【Pick UP2019】 若手教員の組織的な育成を オホーツク 進む世代交代
(道・道教委 2019-12-23付)

◆新採用が大幅増

 文部科学省が3年ごとに実施している学校教員統計調査によると、平成28年度の教員の平均年齢は小学校で43・4歳、中学校で43・9歳。25年度の前回調査時と比べそれぞれ0・6歳、0・2歳低下していることが明らかになった。

 30歳未満の比率は小学校17・3%、中学校15・8%と、それぞれ2・1ポイント、1・8ポイント上昇した。ベテラン教員の大量退職などによる若手教員の比率の増加は、全国どの地域でもみられる傾向だろう。

 オホーツク管内では、31年度当初人事において小学校で107人、中学校で40人の新採用教員が配置された。前年度(小学校60人、中学校13人)と比べるとその数は大幅に増加。小学校については、全14管内で最多の人数だという。オホーツク教育局の担当者は「確保が困難な期限付教員ではなく、新採用教員の配置を原則として取り組んだ結果」としている。

 その結果、欠員状態は解消されたものの、標準規模の学校で例年より1~2人多い3~4人の新採用教員が配置され、一部の小規模校でも新採用教員を受け入れることに。多くの学校に新採用教員が一定数いることとなったことから、「若手教員の育成」が管内の本年度の課題の一つに位置付けられた。

◆先輩の支援で成果

 25年度から道教委の学校力向上に関する総合実践事業実践指定校となっている網走市立網走小学校(片桐聡校長)には、事業の一環として毎年度、初任段階教員が一定数配置されている。

 人材育成を学校経営方針の重点に位置付け、学年や分掌、研修など様々な場面で、若手教員と中堅教員、ベテラン教員とが組む体制を確立。メンター研修の日常化を図っている。また、初任段階4年以内に運動会や学習発表会などで学校全体を動かす役割を経験させている。

 組織的・継続的な取組によって「教職員のベクトルをそろえることにつながっている」としている。

 北見市立中央小学校(吉田昌広校長)は、メンターによる校内研修のほか、管理職との面談で学級経営や指導上の悩みなどに対応している。吉田校長は「初任者が真摯に先輩に学ぶ姿勢や、ミドルやベテランの教員が初任者に指導する際の学びは、相互作用となって互いの資質・能力を高め合うことにつながっている」と話す。

 いずれも、先輩教員の支援など組織的な取組によって成果を上げていることが分かる。

◆小規模校に対応

 一方、若手教員の急増による対応に苦慮する学校現場の姿も。教職員の年齢構成のバランスが変化したことで、「初任段階教員研修の際の対応など、校内の体制づくりが難しい」「ミドルリーダーの負担が増えている」ことなどから、「学校経営上、影響が表れているのではないか」との声も聞かれる。

 さらに、管内は広域な上、へき地校や小規模校が多いという特徴がある。小規模校に初任者が配置されると、同じ教科を担当する教員が周りにおらず、「教科指導などの悩みに対応できない」といった課題も。ある教育関係者は「小規模校の課題に応じた研修機会の充実を図ることも重要」と指摘する。

 教員の世代交代が進む中、次代の教育を担う教員が活躍できるよう、組織的な若手育成に注力する必要があるのではないか。

(道・道教委 2019-12-23付)

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