札幌市教委が教育実践功績表彰式 子の豊かな未来へ尽力 誇りもち活躍を 長谷川教育長
(市町村 2020-01-28付)

札幌市教委教育実践功績表彰式
長谷川教育長が表彰状と記念品を授与(右は伏見中の中村校長)

 札幌市教委は24日、札幌すみれホテルで令和元年度市教育実践功績表彰式を執り行った。学校教育の振興に貢献した7個人と2校に長谷川雅英教育長が表彰状と記念品を授与。受賞者を代表して伏見中学校の中村邦彦校長は「子どもたちの豊かな未来を築くためにこれまで以上に力を尽していく」と誓った。

 表彰は市教委が平成14年度から行っているもの。19年度からは学校表彰を加えた。

 本年度の受賞者は伏見中の中村校長、常盤中学校の木村佳子校長、かっこう幼稚園の臼杵朋子教諭、藤の沢小学校の新谷秀一教諭、北の沢小学校の鈴木和男教諭、平岸高台小学校の雲雀馨栄養教諭、豊成養護学校の鎌田幸男事務長の7人と、福住小学校(鈴木真校長)と市立札幌豊明高等支援学校(村岡章子校長)の2校。

 式の冒頭、長谷川教育長があいさつ。受賞者の教育に対する姿勢について、「私たち教育に携わる者の鑑であり、札幌市の教育の誇り」と敬意を表した。

 自立した札幌人の育成に向けて、一人の人間としての自立のほか、共生の思いをもつ必要性を強調。「これまで培ってきた優れた力をさらに発揮し、引き続き札幌市学校教育の振興・発展のため、気概と誇りをもって活躍してほしい」と呼びかけた。

 続いて、紺野宏子教職員担当部長が受賞者の功績を紹介。長谷川教育長が一人ひとりに表彰状と記念の盾を手渡した。

 札幌市議会文教委員会の松井隆文委員長が祝辞。教育を取り巻く環境が転換期を迎えていることにふれ、「市民が安心して子どもたちを育むことができるよう文教委員会が中心となって教育環境の充実・発展に全力を挙げていく」と述べた。

 受賞者の取組について「未来を切り拓く子どもたちを育むとともに、将来の札幌市を形づくる礎となる。今後も札幌市の教育の発展のため、なお一層ご活躍いただくとともに、後に続く者の道しるべとなり、教育に対する高い志を伝えてほしい」と呼びかけた。

 受賞者代表あいさつでは中村校長が登壇。子どもや保護者、上司、先輩、同僚、家族など、様々な人に支えられ、励まされていることにふれ「きょうという日をあらためてスタートの日とし、学校種や職種を越えてワンチーム、札幌の一員として子どもたちの豊かな未来を築くためにこれまで以上に力を尽していくことを誓う」と意気込みを述べた。

 受賞者および受賞校の功績はつぎのとおり。=敬称略=

◆個人表彰

▼中村邦彦(伏見中校長)

 平成27年度発行の『札幌市中学校教育課程編成の手引』および29年度発行の『札幌市中学校教育課程編成の手引~移行措置に関する資料』の作成においては、外国語科の作成委員として、現行の学習指導要領および新学習指導要領における札幌市の英語教育の在り方や、授業改善の方向性を示すなど、重要な役割を果たした。

 また、札幌市中学校英語教育研究会の会長を務め、長年、本市の英語教育をけん引してきた。特に同研究会における研究大会や学習会は、札幌市の英語科教員が授業改善の視点を得るために非常に有意義であり、公開授業や協議への助言を通して人材の育成に努めている。

 校長として「すべての人が幸せになれる、安全で安心して過ごせる学校」をスローガンとし、教職員集団の同僚性が発揮される学校運営に努めている。

 札幌市中学校長会の事務局次長を務め、本市の中学校教育全般をけん引している。

▼木村佳子(常盤中校長)

 小中連携・一貫教育推進事業におけるモデル研究推進校の校長として、地域性を踏まえた目指す子ども像を定め、中学校区全体で9年間の見通しをもって子どもの力を伸ばすという理念を共有することで、地域とともに子どもを育てる基盤をつくった。この取組は様々な機会に全市に紹介されており、全市の小中一貫した教育の推進に大きく貢献している。

