札幌市防災教育セミナー 同年代の体験談は貴重 兵庫県立大・諏訪教授が講演(市町村 2020-01-16付)
教職員や児童生徒など130人が参加した
札幌市教委と札幌市危機管理対策室は8日、札幌コンベンションセンターで令和元年度札幌市防災教育セミナーを開いた。市内の教職員や児童生徒、地域の防災関係者など約130人が参加。講話や授業の実演を通して、正しい身の守り方や、災害体験と向き合うために同年代の体験談が貴重であることなどを学んだ。
セミナーでは、兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科の諏訪清二特任教授が講師を務めた。阪神・淡路大震災の経験を全国の生徒や児童に伝えるなど、防災教育を先進的に実践している。
講演会のテーマは「児童・生徒を守る防災」。諏訪特任教授は兵庫県立舞子高校在職中に阪神・淡路大震災を経験。のちに創設に携わった全国初の防災専門学科である同校の環境防災科で「ユース震災語り部」を設置したことを紹介した。
「児童生徒に災害体験と向き合ってもらうためには、同年代の体験談が貴重となる」と述べ、同部生徒の経験談の一部を紹介。ある女子生徒が小学2年のころ、入院していた母を震災で亡くした経験から心因的ストレスで声が出なくなったことを伝えるなど、年齢の近い人同士が災害体験を伝えることの重要性を強調した。
防災教育の実践事例として、牛乳パックを使った耐震学習を紹介。①輪切りにした牛乳パックを重ねたものを建物に見立て耐震補強について考える②中学生が地域の高齢者の家を訪問し、家具の固定を手伝う③非常用持ち出し袋に何を入れるかをグループワークで5つまで考える④地域のハザードマップを使って安全な避難場所経路を考える―など、災害への対応について説明した。
◆大事なのは“あいさつ” 小・中学生の公開授業
防災教育セミナーでは、「地震発生!危ない所を探そう」(小学生版)、「あす災害が発生!きょう何する?」(中学生版)の授業を公開。
小学生版で、諏訪特任教授は「防災で一番大事なことはあいさつ。はぐれたときに名前を覚えてもらえれば誰かがそばにいてくれるため、安全」と伝えた。
続いて、「地震が発生したらどのような行動を取る」と質問。頭を手で覆い、いすの下に潜り込む児童が多かったことから「頭を手で支えたのはなぜか」と尋ねた。
児童の一人は「学校で習ったから」と回答。諏訪特任教授は「強度な揺れによっていすが遠くに飛んでいく可能性がある」とし、「いすや机の下に入った際は、脚を手でつかむように」と呼びかけた。
グループワークでは、①地下鉄②スーパーマーケット③自宅④学校―の4グループに分かれ「地震が発生した際、危ないと思うことを書いてみよう」と提案。①のグループでは「ドアが開かないかも」「電車が脱線する可能性がある」「荷台の荷物が落ちてくる」、②のグループでは「食料品の棚が倒れてくる」、③のグループでは「窓ガラスが割れる」「棚が倒れる可能性がある」「電化製品が倒れてけがする可能性がある」、④のグループでは「給食の食器が割れるかも」などと回答。
児童の回答を踏まえた上で、安全に身を守るために出入口のそばに物を置かないことなどを認識させた。
中学生版では「あす災害が発生!きょう何する?」をテーマに「もし震度7の地震があす発生することが分かっていればきょう何をするか」と質問。グループワークで1人につき10点考えさせた。
生徒は「水を用意する」「1週間分の食料を用意する」などと回答。いつ発生するか分からない自然災害に向けて、日ごろから備えておくことの重要性を伝えた。
(市町村 2020-01-16付)
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