よりよい社会創る教育を 道教委2年度教育行政執行方針(道・道教委 2020-03-02付)
道教委・佐藤嘉大教育長
道教委・佐藤嘉大教育長の令和2年度教育行政執行方針の概要はつぎのとおり。
【教育行政に臨む基本姿勢】
1つ目は、子どもたち一人ひとりの学びを支える教育の充実である。
どの地域においても、子どもたち一人ひとりが質の高い教育を受けることができるよう、学力・体力の向上をはじめとする教育施策を充実していく。
2つ目は、地域創生を支える教育行政の推進である。
本道が、将来にわたって輝き続けていくため、学校教育を通してよりよい社会を創るという理念のもと、地域の発展を支える教育行政を推進していく。
【重点政策の展開】
▼社会で活きる力の育成
子どもたちが自分の人生や社会とのつながりを実感しながら、成長段階に応じて自らの能力を引き出し、その能力を将来出会う課題の主体的な解決に生かしていくことが重要である。
このため、幼児教育においては、すべての幼児教育施設で質の高い教育が提供できるよう、研修・助言の機会の充実や小学校教育との連携・接続の促進などを図る。
義務教育においては、ICTを活用した授業改善や学習習慣の確立など、各管内の実態に応じた学力向上の取組を推進するとともに、きめ細かで丁寧な指導ができるよう、少人数学級編制の拡大や専科教員の増員によって、学習指導の改善・充実を図る。
高校教育においては、新学習指導要領を踏まえて教育課程を編成・実施・評価し、改善するPDCAサイクルを確立するとともに、高大接続改革の方向性を見据え、学習の質を高める授業改善を進め、大学入学共通テストにも適切に対応する。
特別支援教育においては、個々の教育的ニーズに応じた指導や支援、教育環境の整備・充実を図るとともに、障がいのある子どもたちの就労促進のための体制づくりやICTに関連した多様な進路にも対応できる教育活動の推進に取り組む。
英語教育については、子どもたちがバランスの取れた英語力を身に付け、積極的にコミュニケーションを図ることができるよう、教員の指導力の向上を図る。
併せて、本道におけるグローバル人材の育成を図るため、海外の複数地域への高校生の留学支援などの取組を進める。
また、増加する外国人児童生徒への指導の充実を図るため、ICTを活用した指導法の研究などを進めるとともに、外国人児童生徒が地域で安心して学ぶことができるよう、支援体制の整備に取り組む。
教育の情報化については、プログラミング的思考を育む教育を推進するため、教員研修の充実を図る。
ふるさと教育については、本道への誇りと愛着をもち、地域の将来を担う人材を育てるため、地域資源を活用した学習の充実を図る。
民族共生象徴空間ウポポイを活用し、アイヌの人たちの歴史・文化等に関する学習や、北方領土に関する学習の充実を図る。
また、「北海道みんなの日」に合わせ、各学校においてふるさと教育が積極的に展開されるよう取り組む。
キャリア教育については、小・中学校から望ましい勤労観や職業観を育む教育の充実を図る。
また、高校では、地域課題の解決をテーマとする探究活動に関する実践研究の充実を図り、成果を地域に発信していくほか、大学等と連携した新しい人材育成プログラムの構築に取り組む。
▼豊かな人間性と健やかな体の育成
子どもたちが心身ともに健やかに成長していくためには、豊かな心や人間性の育成、体力の向上や健康の保持・増進が重要である。
このため、道徳科の指導方法等に関する研修の充実を図るとともに、読書活動については、地域人材を活用した取組の成果等を普及させるなど、地域社会全体で推進を図る。
いじめや不登校・児童虐待への対応については、望ましい人間関係を築く力を育むとともに、いじめの積極的な認知と組織的な対応や、不登校の初期段階からの組織的・計画的な支援を進めるほか、児童虐待における関係機関との迅速な連携など、未然防止・早期対応に取り組む。
併せて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの派遣、「子ども相談支援センター」の24時間運用、SNSを活用した相談に取り組むとともに、子どもたちがネットトラブルの被害者や加害者にならないよう、情報モラル教育の充実に取り組む。
