社会の急激な変化に主体的に対応し、生活をより良くしようと工夫する資質・能力を育成することが求められている」とした上で、「生きる力」を育む根幹をなす家庭科教育の果たす役割を強調した。
「生活をみつめなおし、子どもの言葉や行動が変化する学習」を大切にし、研究を進めてきたことを紹介。大会が小学校家庭科教育の充実と発展に資することを祈念した。
続いて、道教委の佐藤嘉大教育長に代わり、土井寿彦学校教育監が祝辞。小学校家庭科で育成したい資質・能力を挙げた上で、子どもの課題意識が生まれる題材の工夫や授業改善などについて研究を深める大会の成果に期待を寄せた。
開会式終了後、研究提言や授業公開のほか、分科会交流などを実施。各分科会から大会研究部が発表し、後志教育局義務教育指導班の鈴木理抄主任指導主事、札幌市教委研修担当課の髙梨美奈子研修担当係長、道教育大学札幌校の佐々木貴子教授、同大旭川校の川邊淳子教授がそれぞれ講評・助言を行った。
記念講演では、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官の丸山早苗氏が登壇。「新学習指導要領における家庭科の学習指導と評価」と題し、学習指導要領改訂のポイントや家庭科における目標・内容の改善などについて解説した。
◆正しい手順で調理しよう 札幌市厚別北小5年授業
会場となった札幌市立厚別北小学校では、5年2組家庭科「食べて元気に~家族レストラン」(児童数32人)の授業を公開。同校の滝沢将大教諭と札幌市立厚別通小学校の村端志津恵栄養教諭が「見た目・香り・味」を観点に、みその加熱時間を変えて、みそ汁を比較する体験を通し、みその扱い方を学ぶとともに、風味を生かす伝統的な調理手順の意味を知り、調理への意欲を高める授業を展開した。
題材「食べて元気に~家族レストラン」は、和食のよさや栄養バランスの大切さに気付くとともに、炊飯とみそ汁の調理を通して、調理の楽しさや家族に喜んでもらえる喜びを実感させるもの。
これまで児童は、家族レストランの開催に向けて、五大栄養素の働きや、みそ汁のだしの良さ・取り方などについて学習してきた。
本時は11時間扱いの5時間目。目標を「みそを入れてからの加熱時間によって、みそ汁の香りや味に違いがあることに気付き、香りや味を損なわないみその扱いが分かる」と設定した。
はじめに、滝沢教諭はみそを入れるタイミングで違いが出るかを問題提起。児童から「あとから入れた方が味が薄くなると思う」「あとから入れるとみそが残ってしまう」などの予想を引き出した上で、「加熱時間を変えると違いは出るのだろうか」と課題を提示した。
違いを確かめるための具体的な視点として、目・鼻・口の3点を挙げ、見た目や香り、味の違いを比べることを確認した。
みその加熱時間以外はすべて同条件になるよう用意した2つの鍋を火にかけた。Aの鍋には沸騰してすぐにみそを溶かし入れ、再度沸騰させた。最後に火を止め、Bの鍋にもみそを投入。AとBのみそ汁を紙コップに入れ、グループ交流しながら見た目や香り、味の観点で違いを比較させた。
全体交流では「見た目はどちらも変わらなかった」「Aは煮干しの香り、Bはみその香りが強かった」「Bはみその味が濃かった」など、児童の意見を表にまとめながら板書。みその加熱時間によって香りや味に違いがあることをまとめた。
このあと、村端栄養教諭が補足説明。みそを長時間加熱すると、みその風味だけでなく栄養も少なくなってしまうことを伝えた上で「伝統的につくられている料理の手順には意味がある」と話し、正しい手順で調理することへの意欲を高めた。
授業の振り返りでは、「加熱時間が短いとたくさん良いことがあると分かった」「加熱時間を変えるだけで、味だけでなく栄養にも関係することが分かった」「つくったみそ汁をずっと置いておいたら、栄養はなくなるのかな」などの感想や疑問が挙がった。
(関係団体 2019-10-16付)
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