東川町研究開発学校 3年次報告書③(市町村 2020-03-19付)
【新教科グローブ(Globe)の創設と指導内容、指導方法および評価方法の在り方】
◆幼稚園(ALT主導のもと、毎月のGlobeを実施している)
▼目指す子ども像
「他の国の人とふれ合いながら外国語に慣れ親しみ、友達と仲良くする子どもを目指す」
▽主な学習内容と指導方法
幼稚園では、幼児教育において育みたい3つの資質・能力および幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿の具現化を目指して、5領域を適切かつ具体的に編成した教育課程をもとに4歳、5歳Globe年間授業計画としてカリキュラムを作成し実践に取り組んだ。
幼児が英語を身近に感じるとともに、様々な国の文化にふれることができるようにするために、「色」「食べ物」「動物」「体」「数字」など、身近で簡単な英単語にふれさせる。また、歌や踊り、ゲームなど、楽しみながら外国語に親しめる活動を実施している。
カリキュラムについては、新年度に向けて、ALTと打ち合わせ、全体的な内容と単語を確認し作成する。カリキュラムをもとに活動の前に、詳細なactivityやdemonstration等の方法を打ち合わせている。
4歳児は、もちつきや節分など日本の伝統行事や外国の行事等にかかわる活動の中にALTが入る。英語でのゲームや歌などを通して交流を図ることによって、自分と違う国の人々に親しみをもつと考える。英語の読み聞かせも定期的に行い、英語にふれる活動を多くしている。
5歳児は、ALTと連携して簡単な英単語を使い、歌や踊り、ゲームなどの活動を通して英語を聞き、自ら発音して、英語への興味・関心を高めることをねらいとしている。
写真やイラスト、ジェスチャーなど、視覚的にも分かりやすいプログラムを毎月復習しながら新しい英語にふれている。英語で質問されたことが分かり、子どもたちも自信をもって答えられる場面が多くなる。
ALTが常に2人体制で授業に臨む。ALTのまねから始まり、英語を聞いて絵や写真を選択したり、数字や動物を体で表現したりするなど、五感を大いに使って感じたことを表現できるように活動している。
◆小学校(低学年35時間、中学年70時間、高学年105時間)
▼目指す子ども像
「様々な国や文化について理解し、誰とでも寛容的で協力的な態度で接する子どもを目指す」
▽主な学習内容と指導方法
・単元デザイン
様々な国や文化を理解し、他者に対し寛容的で協力的な態度で接する児童を育てるためにカリキュラムを編成した。
また、幼・小連携として、4月始めに幼稚園のカリキュラムとの系統性を踏まえた学習を位置付けるなど、児童が小学校でのGlobeにスムーズに取り組めるよう配慮した。
さらに、小・中連携として扱う英語表現を洗い出し、互いに見通せるよう工夫した。
①学習の始めに地域教材や世界各国の文化などを扱い、興味・関心を高め、単元全体の課題を設定し、学習する必然性への見通しをもたせる。【L/G】
②課題解決に向けて必要な知識・技能の習得のため、新学習指導要領対応小学校外国語教材『Let,s try』および『We Can!』などを活用する。【C】
③単元を通して、習得した知識・技能を活用し、様々な人とかかわり、自分の考えを表現できる場面を設定する。【L/G】
・1単位時間の流れ
Warm up↓主な活動↓振り返りのような順序で単位時間の流れを設定し、毎時間の学習の流れを把握できるようにした。
特に、Activityは、本時のねらいを達成させる中心活動として設定し、Reflectionは、本時のねらいが達成できたかを振り返ることができるように書く活動を設定した。そうすることで、何のために何を学習していくのかなど、見通しをもって学習することができると考えた。
・Classroom Englishの統一
町は、4つの小学校から1つの中学校へ入学することから、幼稚園からクラスルームイングリッシュを統一することで、校種が変わってもスムーズにコミュニケーションを図ろうとすることができると考えた。
・評価方法
自分の学習を振り返り、Reflection振り返りシートに本時のToday,s Goalの達成状況を毎時間書かせる。
ローカル、グローバル、コミュニケーションの各要素から3つの資質・能力(知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に向かう態度)を加味し評価する。
◆中学校(1・2・3年160時間)
▼目指す子ども像
「世界の諸問題を自分と結び付けて考え、解決方法を探り、自分の意見を発信する生徒を目指す」
▽主な学習内容と指導方法
中学校では、世界の諸問題を自分と結び付けて考え、主体的に解決方法を探り、自分の意見を発信する生徒を育てるためにカリキュラムを編成した。
