第61回道音楽教育研究旭川上川大会 豊かなかかわり大切に 300人参加し研究深める(関係団体 2019-10-17付)
一層の交流を呼びかける横山大会長
【旭川発】第61回道音楽教育研究大会旭川上川大会が11日、旭川市立神居東小学校などで開催された。全道各地から約300人が参加。全道共通主題「音楽のよさを生かし、豊かな心と確かな力を育む音楽教育」のもと、小学校3つ、中学校2つ、高校1つの公開授業などを実施。音楽のよさや美しさを感じ、音楽と豊かにかかわる力を育む音楽教育の充実に向け、成果を発信した。
主催は道音楽教育連盟(=北音教、全日本音楽教育研究会道支部)、道高校音楽教育研究会(=高音研)。
大会は、全道共通主題のもと、旭川上川大会主題「音楽のよさや美しさを感じ、音楽と豊かに関わる力を育む音楽教育の創造~音とつながる 心がつながる 生活とつながる」と設定。①音楽と豊かにかかわる力を育む指導計画②協働的に学び、音楽と豊かにかかわる力を育む学習活動③学びを深め指導に生かす評価―の3点を視点として研究を推進している。
また、各学校の特色や授業実践の研究との関連を踏まえ、校種別主題も設定。小学校研究主題は「音楽との出会い つくろう音の輪」、中学校研究主題は「伝え合う喜び 広げよう音の輪」、高校研究主題は「高め合う喜び 深めよう感動体験」とした。
この日、各会場で公開授業や研究協議を行ったほか、高音研、北音教それぞれ総会を開催。このあと、旭川市民文化会館に会場を移し、開会式を執り行った。
冒頭、横山学大会長があいさつ。全道大会は、昭和31年に旭川市で第3回全国音楽教育研究大会を兼ねて第1回が開催され、34年から毎年、北音教各支部が主管し61回目を迎える歴史ある研究大会であることを紹介。
旭川・上川地区が過去に全国大会を含め計11回の大会を主管し、「今回が、平成25年の第55回大会以来6年ぶり、12回目の開催となる」と振り返った。教育改革の動向にふれながら、「これからの音楽教育について語り合い、交流を図ってほしい」と呼びかけた。
続いて、尾﨑朋子実行委員長があいさつ。大会開催に向け、これまでの成果と財産を受け継ぐとともに新たな時代を見据え、より充実・発展したものとなるよう、旭川・上川地区の総力を挙げて取り組んできたことを説明した。
また、大会主題にふれ、音楽を知覚・感受する力を伸ばし、他者と協働しながら、表したい音楽表現を生み出したり音楽の良さなどを見いだしたりして、音楽と豊かにかかわる力を身に付けていく子どもの姿を求め研究を進めてきたことを強調。
その上で、「今後の音楽教育の充実に生かしていきたい」と述べた。
さらに、旭川市教委の黒蕨真一教育長と上川教育局の河野秀平局長が祝辞。
黒蕨教育長は、旭川市が“音楽のまち”と呼ばれ、音楽に対する市民の関心が高いものとして、季節を彩るイベントの開催や少年団活動や部活動では各種コンクールで入賞を果たすなど、質の高さが全道、全国から高い評価を得ていることを紹介。「市で実践を交流し研究を深められることは大変意義深い」と述べ、成果に期待を寄せた。
河野局長は「優れた実践の交流を図るとともに、組織的・計画的に実践研究を積み重ねてくるなど、本道の音楽教育の充実・発展に多大な貢献を果たしてきたことに深く敬意を表する」と述べた。
このあと、文部科学省初等中等教育局教育課程課の臼井学教科調査官による全体講評を行った。
また、記念演奏として、演奏会テーマ「未来につなげよう ぼくらの音楽」のもと、上川・旭川地区の児童生徒が学校や校種、地域を越えた合同の合唱や合奏などを披露した。
◆旋律の特徴感じ取ろう 旭川市神楽小4年 小学校部会