 校長としての歴任校において、札幌市研究開発事業における“学ぶ力”育成プログラム実践研究、進路探究学習等の課題について研究を実施するなど、札幌市の学校教育の重点を踏まえ、様々な分野において札幌市の学校教育の充実に貢献してきた。

 道国語教育連盟および札幌市学校図書館協議会では要職を務め、札幌市の国語教育の発展に尽くしてきた。

▼臼杵朋子(かっこう幼教諭)

 幼児教育センターが実施する研修において、講師として幼児教育の基本的な考え方や重要性、今日的な課題に対応する教育実践などを講義し、市内の幼児教育施設や学校の教職員の資質・能力の向上に寄与した。

 市立幼稚園が研究実践園の業務を開始する際に、主任として業務全般についての課題の整理や、その改善に向けた協議などに取り組んだ。

 また、幼児教育支援員として保護者への温かな支援や、私立幼稚園を訪問し特別な教育的支援を必要とする幼児とのかかわりについて助言するなど尽力した。

 平成29年度に札幌市教委が作成した『札幌市幼稚園教育課程編成の手引』の作成委員となり、自らの取組に基づく実践事例や教育課程などを執筆し、札幌市の幼児教育の質の向上に貢献した。

▼新谷秀一(藤の沢小教諭)

 特別支援教育コーディネーターとして、通常の学級に在籍している特別な教育的支援の必要な子どもの実態把握や支援について、校内研修や校内学びの支援委員会等を通して伝え、同僚の教員からの信頼も厚い。

 道特別支援学級教育研究連盟に所属し、研究部長として第10次および第11次研究計画策定に携わるなど、中心的な役割を担い、北海道の特別支援学級の研究を進めてきた。

 また、平成28年第55回全日本特別支援教育研究連盟全国大会では、「日常生活」に関する実践成果を発表し、参会者から高く評価された。

 札幌市学びの支援委員会委員、札幌市教育センター研修講師を務めてきたほか、札幌市教育研究推進事業では南区の研究副部長としてフォローアップ研修などを企画運営。若手教員の育成に尽力し、研修講座でも多くの参加者から好評を得た。

▼鈴木和男(北の沢小教諭)

 担任および担任外としての経験を通じ、学校図書館および公立図書館の効果的な活用や読書にかかる指導について研究を進めてきた。

 図書館と連携した読書活動の在り方や言語活動の充実について、児童の実態を把握し、一人ひとりの豊かな言語能力の育成に努めるなど、より個に応じた指導を追求し、常に自己研鑚を積み重ねている姿は、他の教諭のよき手本となっている。

 所属校が平成26年度から31年度まで、札幌らしい特色ある学校教育推進事業における読書の研究推進校の指定を受けており、その実務担当者として教育委員会と自校の調整役を担ってきたほか、中央図書館を活用した研究においては、児童が中央図書館で学んだ内容を地区図書館で再構築化する教育課程を編成するなど、希少なモデル研究として各校の参考となっている。

 札幌市教育センターが実施する研修の講師を務めるなど、その取組が高く評価され、指導役としても活躍している。

▼雲雀馨(平岸高台小栄養教諭)

 栄養士および栄養教諭として、給食の献立作成および調理指導などを通じて熱心に研究工夫を重ね、子どもたちに親しまれる献立内容の充実に尽力してきた。子どもを第一に考える給食室運営がなされており、調理員も働きがいを感じられる細やかな配慮をしている。

 平成22年度に札幌市教委が発行した『栄養教諭による食育実践事例集』において、取組や成果等を紹介し食育推進に貢献したほか、市教委主催の新規採用学校栄養職員研修の講師を務め、人材育成に尽力している。

 30年度には、文部科学省が定める学校給食実施基準の一部改正を受け、札幌市の児童生徒の体格等の実態を考慮し、札幌市の学校給食の摂取基準の検討について中心的な役割を担った。

