道公務共闘地公連絡会が道人事委員会勧告に対し声明 生活改善にはほど遠い 労働環境整備へ要求実現を
(関係団体 2019-10-16付)

 道高教組(尾張聡中央執行委員長)、道教組(川村安浩執行委員長)などで構成する道公務・公共業務労働組合(=道公務共闘)地公連絡会は7日、道人事委員会勧告に対する声明を発表した。「6年連続の引き上げはこの間の取組の成果といえるものの、物価上昇分にも満たない改定」としたほか、職務上の重責を担う中高年齢層への配分がないことや、17年間に及ぶ道独自削減、昨年の現給保障廃止などを踏まえ「生活改善にはほど遠い勧告」と批判。今後、「超勤の根本的な解消と安定した公務公共サービス実現のため、抜本的な定数改善」「賃金や手当の改善、希望者全員の再任用と長時間過密労働の解消など、労働環境整備の諸要求の実現」を求めていくことを表明した。声明の概要はつぎのとおり。

 道人事委員会は10月4日、知事と道議会に対し、道職員・教職員の本年度の給与等についての勧告と報告を行った。

 この間、道公務共闘は道人事委員会と2回の交渉を行い、学校の「穴あき」問題や人材確保、再任用、超勤解消などについて、現場の実態と切実な要求を届けてきたが、今回の勧告は、我々の労働基本権制約の代償機関としての役割を果たしたとは到底言えない内容である。

1 勧告の主な内容

(1)月例給・一時金ともに6年連続の引き上げ

①月例給の引き上げ

ア 月例給公民較差458円(0・12%)

イ 給料表(行政職給料表の場合)は、人事院勧告の内容に準じて引き上げ。大卒程度初任給を1500円、高卒者初任給は2000円引き上げ、若年層についても所要の改定。教育職は全国人事委員会連合会のモデル給料表の内容を勘案し改定

②一時金は4・50月(再任用は改定なし)

 現在の4・45月を4・50月に、勤勉手当に配分

(2)住居手当の支給対象となる家賃額の下限と手当額の上限を1000円引き上げ

(3)実施時期

 本年4月にさかのぼり実施。住居手当の見直しは2020年4月から実施

2 高齢層職員への配分は全くなし、若年層も含め生活改善にほど遠い勧告

 月例給は、民間より0・12%(458円)低いとして、行政職給料表の場合、人事院勧告に準じて大卒程度初任給を1500円、高卒者初任給を2000円引き上げ、若年層についても所要の改定を行うとした。

 6年連続の引き上げはこの間の取組の成果といえるものの、物価上昇分にも満たない改定であり、職務上の重責を担う中高年齢層への配分は全くない上に、17年間に及ぶ道独自削減や昨年の現給保障廃止などを踏まえると、生活改善にはほど遠い勧告と言わなければならない。

 一時金は国並みの4・50月、「勤務実績に応じた給与を推進する」として引き上げ分をすべて勤勉手当に配分するとしたが、「国並み」への引き上げは最小限の努力であり、すべてを差別的な勤勉手当に充てるとした勧告には断固反対する。

 また、住居手当の支給対象となる家賃額の下限を、現行の1万2000円から1万3000円に引き上げ、手当額の上限を現行の2万7000円から2万8000円に引き上げるとの見直しを示した。

 北海道の職員住宅の使用料や民間の支給状況なども踏まえ、手当支給対象職員の6割が1000円の引き上げとなるが、4割の職員は最大で月1000円の引下げとなり、人事院勧告より減額幅は小さいものの、比較的家賃の安い住居を借りている職員が不利益を被ることは容認できない。

3 雇用と年金の接続および再任用職員の待遇改善は喫緊の課題

 2018年3月末の定年退職者から年金支給開始年齢が満63歳となり、雇用と年金の接続はより切実な課題となっているにもかかわらず、北海道における教員の再任用の状況は改善したとはいえない。本年度の再任用率は、小学校で92・6%、中学校90・5%、高校77・4%、特別支援学校93・9%と、特に高校の再任用率の低さが際だっている。

 公務運営に関する報告は、「再任用職員数は増加傾向で推移」「地方勤務を促す取組を一層進める必要」など例年同様の内容にとどまり、再任用職員の月例給・一時金とも改善せず、一般職員との待遇格差も放置している。

 民間では定年前と再雇用の社員の手当に格差を設ける場合、「各賃金項目の趣旨を個別に考慮すべき」との最高裁判決によって、不合理な労働条件の相違は法律で禁止されている。道人事委員会は国・民間準拠のみに拘泥するのではなく、これらの状況を踏まえて合理的な労働条件の決定が行われるよう役割を果たすべきである。

 また、国も全体像を示していない定年延長については、「国の動向を注視する」しかないとしても、当面は現行の再任用制度の継続が見込まれることから、今、職場で奮闘している再任用職員の処遇を大きく引き上げるべきである。

 引き続き、希望者全員の再任用、および寒冷地手当やへき地手当などの生活関連手当の支給などの待遇改善を強く求めていく。

4 臨時・非常勤職員の労働条件改善は道人事委員会の責務

 地方公務員法および地方自治法の一部改正によって、地方公務員の臨時・非常勤職員の「任用」が厳格化され、新たな「会計年度任用職員制度」が2020年4月から開始されるが、今回の報告では「臨時・非常勤職員の適正な任用・勤務条件を確保するため(中略)、任命権者は、制度の円滑な導入および適切な運用を図っていく必要がある」と言及するのみにとどまった。この任命権者まかせの機械的な物言いは、臨時・非常勤職員の労働基本権の代償機関としての責任を放棄していると言わざるを得ない。

 また、民間企業では、改正労働契約法に「無期転換」や、同じ仕事をしていれば同じ待遇にすべきという「同一労働同一賃金」が法制化され、すべての労働者の雇用の安定と待遇改善の方向に進んでいる。公務職場においてもこの理念を実現するため、今後とも臨時職員・非常勤職員の雇用の安定を図り、賃金および労働条件の改善を求めていく。

5 「定数増」こそが「実効性のある」超勤解消策

 労働者全体の働き方の見直しが進む中、道教委は教職員の超勤解消に向け、昨年4月に「北海道アクション・プラン」を策定したが、学校現場の超勤解消は遅々として進んでいない。

 しかし、公務運営に関する報告では「教育委員会は、早期に教員の勤務時間の客観的な把握に努めるなど、引き続き当該アクション・プランに基づいた取組を着実に進めていく必要がある」としただけで、昨年の報告にあった「実効性のある」との文言すらなく、ましてや根本的解決を図るための教職員の定数増についてはふれていない。

 道人事委員会として、任命権者に「実効ある」取組を進めるよう促すだけでなく、取組状況を詳細に把握し検証すること、そして何より「業務量に応じた人員確保の必要性」に言及すべきである。今後、超勤の根本的な解消と安定した公務公共サービス実現のため、抜本的な定数改善を道・道教委に対し求めていく。

 公務員賃金は、公務労働者はもちろんすべての労働者の賃金や最低賃金にも影響するものである。

 今後は、民間労働組合や民主団体と共同し、任命権者との賃金確定交渉において、賃金や手当の改善、希望者全員の再任用と長時間過密労働の解消など、労働環境整備の諸要求の実現と合わせて、憲法を守り生かす道民本位の道政の実現を目指し、総力を挙げてたたかうものである。

(関係団体 2019-10-16付)

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