また、健やかな体の育成のため、体育を専門とする教員の配置や巡回指導を実施するなど、子どもたちの体力向上の取組の充実を図る。
さらに、東京オリンピック・パラリンピックのマラソン・競歩・サッカー競技の札幌開催を踏まえ、オリンピック・パラリンピック教育を一層進める。
食育の推進については、望ましい食習慣の定着に向けた取組を進めるとともに、食物アレルギーへの対応の充実を図る。
▼連携・協働に基づく学校づくり
教育の質を向上させるためには、教職員間、各学校間、学校・家庭・地域との連携・協働を推進することが重要である。
このため、地域資源を活用した魅力ある高校教育を加速し、道内外の高校生の地域留学を進める。
このほか、ふるさと納税を活用し、道内外の多くの方々からの協力を得ながら特色ある高校づくりを進めるとともに、強いリーダーシップやマネジメント能力をもち、より積極的に学校改革に取り組む校長を庁内から公募し、登用する取組を進める。
どの地域においても質の高い教育を受けることができるよう、義務教育における遠隔教育の実践研究に取り組むとともに、高校教育における遠隔授業の配信機能を集中化し、小規模校等であっても希望した進路を目指すことができる体制の整備を進める。
学校におけるICT環境については、各市町村に対し整備を促すとともに、道立高校における情報通信ネットワークの充実などを計画的に進め、先進的な授業実践の研究に取り組む。
小中一貫教育については、導入校における実践事例の普及などを通して、市町村や学校の実情に応じた導入への取組を支援する。
また、家庭教育については、相談体制の充実を図り、PTAや関係機関等と協働し、望ましい生活習慣の定着に向けた取組を展開するなど、家庭や地域の教育力の向上に取り組むとともに、コミュニティ・スクールと地域学校協働本部の効果的な推進など、子どもたちの成長を地域全体で支えていくための取組の充実を図る。
加えて、子どもたちが安心した環境で学習できるよう、高校等の授業料などの負担軽減や地域の学習支援の取組を推進するとともに、知事部局と連携しながら、各種支援情報の提供を進めるほか、義務教育を十分に受けていない方々などに対する教育機会の確保に向け、本道における夜間中学の在り方などを検討する。
教員の志願者の確保のため、高校生による小・中学校でのインターンシップの実施を計画的に進めるほか、教員養成大学との連携を強化する。
また、教員の指導力の向上のため、教員育成指標に基づき教員研修を実施するほか、教職員の不祥事の根絶に向けて、職場研修や個人面談の充実を図る。
学校における働き方改革については、部活動指導員やスクール・サポート・スタッフの配置の拡充などを着実に推進する。
また、学校での業務改善手引書に基づく取組を確実に実施し、持続可能な学校運営体制の整備・充実を図る。
児童生徒の安全の確保については、地震や津波、台風など自然災害から身を守る能力等の育成に向けた防災を含む安全教育の充実を図るとともに、危機管理マニュアルの見直しなどの学校防災体制の強化や地域と連携した通学路等の安全対策の徹底に取り組む。また、被災地域の子どもたちへの教育支援体制の整備を進める。
▼学びを活かす地域社会の実現
道民の皆さんの潤いのある生活と活力ある地域づくりの推進のためには、生涯を通じて学び、その成果を生かせる環境をつくることが重要である。
このため、道民の皆さんに学習機会を提供する道民カレッジの充実を図るとともに、公民館等の機能も活用し、地域住民が主体的に地域課題の解決を図る取組を支援するほか、将来の地域リーダーとなる青少年の育成を進める。
文化の振興については、ウポポイ開設を踏まえたアイヌ文化の普及啓発やアイヌ民俗文化財の保存・伝承活動の支援のほか、北東北と連携した縄文遺跡群の世界遺産登録に向け、学習資料を活用し、埋蔵文化財センターと連携して体験学習を実施するなど、児童生徒への理解促進を図るとともに、これまで認定された道内の日本遺産の活用に向けた取組を支援する。
併せて、本道全体をアートの舞台とするアートギャラリー北海道のさらなる充実を図るとともに、道立美術館の多言語化の促進等により、インバウンドを呼び込むための情報発信の強化に取り組む。
(道・道教委 2020-03-02付)
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