小学校部会は、神居東小を会場に旭川市立永山西小学校2年生、旭川市立神楽小学校4年生、旭川市立緑新小学校6年生の授業を公開。うち、神楽小4年2組(青井加奈恵教諭、児童数25人)は「せんりつのとくちょうを感じ取ろう」の授業を実施した。
本時は2時間扱いの2時間目。
児童は3学年時に、バイオリンの生演奏を聴いてその音色に親しんだり、金管楽器の音色を聞き比べたりしながら、音色の美しさなどについて感じ取る学習に取り組んできた。
4学年時では、既習を生かし、前時に「美しきロスマリン」の旋律の特徴に気を付けて聴き、曲想やその変化を感じ取る授業を行った。その上で、本時は「“白鳥”の旋律の特徴に気を付けて聴き、曲想やその変化とそれらを生み出している音楽の構造とのかかわりを感じ取りながら、味わって聴く」ことを目標とした。
はじめに、青井教諭は「白鳥」の音楽の中にチェロが使われていることに気付かせ、チェロの形や大きさなど、特徴を紹介。曲中で、チェロは何を表しながら音色を奏でているのかを児童たちに考えさせた。
児童たちは「羽を広げている感じ」「海や湖に浮かんでいるように聞こえる」などと発表した。
旋律から生み出されるものや面白さをより深く感じ取らせるため、音の動きに気を付け、映像を視聴しながら白鳥の旋律を聴かせた。
その際、ワークシートに気付いたことや感じたことなどを記入するよう促し、全体交流した。
全体交流では、曲想やその変化、音楽の構造とのかかわりについて、児童たちは「空を見上げて、ゆっくりと泳いでる様子」「ゆったりとした曲から白鳥が羽ばたこうとしている」などと、意見を交わした。
◆情景とのかかわり考察 旭川市東光中1年 中学校部会
中学校部会は、旭川市立東明中学校を会場に、旭川市立東光中学校1年生と鷹栖町立鷹栖中学校2年生の授業を公開した。うち、東光中1年3組(北島慎也教諭、生徒数33人)は「情景と曲想との関わりを感じ取ろう」の授業を実施した。
本時は、3時間扱いの2時間目。情景の変化を曲想とかかわらせながら、音楽の良さや美しさを感じ取ることを目標とした。
生徒たちは、前時までに「ブルタバ(モルダウ)」の楽曲全体を聞き、楽器の音色や曲想の変化を感じ取った。中でも、「ブルタバの2つの水源」「村の結婚式」の場面について、曲の印象やイメージを考え、音楽の構造について理解を深めることなどを学習した。
はじめに、北島教諭は前時の学習を想起させ、本時の課題「情景の変化と曲想とのかかわりを考えよう」と呼びかけた。楽曲から「月、水の精の踊り」の場面を取り上げ、動画を視聴し、どのような情景が思い浮かぶかを考えさせた。
生徒たちは「雲の上にいる感じ」「夢を見ているような感覚」などと話していた。この際、北島教諭は「音色はどのようなものがあったか」「どのような楽器が使われているのかな」などと発問して、意見を発表させた。
続いて、音楽が形づくられる様子などを感じ取らせるため、再度、動画を視聴して音色が変わるところに気付いたら挙手するよう指示。生徒たちが手を挙げたところが分かるよう、動画で映し出されている演奏時間の変化がみられた個所に印を付けた。
また、印を付けた区間の音色や奏でられている楽器などを考えさせたほか、バイオリンやフルート、ハープなどが使われていることに気付かせた。
その上で、北島教諭は、今回取り上げた「月、水の精の踊り」の場面について解説。作者の思いや、情景などについて説明した。
最後に、生徒たちは曲を聴きながら、ワークシートに本時の振り返りを記入。生徒たちは「音が重なるところがきれいだった。作者の曲づくりの工夫を知ることができた」「暗い雰囲気から、だんだん明るく力強くなる曲調がとても良かった」などと感想を書いていた。
