十勝管内2年度教育推進の重点 新時代にふさわしい教育 各市町村教委一体で機運高め
(道・道教委 2020-04-22付)

十勝教育局長・村上由佳
十勝教育局・村上由佳局長

 【帯広発】十勝教育局の村上由佳局長は、十勝管内教育推進の重点を示した。社会で活きる力の育成、豊かな人間性と健やかな体の育成、学びを支える家庭・地域との連携・協働など4点が柱。村上局長は、本年度も各市町村教委一体で「十勝はひとつ、子どもたちのために」のスローガンの機運を一層高め、新しい時代にふさわしい十勝教育の目指す姿の実現に努めていきたいと呼びかけている。

 管内における教育推進の重点はつぎのとおり。

【国・道の教育施策の動向】

 現在、将来の予測のつかない状況においても、情報の意味を吟味し、読み解き、適切かつ効果的に活用していく力を、一人ひとりの子どもに育むためのGIGAスクール構想の実現に向けた動きが加速している。こうした教育環境の整備と併せて、各小・中学校においては、本年度から小学校が全面実施となった学習指導要領の確実な習得を図るためのICT活用を中核とした、教育課程編成や指導計画の改善・充実を教職員一体となって進めることが求められている。

 このような中、前年度末に、管内の関係教育機関等と検討を重ねて策定した、とかち小・中学校職員人材育成基本方針に基づく教員の資質能力の向上の取組を一歩一歩進めるとともに、スタディ・ログの活用などによる公正に個別最適化された学びを見据えていく必要がある。

 また、社会がSociety5・0を迎えようとしている中で新たな価値を創造し、新たな時代を先導していく力を生徒一人ひとりに育むことが求められていることから、各高校・特別支援学校ににおいては、明確な教育理念のもと、特色と魅力ある学校づくりに向け、STEAM教育等の各教科の学習を実社会における問題発見・問題解決に生かす教育課程の編成や指導計画の改善・充実を教職員が一体となって進める必要がある。

 同時に、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという理念を、市町村や地元企業などと共有し、社会の連携・協働によって、その実現を図っていくことが大切である。

 こうした中、本年度も「十勝はひとつ」の合言葉のもと、十勝らしい一人ひとりの学びの実現に向け、管内小・中学校、高校・特別支援学校それぞれと一体となって教育を推進していく。

【十勝管内教育推進の重点について】

▼社会で活きる力の育成

 1つ目の観点の「学校全体で教育の質を向上する」の具現化に向けては、項目の1つに社会に開かれた教育課程の実現を重点として位置付け、これからの時代を生きていくための力とは何かを学校と社会が共有し、新学習指導要領の趣旨を踏まえた組織的な取組を進めるため、つぎの4つの視点を位置付けている。

①全教職員によるカリキュラム・マネジメントの推進

②主体的・対話的で深い学びの実現に向けた組織的な授業改善の推進

③ICT環境の整備と積極的な活用

④重点化を図った学校評価による教育活動の質の向上

 そのため、教育局として、義務教育指導監・義務教育指導班による継続的・計画的な指導助言、学習指導要領の趣旨などを踏まえた教育課程の編成・実施・改善に向けた支援、組織的な取組を促進するための組織力強化会議の実施、各地域の実態に応じた校長会研修、教頭会研修、ミドルリーダー研修、若手教員研修の充実に向けた支援、遠隔研修等を通じた教育にかかる最新情報の提供などを進めていく。

 各学校等においては、学校教育目標をもとにした育成を目指す資質・能力の明確化と地域および家庭との共有、主体的・対話的で深い学びの視点を大切にした授業改善の取組、カリキュラム・マネジメントと連動させた学校評価の質の向上、各学校等の課題解決に資する計画的かつ戦略的な教育局出前講座の活用、論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成を図るプログラミング教育の推進、GIGAスクール構想の確実な実現とICT等を用いた授業実践の充実などの取組を進めていただくようお願いする。

 2つ目の項目として、「検証改善サイクルに基づく組織的な学力向上の取組」を重点に位置付け、子ども一人ひとりの学習状況の適切な分析に基づき、教員の経験年数にかかわらず、継続・一貫した教育活動が学校全体で進められるよう検証改善サイクルの質を高めていくため、つぎの3つの視点を位置付けている。

①エビデンスに基づく検証改善サイクルの改善・充実

②学習内容の確実な定着を図るための継続・一貫した取組の充実

③初任段階教員等の授業力向上に向けたマネジメント機能の確立

 そのため、教育局として、学力の向上を図るほっかいどう学力向上推進事業の成果の普及、学校力を高める学校力向上に関する総合実践事業の成果の普及、学校教育指導訪問等を通した継続的な初任段階教員への指導、eラーニングシステムを活用した学習方法の普及、重点とする市町村を中心とした教育局出前講座による学力向上の取組、とかち小・中学校職員育成基本方針に基づく初任段階教員の組織的・計画的な育成などを進めていく。