・単元デザイン
学習のはじめに地域教材や世界各国の文化などを扱い、興味・関心を高めたりよさや課題について考えたりして、単元全体の課題を設定し、学習する必然性への見通しをもたせる。
課題解決に向けて必要な知識・技能の習得のため教科書および新しい教材を活用する。語彙・文法など、習得させるべき内容は教科書を使い、確実に定着させていく。
単元を通して、習得した知識・技能を活用し、様々な人とかかわり、自分の考えを表現できるローカル要素やグローバル要素にかかわる場面を設定する。
・即興的なやり取りの継続
コミュニケーション要素にかかわって、あいさつや時事ネタのやり取り、また、既習事項の活用にわたるまでの取組を進める。
単元の始め、終わりなど、必要に応じてALTを含めた外部講師をできるだけ多く活用する。
既習事項を扱う、テーマ性を扱う、またはどちらも扱うなど、学年ごとに決める。
・地域資源・人材の活用
町立日本語学校が隣接しているメリットを生かして、Globeの授業で日本語学校に来ている外国人留学生(中央アジア、東南アジア圏)との交流学習を通して、グローバル要素にかかわる異文化を学ぶ。
町内にある福祉専門学校で、バリアフリーやユニバーサルデザインについて実体験した上で、学習に取り組む。また、大雪山やその水源など自然環境を生かした取組も地域のガイドを講師に招くなど、ローカル要素にかかわる地域資源や人材を生かした学習を取り入れる。
町内の国際交流員(CIR)や国際スポーツ交流員(SEA)との連携によって、題材に応じて1単位時間に複数の方を講師に招いて授業を行い、多くの外国人と英語で話す場面を設定する。
・評価方法
当該単元(題材)以前の学習における観察結果、当該単元(題材)以前の学習における自己評価(ルーブリック)の結果、事前アンケートによる評価、Globe Trialやパフォーマンステストによる評価。
◆高校(1・2年150時間、3年100時間)
▼目指す子ども像
「自己と世界とのつながりを意識した上で、どのように社会にかかわっていくかについて、主体的かつ建設的に考え、意思決定し行動する生徒を目指す」
▽主な学習内容と指導方法
高校は、自分と世界とのつながりを意識した上で、自分がどのように社会にかかわっていくかについて主体的に考え、行動する生徒を育てるため、4期に分けて活動を位置付けてカリキュラムを編成した。
・第Ⅰ期=基礎英語力充実期
中学校時代で英語を苦手とする生徒が多くいるため、中学校英語の復習を中心に基礎学力を養成し、コミュニケーション能力の土台を形成する。このときに、コミュニケーション手段としての位置付けを意識した英語教育を推進するものとする。
・第Ⅱ期=Globeのための基礎養成期
教科書とのかかわりから始めて、「基本情報↓発展的内容」の組み合わせで自国や自地域も含めた多様な社会や文化の基本情報と一般的な考え方を学習する。一般的な考え方とは、国際社会的も含め、一般に認知されている情報としての考え方にとどまらず、考える方法、すなわち「問題・課題の発見↓調査・分析・検討↓意見や案の産出」という思考形式としての考え方をも育成することを視野に入れる。
・第Ⅲ期=関係構築と情報交換期
コミュニケーションの目的は大きく2つある。
1つは、コミュニティ形成を目的とした関係構築である。この場合のコミュニケーションは、情報内容そのものよりも自己開示や相互理解という行為自体に重点が置かれる。その結果、コミュニケーションを取る両者が互いに個人レベルで情緒的な関係性を形成することが目指される。
もう1つは、伝達される情報自体に価値が置かれる合目的型のコミュニケーションである。論文やプレゼンテーション、インタビューや討論など、伝えるべき内容を簡潔・明瞭かつ論理的に述べる、表現上のある“型”が重要になる領域と言ってよい。
この両スタイルのコミュニケーション様式は、ときに別々に、ときに混在して現れるが、指導場面としてはそれぞれ異なるスキルとして学習させていく。
・第Ⅳ期=社会参画準備期
第Ⅰ期から第Ⅲ期の間で学習したことを生かしつつ、生徒たちが高校卒業後に直面するだろう実際的な場面を想定して、いかに主体的に社会参画できるかをテーマとした学習を行うものとする。この際、国際的な協力関係の構築という一面は意識しつつ、軸足としては生徒の主体性により重きを置きたい。
すなわち、これまでの学習で社会的な問題・課題の概要を理解した上で、自分自身がどのように行動できるか、行動すべきか、行動したいかを考えさせる場とすることで、仮説に包含される成果3を達成することを目指す。
(市町村 2020-03-19付)
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