札幌地区社会科教育研究大会開く 本質的な問いを重視 市内4校で5授業公開(関係団体 2019-10-17付)
情報の有効活用について学んだ
札幌市社会科教育連盟(山下豊委員長)は4・7・9・10日の4日間、市立小・中学校4校で第47回札幌地区社会科教育研究大会を開いた。小学校3~6学年および中学校2学年の計5授業を公開。各学年および校種ごとの分科会を通して、社会科教育の在り方について研究を深めた。
本年度からの4ヵ年継続研究主題として、小学校は「見方・考え方を鍛え、生きて働く資質・能力を確かに育む社会科の学び」、中学校は「社会を知り、未来のよりよい社会を思い描き、社会とのつながりを広げたり深めたりしようと行動する子の育成」とそれぞれ設定している。
小学校、中学校いずれも研究の柱に、①本質的な問いを重視した問題解決学習②協働的な社会科らしい学び③確かに育まれる資質・能力―の3点を据えて研究を進めている。
4日は桑園小学校で小学校3・4学年の部会を、7日は日新小学校で小学校5学年部会を、9日は丘珠中学校で中学校部会を、10日は幌西小学校で小学校6学年部会をそれぞれ実施。4日間で延べ190人が参加した。
◆日新小5年2組 放送局の取組など学ぶ
7日の小学校研究部第5学年部会では、日新小5年2組(児童数37人)「情報科した社会とわたしたちの生活~誰でも情報発信できる時代の情報産業」の授業を小沼明日騎教諭が指導。「放送局はどうして一般の方からの情報を使っているの?」を本時の問いとして、誰もが情報発信可能な現代における放送局の取組と想いを学んだ。
本時は7時間扱いの6時間目。「誰でも情報を発信できる現代において、情報の信頼性を高める放送局の工夫を理解し、必要な情報を選択・判断できる子どもを目指す」ことを目標に授業を展開した。
冒頭、小沼教諭は九州で発生した災害のニュース映像を児童に視聴させた。
近年のテレビ番組等の制作では視聴者投稿が行われているほか、緊急時には一般人が撮影した映像を使用している傾向があることを踏まえ、本時の問いを「放送局は、どうして一般の方からの情報を使っているの?」と設定。
児童は「(現地に)行こうと思っても行けないから」「より早く情報を届けたいから」「現地の情報としてより分かりやすいから」などと発言。回答を踏まえ、小沼教諭は「放送局はどうして早く分かりやすく伝えたいのか」と児童に問いかけた。
児童は「(災害などは)危ないから早く非難してほしいのだと思う」「放送局の人が危ないから」などの意見を挙げた。一般の情報を活用することで視聴者がより早く判断・行動してほしいという放送局の思いを伝えた。
さらに、「一般の方からの情報は本当に正しいのか」と質問。児童は「間違っているものもあると思う」などと回答した。小沼教諭は「情報を伝達する速さも大事だけど正確さも大事」などと呼びかけた上で、放送局が事実に責任をもち、視聴者からの情報も正確に判断した上で報道していることや現場に行かなくても情報の正確さを重要視していることなどを伝えた。
授業後の分科会では、「既習の積み重ねができていることが児童の反応の良さから伺えた」などの意見が寄せられた。
◆丘珠中2年1組 課題解決の視点とらえ
9日に丘珠中で開かれた中学校部会では、同校の大坂聡教諭が2年1組(生徒数39人)の地理的分野「日本の諸地域~中国・四国地方」を公開。大坂教諭は、過疎地域の地域活性化の取組を調べる学習を行うなど、課題解決に向けた視点や考え方についてとらえるよう授業を展開した。
授業は6時間扱いの5時間目。本時の目標を「中国・四国地方で行われている地域活性化の取組と効果を上げた条件を調査することで、人々がどのように過疎の課題解決に取り組んでいるかを理解する」「取組が効果を上げている理由を考えることを通して、地域活性化のためにどのような視点や考え方が重要かを考える」と設定した。
単元では、これまで中国・四国地方の人口分布のほか、人口減少や少子高齢化が進む過疎地域の実態や課題について学習。また、徳島県上勝町について、人口や地形のほか、「シャッター通り」「自給自足」など、上勝町に対する生徒のイメージを確認してきた。
授業で、大坂教諭は黒板の掲示物から上勝町を振り返ったあと、人口1500人程度の上勝町に年間約4500人の視察者が訪れていることを紹介。上勝町が料理のつまものに使う葉っぱビジネスに取り組んでることにふれ、葉っぱビジネスがなぜ成功したのか問いかけた。
グループ内で地図・画像チームと地図・年表チーム別に、それぞれの資料から分かることを付せんに書かせた。また、グループ内で付せんに書いたことを分類させた。
全体交流では、「高齢の女性」「山間部は自然がいっぱい」「交通の便が良くなっている」など分類した項目を紹介。過疎地域の一般的に不利な条件が着目の仕方で地域を活性化する条件となること、あらためて交通や通信の発達が取組の効果を上げることに気付かせた。
また、上勝町は財政難でごみ焼却施設を建てられないことから、ごみをなくすためのゼロウェイスト運動に取り組んでいることを説明するなど、発想を柔軟にして地域活性化に取り組んでいることを理解させた。
分科会では、過疎地域の課題をとらえるため、葉っぱビジネスやゼロウェイスト運動の指導に関する意見が挙がった。
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グループで葉っぱビジネスの取組について調べた
(関係団体 2019-10-17付)
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