【Pick Up2019】 同一仕様の導入が不可欠 十勝 校務支援システム(市町村 2019-12-24付)
学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」において道教委は、校務支援システムの導入促進を掲げた。システムは、平成24年度から全道立学校に導入。市町村立学校においても導入、活用を図るよう呼びかけている。
道内の小・中学校におけるシステム導入は、ことし4月時点で54自治体313校。十勝管内19市町村では4町のみにとどまっている。大樹町、上士幌町がいち早く導入。音更町、池田町でも導入を開始した。
十勝教育局の働き方改革推進会議では本年度、会議開催の度に統合型校務支援システムが話題となる。出席した教育長らは、システム導入が教育現場の業務負担を軽減し、教育の質の向上につながるものと、情報収集に努めている。
なぜ、システムの導入が遅れているのか。ある教育関係者が「システムは同等程度の仕様に統一して導入することが望ましい」と話すように、システムの現状に不安を覚える声が少なくないからだ。学習指導要領の改訂に合わせたシステムの改善も必要となってくる。
◆先行、活用中断も
管内で先行的に統合型校務支援システムの利用を開始した大樹町は、通信簿や成績表の入力・出力について、入力したデータが各種帳票すべてに反映されるため、業務負担の軽減効果があったと評価する。
しかし、一方では導入した小学校での活用を中断する事態も。導入している学校数が少ない中で、毎年度の人事異動が続いていく事情が背景にあるからだ。
◆横の情報共有実現
音更町教委は、「グループウェア」の機能を利用して指導要録等を作成するだけでなく、ネットワークで一元的に管理する取組を行う。校内の教職員は、ネットワークにアクセス。子ども一人ひとりの情報を共有し、組織的できめ細かな指導に生かすことができている。
出欠簿や成績表、通知表も校務支援システムで入力する。子どもの情報を統一的に扱うことで、校内の教職員の“横の情報共有”が可能となった。蓄積した成績データや、子どもの様子などの生活データの動きなどをもとに、担任、学校管理職、養護教諭などが連携を図りながら支援している。
さらに、教材や学級通信の素材を教員が共有。新しく赴任してきた教員であっても、仕事をスタートさせやすくなったという。
音更町内の小・中学校は18校。先行した大樹町、上士幌町の小・中学校はそれぞれ小・中各1校。
システムの定着には、一定規模の学校数があることが大きな鍵を握っている。
◆帯広の動向に注目
より規模の大きな市町村がシステムを導入することによって、飛躍的に導入が促進する可能性は高い。小学校26校、中学校14校を設置する帯広市は11月、市の働き方改革アクション・プランに、「校務支援システムの導入の検討を行う」ことを位置付けた。
市教委の担当職員は、学校のネットワークの集約化についても検討しながら、メーカーの選定を進めている。複数の企業から、グループウェアの仕様を含むパッケージ商品の営業を受けていることを明かした。「現場の教職員の意見を聞きながら、これからも継続して検討を進めたい」と展望を語った。
管内では「規模の一番大きな帯広市で導入した仕様が、管内の統一的な仕様となるかもしれない」との見方がある。教職員の異動も含みながら、管内で一体的に教職員の働き方改革を力強く推進するためにも、帯広市の動向が注目されている。
(市町村 2019-12-24付)
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