初等教育研究会札幌市算数支部 生活の中で生かす算数 緑丘小4・5年授業を公開(関係団体 2020-03-02付)
数学的な見方・考え方を働かせる授業を展開した
初等教育研究会札幌市(算数)支部(出葉充支部長)は2月22日、緑丘小学校(村元秀之校長)で第19回研究大会を開いた。道内の教職員や道外の教育関係者など約100人が参加。テーマ「数学的な見方・考え方を働かせる算数授業とは」のもと、授業公開のほか、研究協議、講演を行った。
開会式では出葉支部長が新型コロナウイルス感染症の対応についてふれ、「子どもたちの感染防止に努めるとともに、教員も細心の注意を払って予防に努めていこう」と呼びかけたほか、大会について「北海道の算数に携わる私たちにとって刺激をいただくものとなる。本大会で得たものを実践に役立ててほしい」と述べた。
続いて、幌南小学校の田中尚宏教諭が研究提言。数学的な見方・考え方を働かせる授業づくりについて、①目指す見方・考え方を定める②見方・考え方を引き出す③見方・考え方を広げる④見方・考え方を深める―の4つのステップを紹介した上で「授業公開を通して子どもの様子を考えるためのきっかけを皆さんと考えたい」と述べた。
授業公開Ⅰでは、緑丘小の園部穂教諭が5年3組(児童数33人)の算数「速さ~“変化と関係”領域の学習として」を指導。本時の目標を「目的地までの電車の乗り方を、速さ・道のり・時間の関係とその他の条件とを関連付けながら根拠をもって判断することができる」とした。
児童はこれまで、普通列車と快速列車の所要時間について、速さや距離を元に解を求める活動に取り組んできた。
本時の問いは「旭山動物園に到着するために、札幌から旭川まで電車で向かうにはどの電車に乗ればよいか」。
園部教諭は、みどり1号、みどり2号、ひびき号の3つの電車を例示。1号は午前9時42分発、2号は10時6分発、ひびき号は10時20分発であることを説明した上で「何が分かれば到着時刻を求められるか」と質問。
児童は「札幌から旭川までの道のり」「速度」「各駅での停車時間」などと回答した。
園部教諭は1号と2号について「時速80㌔㍍で岩見沢、滝川の通過駅で10分停車する」、ひびき号は「札幌駅から滝川まで時速120㌔㍍、滝川駅で20分間停車し、旭川まで時速80㌔㍍で通過する」「札幌から岩見沢まで40㌔㍍、岩見沢から滝川まで40㌔㍍、滝川から旭川まで40㌔㍍の計120㌔㍍の道のり」と述べたほか、現在の時刻を10時であると設定。1号には乗車できないことを伝えた。
児童は「出発時刻が早い方が早く到着する」「時速120㌔㍍と80㌔㍍では、時速が速い方が着く」などと回答。児童の回答を踏まえた上で、園部教諭は2号とひびき号の到着時刻を求めた。
児童は2号について「札幌駅から旭川までの道のり120㌔㍍÷時速80㌔㍍〓1・5時間。停車時間20分を足して50分」「10時6分から1時間50分後は11時56分」と回答。
ひびき号については「札幌から滝川まで80㌔㍍÷時速120㌔は割り切れない」などの回答がある中である児童は「分数で考えると3分の2時間で40分と考えられる」「滝川から旭川までは時速40㌔㍍÷時速80㌔㍍で0・5時間だから、足すと70分後の11時50分」と答えた。
それぞれの到着時刻を求めさせたのち、園部教諭は「自分だったらどの方法で目的地に行くか考えてみよう」と呼びかけた。
児童は、「6分しか変わらないのであれば、ひびき号に乗る」などと回答。園部教諭は「停車時刻にも目を向けてみよう」と伝えた。
児童は、園部教諭の声かけにヒントを得た上で1号とひびき号の滝川駅における停車時間に目を向けたほか「ひびき号に乗ると、滝川駅に11時に着く。1号は10時52分から11時2分まで停車していることから乗換まで2分時間がある」と回答。
視点を変えた声かけを行うことで、1号に乗車できなくても、旭川駅に一番早く辿り着く方法を気付かせた。
授業後、園部教諭は「算数は答えを出して終わりではなく、算数を活用して何かを決めることができる」と児童に話すなど、生活の中で算数を生かすことの重要性を伝えていた。
授業公開Ⅱでは、筑波大学附属小学校の山本良和教諭が同校の4年生を対象に「わり算」を指導。指導後は「“主体的・対話的で深い学び”のある算数授業を実現するために」と題して講演した。
(関係団体 2020-03-02付)
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