ICT活用力向上が課題 道小理事研修会で大石会長
(関係団体 2020-02-27付)

道小理事研大石会長あいさつ
大石幸志会長

 21日にホテルライフォート札幌で開かれた道小学校長会第5回理事研修会における、大石幸志会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

▼GIGAスクール構想

 令和元年度の補正予算による無線LANの配備、児童生徒1人1台の端末整備を実現ということで、5年度までに小中全学年で達成するという計画になっている。3人に1台の端末が行きわたるようにすでに地方財政措置されているが、自治体間格差があり、そこをきちんと配備してほしいと文部科学省では求めている。その上に今回の措置がある。

 このことについては、萩生田光一文部科学大臣のメッセージにも示されている。「今般の補正予算案は、すでに児童生徒3人に1台という地方財政措置で講じたICT環境整備に取り組んできた自治体、また、これから着実に整備に取り組もうとする自治体を対象に、1人1台端末とクラウド活用、それらに必要な高速通信ネットワーク環境の実現を目指すもの」とある。

 この点で、自治体によってすでにICT以外の道路や他の設備投資に地財が流れていった場合、GIGAスクール構想に手を挙げることができるのかどうか、そのことで手を挙げるのが難しい自治体も出てくる可能性がある。

 道教委では、1月21日にGIGAスクール構想の市町村向け説明会を実施している。道教委の情報によると、GIGAスクール構想を実施したいと手を挙げた市町村がかなりあると聞いている。

 札幌市でも実施することが報道で伝えられた。ロードマップを参考にして、今後の動きに注視していき、校長会としても実現を目指すため、自治体への働きかけが必要である。

 また、各学校では教員のICT活用能力を高めて、タブレットを有効に使うために授業を変えていくことが喫緊の課題となる。

 1月15日の文科省の予算説明会において、全国学力・学習状況調査についても、将来的には端末を使うCBTの方法に変更していくとの説明があった。一部報道では、5年度に実施するということが出ていたが、文科省からその年度については誤報であるとの説明を受けている。

 ただ、CBT化については、以前から文科省では検討しており、いずれそのような方向で実施していくことになる。CBTを導入することで、配慮を要する児童へ適切に対応できる、学校や児童の経年変化分析やデータ取得ができるなどのメリットがある。また、自動採点・即時結果提供も可能であるので、自校採点の必要がなくなるというメリットもある。

▼元年度教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査

 この調査については、昨年7月6日に全連小の小学校長会連絡協議会で行われた講演の中で文科省初等中等教育局の合田財務課長が明言していた。全くそのとおりのことが実施され、すべての都道府県、市町村が公表されている。

 道の公表資料では、在校等時間等の把握方法について、ICカード、タイムカード、パソコンなど客観的な方法で把握しているのは、全道の24・4%である。全国平均は48・2%であるので、半分程度である。

 例えば札幌市は、エクセル等に本人がシステム入力することによって把握している自治体に入っている。このように、市町村教委がどのように答えたか一目瞭然となっている。

 なお、月45時間、年360時間以内の上限ガイドラインを守ることは、1年単位の変形労働時間制の学校の導入の大前提としているので、今後、在校等時間の客観的な把握は各自治体で早急に取り組むべき課題となってくる。

 調査結果は文科省のホームページで見ることができるので、各自治体への要望などの根拠資料になる。活用いただきたい。

▼新しい時代の初等中等教育の在り方 論点取りまとめ

 中央教育審議会から昨年12月に確定版が出ている。これからの学びを支えるICTや先端技術の効果的な活用について説明されている。

 ICTを活用してよりよい授業をしていく、個別最適化された学びを提供していくということがある。デジタル教科書の今後の在り方については、小学校は6年度、中学校は7年度から開始すると出ている。

 数ヵ月前までは、このデジタル教科書については、紙の教科書を第一にするという文科省の方針であった。デジタル教科書を使うとなると、子ども一人ひとりがタブレットをもって、その中に教科書が入っている時代が予想される。

▼給特法改正に伴う指針の告示

 1月17日に、文科省から設置者に向けて告示が発出された。この指針に基づいて各自治体が条例を改正していく。この中には、学校現場では難しい部分もある。

 例えば、在校等時間の把握である。在校等時間は、教員が学校教育活動に関する時間として外形的に把握できる時間であるが、それに加えるものと除くものがある。

 加える時間として、校外において職務として行う研修の時間ということで、学校の中にいる時間だけではないということが示された。また、地方公共団体で定めるテレワークの時間も加える。

 除く時間としては、「勤務時間外における自己研鑚および業務外の時間」とある。勤務時間外に学校にいても、自己研鑚のための時間は含まれないということになる。休憩時間はもちろん除かれる。

 特に「勤務時間外における自己研鑚および業務外の時間」は校長が把握できるかどうか難しい部分である。また、持ち帰り業務は行わないことが原則という留意事項もある。

 給特法にかかわる国会答弁の資料において、指針の前提となる客観的な勤務時間管理の必要性の部分では、在校時間はICT、タイムカードによって客観的に把握することが義務であることを述べ、来年度の教職員加配の配分やスクール・サポート・スタッフなどの外部人材の補助金交付に際しての前提条件であると答弁している。各自治体が地財をICTの整備としてきちんと使うように、政策を総動員している。

▼全連小の組織

 各委員会の名称が変更になった。活動内容や調査内容に照らしての変更である。特に、対策部、調査研究部の委員会は、全国の小学校の実態把握を調査して、国への要望活動のエビデンスとしている。

 道小も事務局幹事6人が委員として参加して、調査活動などを行っている。

▼少人数学級編制の対象学年の拡大

 道教委から35人以下少人数学級についての情報提供(札幌市以外)があった。

 道教委は、来年度から3ヵ年計画で少人数学級編制の対象学年を拡大する。2年度は小学3年生で、学年1学級規模の学校(学年の人数が36~40人の学校)のみ、35人以下学級を実施する。実施校数は36校の見込みである。3年度は、順次拡大して、小3は対象校全校、小4は2年度実施校で少人数学級を実施する。4年度は小3、小4の対象校全校で実施する。

 本年度の実施方法については、加配定数のうち、外国語巡回指導と学校力向上による加配から組み替えを行う。指導方法工夫改善からの組み替えではない。

 ただ、指導方法工夫改善については、専科制への移行があるので減少していく。

 少人数学級の対象学年を拡大していく意図は、来年度に学習指導要領が全面実施されるが、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善である。

(関係団体 2020-02-27付)

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