 全国学校栄養士協議会において給食食材の開発を他の都府県の栄養教諭等と協働で行うなど、校内のみならず、全市の栄養教諭に食育の推進を発信している。

▼鎌田幸男(豊成養護事務長)

 児童生徒が利用する学習環境の整備だけでなく、部活動の指導や学校外の美化などについても様々な工夫を図り、学校教育環境の整備に努め、児童生徒、保護者、同僚職員から絶大な信頼を得ている。特に、星園高校での鴨々川清掃活動、市立札幌大通高校でのミニ大通公園夏祭りなどは、地域に密着した連携事業の先駆けとなった。

 高校定時制事務の第一人者であり、生徒や保護者の多様な家庭事情を踏まえた丁寧な対応を心がけ事務室運営に貢献してきた。

 また、星園高の閉校に伴う諸課題の解決や、開校して間もない市立札幌大通高の基礎づくりを進め教育関係者から高い信頼を得ている。

 札幌市立高校・特別支援学校事務長会のみならず道公立学校事務長会の役員を長く担い、事務室経営にかかわる各校の課題について指導助言を行うとともに、充実・発展に大きく寄与し、教育関係者から高く評価されている。

◆学校表彰

▼札幌市立福住小学校(鈴木真校長)

 教育目標「人間味豊かで 実践力に富んだ子どもの育成」のもと、学ぶ力の育成にかかる目指す子ども像として「自ら学び、共に高め合う子」を掲げて教育活動を推進している。

 子どもが主体的に課題を追究し、協働を通して学びを深めることができる授業研究に先進的に取り組み、新学習指導要領で求められる資質・能力を効果的に育むとともに、授業研究発表を通してその成果を検証するなど、学ぶ力の育成にかかる教育活動が地域や保護者、札幌市の学校教育関係者等から高く評価されている。

 健やかな体を育む教育活動の推進のため、全校児童によるなわとび運動等を、発達の段階に応じて体育の学習や特別活動等の教育課程に位置付けて継続的に取り組むなど、子どもの運動の日常化を実現している。

 サッポロサタデースクール事業やオリンピック・パラリンピック教育推進事業などにおいて外部人材を有効に活用することで、子どもが運動やスポーツの楽しさを味わえる機会を充実させるとともに、保護者や地域と連携した運動習慣づくりにつなげるなどの健やかな体を育む教育活動を推進している。

 札幌市教委が発行するオリンピック・パラリンピック教育副教材に実践が掲載されるなど、市全体の健やかな体の育成にかかる取組の充実にも貢献している。

▼市立札幌豊明高等支援学校(村岡章子校長)

 社会の変化に合わせて平成29年度から学科を再編し、現在、5学科(流通サービス科、クリーンサービス科、リサイクルサービス科、工芸ものづくり科、服飾ものづくり科)となった。

 目指す学校像の一つである「地域の特別支援学校として地域と連携した社会に開かれた学校」を具現化するために、地域との連携による受注作業をもとにした自主製品製作の作業学習を行うなど、社会とのつながりを大切にした教育課程を編成するとともに、どの学科においても職業生活に必要なコミュニケーション、事務作業、清掃、製品管理などの学習を充実させるなど、特色ある教育活動を展開している。

 普通科職業コースとしてのみなみの杜高等支援学校の開校に伴い、職業学科としての学校の特色を一層打ち出し、地域企業との連携のもと、就業体験の充実に努め、職業的自立を促す取組を推進している。

 学校長の明確な学校ビジョンのもと、教職員が札幌市のイベントなどを活用しながら地域と連携した学習活動を創出することで、生徒が市民と交流しながら多様な社会に参画することにつながっている。

 みなみの杜高等支援学校との市立高等支援学校2校体制の中では、生徒会活動や部活動などにおける生徒間交流や、教職員による合同作業実習研修を行うなど、教育課程の一層の改善・充実に努めている。