(関係団体 2019-10-17付)
その他の記事( 関係団体)
札教研事業秋の研究集会―札幌市教委③分析・解釈力を培う
札幌市教委は16日、令和元年度札幌市教育研究推進事業(=札教研事業)秋の研究集会を市内各校で開いた。小・中学校、中等教育学校、特別支援学校の教職員が、各研究部で協議・実践交流等を展開。資質...(2019-10-21) 全て読む
札教研事業秋の研究集会―札幌市教委①責任ある行動とは
札幌市教委は16日、令和元年度札幌市教育研究推進事業(=札教研事業)秋の研究集会を市内各校で開いた。小・中学校、中等教育学校、特別支援学校の教職員が、各研究部で協議・実践交流等を展開。資質...(2019-10-21) 全て読む
人材育成へ知見高め 100人参加し研究大会開く 空知教頭会
【岩見沢発】空知教頭会(松野岳彦会長)は8月上旬、岩見沢市内のホテルサンプラザで研究大会を開いた。管内の教頭・主幹教諭約100人が参加。研究主題に「豊かな人間性と創造性をはぐくむ学校教育」...(2019-10-18) 全て読む
言葉の担い手育む授業へ 道国語教育研究大会札幌大会
道国語教育連盟(若松広美委員長)は11日、札幌市内の小・中学校を会場に、第74回道国語教育研究大会札幌大会を開催した。研究主題「言語活動を通して言葉への自覚を高め、言葉の力が身に付く国語科...(2019-10-17) 全て読む
札幌地区社会科教育研究大会開く 本質的な問いを重視 市内4校で5授業公開
札幌市社会科教育連盟(山下豊委員長)は4・7・9・10日の4日間、市立小・中学校4校で第47回札幌地区社会科教育研究大会を開いた。小学校3~6学年および中学校2学年の計5授業を公開。各学年...(2019-10-17) 全て読む
道社会教育研究大会十勝大会開く 活動基盤は市町村に 人生100年時代の地域づくり
【帯広発】第59回道社会教育研究大会十勝大会兼全国社会教育委員連合道ブロック大会が10日から2日間、帯広市民文化ホール・とかちプラザで開かれた。全道各地から社会教育委員や社会教育関係者約4...(2019-10-17) 全て読む
道・東北地区小学校家庭科教育研究大会 生活見つめ直す学習を 7年ぶり開催、分科会等で研鑚
道小学校家庭科教育連盟(石澤優子会長)と道・東北地区小学校家庭科教育研究会は11日、札幌市立厚別北小学校(鷲足和枝校長)で第34回道・東北地区小学校家庭科教育研究大会北海道大会兼第57回道...(2019-10-16) 全て読む
道公務共闘地公連絡会が道人事委員会勧告に対し声明 生活改善にはほど遠い 労働環境整備へ要求実現を
道高教組(尾張聡中央執行委員長)、道教組(川村安浩執行委員長)などで構成する道公務・公共業務労働組合(=道公務共闘)地公連絡会は7日、道人事委員会勧告に対する声明を発表した。「6年連続の引...(2019-10-16) 全て読む
札幌で北日本図書館連盟研究協議会 地域とつながる企画とは 道内開催は平成23年度以来
北日本図書館連盟研究協議会兼全道図書館専門研修(企画・広報)が9日から2日間、札幌市中央図書館で開かれた。平成23年度以来の道内開催で、北海道・東北の図書館等職員ら約80人が参加。「アイデ...(2019-10-15) 全て読む
市町村校長会長連絡協議会開く 働き方改革など協議 及川指導監が情報提供 オホーツク小中校長会
【網走発】オホーツク管内小中学校長会(潮田信会長)は4日、北見市内の端野町公民館で第2回市町村校長会長連絡協議会を開いた。管内校長会の役員、18市町村の校長会長が出席。オホーツク教育局の及...(2019-10-15) 全て読む