【解説】３０年度体力・運動能力調査報告

（解説 2019-10-25付）

　スポーツ庁は、平成３０年度体力・運動能力調査報告書をまとめた。青少年（６～１９歳）の体力・運動能力は、１０年ころから上昇傾向にあると報告。就学前の外遊びが、のちの運動・スポーツ習慣の形成、高水準の体力の維持につながると分析している。

　調査は、国民の体力・運動能力の現状を明らかにし、体育・スポーツの指導と行政上の基礎資料とすることが目的。今回、平成元年度から３０年度までの結果を概観し、分析した。

　各年代における青少年の体力・運動能力の推移をみると、昭和６０年ころから続いていた体力低下は１０年ころから歯止めがかかり、体力テストの合計点は上昇傾向が続く。

　一方、３０年度とピーク時の昭和６０年ころを比較すると、握力、５０㍍走、持久走、立ち幅跳び、ボール投げの結果は、中学生と高校生男子の５０㍍走を除いて低い水準にある。

　最近１０年間の変化では、男女のボール投げ、中学生以上の男子の握力が低下しており、その他の項目では横ばい、または向上傾向にある。

　青少年が週１日以上運動・スポーツを実施している割合は、平成を通じて大きな変化はなく、横ばいで推移。男女ともに７～１１歳まで割合が高く、それ以降は低くなる。女子は年代の変化に顕著な差があることが特徴となっている。

　３０年度調査における就学前の外遊びの実施状況と体力の関連をみると、小学校入学前に「週に６日以上」または「週に４～５日」外で体を動かす遊びをしていた群は「週に２～３日」以下の群よりも合計点が高い。

　このため、幼児期の外遊びがのちの運動・スポーツ習慣につながり、高い水準の体力を維持する要因の一つになっていると考察している。

(解説 2019-10-25付)