この記事の他の写真

中村邦彦
伏見中学校・中村邦彦校長
木村佳子
常盤中学校・木村佳子校長
臼杵朋子
かっこう幼稚園・臼杵朋子教諭
新谷秀一
藤の沢小学校・新谷秀一教諭
鈴木和男
北の沢小学校・鈴木和男教諭
雲雀馨
平岸高台小学校・雲雀馨栄養教諭
鎌田幸男
豊成養護学校・鎌田幸男事務長

(市町村 2020-01-28付)

その他の記事( 市町村)

えべつ・安心子育てプラン素案 放課後児童クラブ拡充 31日からパブコメ 江別市

 江別市は、令和2年度から5ヵ年を計画期間とする第2期子ども・子育て支援事業計画「えべつ・安心子育てプラン」(江別市子ども・子育て支援事業計画)の素案をまとめた。基本理念「みんなで協力、子育...

(2020-01-30)  全て読む

職員室の配置など改善を 民間コンサルが働き方改革で中間報告 札幌市教委

 札幌市教委は23日、市立小学校、中学校、高校各1校に派遣している民間コンサルタントから働き方改革に関する中間報告を受けた。業務改善すべき事項として職員室の配置改善、タイムマネジメント、教職...

(2020-01-30)  全て読む

旭川大公立化に向け設置準備費計上へ 旭川市新年度予算案

 【旭川発】旭川市は、令和2年度予算案の概要を各部に内示して最終調整を進めている。新たに「高等教育機関設置準備費」として、旭川大学の公立化に向けた経費が盛り込まれる見込み。予算案は2月6日に...

(2020-01-30)  全て読む

札幌市立高2年度入選当初出願 札幌平岸普通で1.6倍 定時制は札幌大通午前2.1倍

入学者選抜倍率  札幌市教委は28日、令和2年度市立高校入学者選抜の当初出願状況を発表した。全日制課程6校には募集人数1760人に対し、2487人が出願。このうち、標準枠が392人(内数)の推薦入学は、26...

(2020-01-29)  全て読む

札幌市が防災教育用教材見直しへ 胆振東部地震など盛る 来年度 検討委員会立ち上げ

 札幌市危機管理対策室は、防災教育用教材の見直しに向けた動きを進めている。北海道胆振東部地震や熊本地震など近年の災害状況を踏まえたものを盛り込む予定。来年度中にも検討委員会を立ち上げるほか、...

(2020-01-29)  全て読む

札幌市教委 体力等調査の分析結果 一部で上昇も低下傾向 大学と連携し準備運動開発

全国体力運動・能力調査結果  札幌市教委は24日、市における令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果分析の概要を発表した。全国平均を50としたT得点で表示。前年度に比べ小学校男女の「50㍍走」など、中学校男女の...

(2020-01-27)  全て読む

小・中在学の医療的ケア児―札幌市教委 希望校に看護師配置へ 調査進め2年度当初から

 札幌市教委は、次年度の小・中学校等に在学する医療的ケア児に対する看護師の配置について、希望校すべてに看護師を配置できるよう体制整備を進めている。看護師が痰吸引などを要する児童生徒に医療的ケ...

(2020-01-27)  全て読む

旭川大をベースとした公立大 4年度開学想定 新学部も 旭川市 課題整理し報告書

 【旭川発】旭川市は、私立の旭川大学をベースとした公立大学設置にかかる課題を整理し、21日、市議会に報告書を提出した。令和4年度開学を想定しており、6年度に地域創造デザイン学部の新設を目指す...

(2020-01-27)  全て読む

札幌市内学校給食における食器 合成樹脂移行の答申承認 早ければ来年度から試行

 札幌市教委は20日、第2回学校給食運営委員会本会議を開き、学校給食における食器の在り方についての答申案を承認した。現行の強化磁器食器を合成樹脂食器に移行する。早ければ来年度から試行段階に入...

(2020-01-24)  全て読む

市立小中学校適正規模基本方針案 中学校は6~18学級 よりよい教育環境を確保 北広島市教委

 北広島市教委は、市立小学校および中学校の適正規模に関する基本方針(案)をまとめた。少子化などに伴う児童生徒数の減少によって学校の小規模化が進んでいることから、より良い教育環境の確保や教育の...

(2020-01-23)  全て読む