道教委が全国体力等調査報告書 小学女子 7管内で全国以上 中学女子“運動嫌い”増加傾向
(道・道教委 2020-02-27付)

体力合計点管内別状況表
体力合計点・管内別の状況(クリックすると拡大表示されます)

 道教委は、『令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果報告書』をまとめた。体力合計点が全国平均を上回った管内は、小学校男子で4管内、小学校女子で7管内、中学校男子で1管内。中学校女子はなかった。中学校女子の元年度と平成28年度時との比較結果では、「運動が好き」「保健体育の授業は楽しい」と回答した生徒の割合が減り、「嫌い」「楽しくない」と回答した生徒の割合が増加傾向にあることが分かった。

 体力合計点の高い順にA~Eの5段階で評価した総合評価をみると、下位となるDE層の児童生徒の割合は依然として全国平均を上回っている。

 中学校の調査結果と、当該学年の生徒が小学5年生だった28年度調査を比較した結果、男子がAB層で5・7ポイント減、DE層で1・2ポイント増加。一方で、女子はAB層で15・2ポイント増、DE層で10・8ポイント減と大幅な改善がみられた。

 管内の状況をみると、体力合計点が全国平均を上回った管内は、小学校男子で、胆振、渡島、檜山、釧路の4管内、小学校女子で後志、胆振、渡島、檜山、宗谷、釧路、根室の7管内、中学校男子は檜山のみ。中学校女子はいずれも全国平均を下回った。前年度比では小学校の女子で全国平均以上の管内が増加した。

 管内差では、小学校男子で3・62ポイント、女子で4・46ポイント、中学校男子で3・32ポイント、女子が4・76ポイント。前年度と比べ、小学校男女、中学校女子で差が縮まり、中学校男子で差が広がっている。

 市町村の状況では、「大都市・中核市」「その他の都市」「町村」「へき地」の都市階級区分で体力合計点が最も高いのは、小学男子で「その他の都市」、小学女子・中学男女で「町村」。最も低いのは、小・中学校男女いずれも「大都市・中核市」だった。

 全国の体力合計点を上回った市町村の割合は、小学男子が2・6ポイント増の52・0%、女子が9・3ポイント増の55・1%、中学校男子が2・6ポイント増の38・8%、女子が1・8ポイント減の24・2%だった。

◆中学校女子の結果を経年比較で分析

 今回、道教委は、全国平均と比較して体力合計点などの差が大きい中学校女子の結果について、経年比較やクロス集計等によって分析した。

 体力・運動能力等の状況をみると、上位県や全国平均と比較して体力の合計点の差が縮まっているほか、下位層の生徒が多い種目は、「20㍍シャトルラン」「50㍍走」「立ち幅とび」「ハンドボール投げ」の4種目であることが分かった。

 運動時間が少ない生徒は、「運動することが嫌い」「スクリーンタイム(ゲームやスマホなどの画面を見る時間)が5時間以上」と回答している生徒が多い。

 中学校女子の元年度と28年度時(中学2年女子が小学5年生時)の比較結果では、記録を得点に換算すると「握力」「長座体前屈」「20㍍シャトルラン」「50㍍走」「立ち幅とび」「ボール投げ」の得点が低下。「握力」「ボール投げ」は、下位層の割合が増加しているほか、「運動が好き」「保健体育の授業は楽しい」と回答した生徒の割合が減り、「嫌い」「楽しくない」と回答した生徒が増加傾向にある。

 総合評価が低い中学校女子生徒の状況をみると、1週間の総運動時間がゼロの生徒が多いほか、体育授業でICTを活用している生徒は、自分に合った練習や場を選んで活動したり、仲間と話し合ったり、振り返りを行ったりする傾向にあることが分かった。

 道教委は「全国と比較して、授業の中で友だちと話し合う活動を行ったり、授業で学んだことを振り返ったりする授業の改善が十分ではないことや運動時間が短い子どもが多いことなどの課題がみられる」と分析。児童生徒が仲間とのかかわりの中で楽しさや達成感を味わうことができる授業改善や家庭・地域と連携した望ましい運動習慣・生活習慣の定着に向けた取組を一層充実させる必要があるとしている。

(道・道教委 2020-02-27付)

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