道教育大附属札幌中が道徳科学習会　“畏敬の念”を考える　心の豊かさ現れる場面通し

（学校 2019-12-04付）

２年生の山田教諭の授業

　道教育大附属札幌中学校（佐々木貴子校長）は２２日、同校で令和元年度道徳科学習会を開いた。３学年の３授業を公開したほか、研究討議を実施し、道徳科の在り方について考えを深めた。２年Ｃ組では山田浩之教諭が「本当の豊かさとは」を指導。旅行先の人々の心の豊かさが現れる場面を通して畏敬の念について考えさせる授業を展開した。

　学習会は、公開授業や研究討議を通して考え、議論する道徳の授業づくりについて学ぶことがねらい。

　２年Ｃ組（生徒数３６人）「本当の豊かさとは」は山田教諭が指導。本時の目標を「坂本達さんの旅行記の中での出来事や現地に生きる人々の心情や行動について考える活動を通して、心の豊かさをもった人々と人々の行為、その人々を育んできた自然そのものに対し、畏敬の念を感じる道徳的心情を育む」と設定した。

　山田教諭は、市販の著書を活用した自作の教材で授業を展開した。

　旅行先では現地の人も困窮した状況にもかかわらず坂本さんに食料を分けた人がいたことなど、地図を用いて前時を振り返った。過酷な環境で力強く生き抜く人々の心の豊かさを明確にさせることで、人間としての生き方をより多面的・多角的に考えることができるようにねらった。

　山田教諭は旅行の先々で何度も助けられたことについて、坂本さんが「何かが一つ一つの出会いや出来事をつなぎ合わせてくれている気がしてならなかった」と感じたのは、どのような思いからなのかと発問。生徒から「イメージできない」「運命」などと意見が出た。

　続いて、坂本さんがギニアでマラリアになったものの、村の医師から村で最後の薬をもらったエピソードを範読。医師について坂本さんが「彼の人格に圧倒された」と言ったのは、どのように感じたからかを尋ねた。

　生徒は「医師だからではなく、人として行動したから」「常識では語れない」「友だちとして使用する姿勢」などと発表した。

　また、坂本さんの「人間は生きているのではない。生かされているのだ」とはどのような思いから出た言葉なのか尋ねた。生徒は「人は互いに助け合う精神を常にもつ」「必要に思ってくれる人がいる」などと答えた。

　あらためて、坂本さんの「何かが一つ一つの出会いや出来事をつなぎ合わせてくれている気がしてならなかった」の「何か」とはどのようなものか尋ねた。生徒が「人とのかかわり」「誰かの思い」と答えるなど、前時と本時で畏敬の念につながる場面を複数考えさせることで、畏敬の念について深く感じられるようにした。

　授業後は分科会。山田教諭の授業について「生徒たちが真剣に深く考えていく姿がみて取れた」との感想のほか、畏敬の念を感じる道徳の在り方について意見が出た。

(学校 2019-12-04付)