 各学校等においては、全国学力・学習状況調査やチャレンジテスト、NRTやCRT検査、定期テスト・単元テスト等を効果的に活用・分析し、取組の成果を児童生徒の姿で確認する取組、学習内容を確実に身に付けさせるための少人数指導やTTによる指導の改善、組織的な授業改善に資する計画的かつ戦略的な教育局出前講座の活用、学習習慣・生活習慣を確立するための学校の取組を家庭と共有、全小・中・高校生を対象としたeラーニングシステムの教材の活用などの取組を進めていただくようお願いする。

 2つめの観点の「社会にはばたく力を身に付けさせる」の具現化に向けては、項目の1つに「地域の未来を担うグローバルな人材の育成」を重点として位置付け、変化の激しい社会を生きる子どもたちに、地域の未来を担う人材育成の観点からグローバルなコミュニケーション能力とふるさとへの誇りと愛情をもち、新しい時代を切り拓く資質・能力を身に付けさせるため、つぎの2つの視点を位置付けている。

①英語によるコミュニケーション能力を高める取組の推進

②地域の教育資源を活用し、ふるさとへの理解を深める教育の推進

 そのため、教育局として、外国語活動および外国語科にかかる教員研修の実施、市町村が主催する英語deトライやEnglishトライアルなど英会話を体験する取組への支援、北海道の自然や歴史、文化、観光などの理解を深める学習の推進、小・中・高の学校間の連携と学びの接続を大切にしたふるさとキャリア教育の推進、eラーニングシステムを活用した学習方法の普及(再掲)などを進めていく。

 各学校等においては、小・中、中・高が連携・協働して取り組む外国語活動および外国語の授業改善、英語deトライやEnglishトライアルなど英会話を体験する取組の推進、全小・中・高校生を対象としたeラーニングシステムの英語教材の活用、育成を目指す資質・能力を明確にしたふるさと教育の推進、キャリア・パスポートを活用したキャリア教育の推進、北海道版道徳教材『きたものがたり』、道徳教育地域教材『十勝野』の活用、修学旅行等における民族共生象徴空間ウポポイの利活用などの取組を進めていただくようお願いする。

 2つ目の項目として、「切れ目のない組織的・継続的な支援を行う特別支援教育の推進」を重点に位置付け、個々の可能性を伸ばしていくため、合理的配慮に基づき、これまで以上に子ども一人ひとりのニーズに応じた指導の一層の充実を目指し、つぎの4つの視点を位置付ける。

①個別の指導計画および個別の教育支援計画の質的な向上

②教職員間、校種間等の引き継ぎの充実

③教職員の専門性・指導力の向上を図る研修の充実

④特別支援学級における指導との関連性を図った交流および共同学習の充実

 そのため、教育局として、幼保・小との連携や特別な教育的支援を必要とする子どもたちの円滑な引き継ぎのための福祉と教育の連携の促進、特別支援教育にかかる適切な教育課程の編成および特別支援学級における指導との関連性を図った交流および共同学習の充実についての指導助言、特別支援教育コーディネーターおよび特別支援学級担任を対象とした研修会の実施などを進めていく。

 各学校等においては、個別の教育支援計画などを活用した情報共有に基づいた関係機関との円滑な引き継ぎ、校内委員会等における通常の学級に在籍している特別な教育的支援を必要とする児童生徒への指導および支援の検討と合理的配慮を位置付けた個別の指導計画の作成、個別の指導計画に基づいた特別支援学級における指導の充実と交流および共同学習を通した指導・支援の充実などの取組を進めていただけるようお願いする。

▼豊かな人間性と健やかな体の育成

 子どもたちが充実した人生を送るための基盤となる健やかな心や体を育むためには、生活習慣の確立や、道徳および体育の授業改善等によって、一人ひとりに寄り添ったきめ細かな指導や支援を進めることが求められている。

 そのためには、「豊かな人間性と社会性を育む」と「健康でたくましい体をつくる」の2つの観点で教育活動等を推進することが重要である。

 1つ目の観点の「豊かな人間性と社会性を育む」の具現化に向けては、項目の1つに「“考え、議論する道徳”を要とした道徳教育の充実」を重点として位置付け、自己をみつめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める学習が行われるよう、考え、議論する道徳への授業改善を推進するため、つぎの3つの視点を位置付けている。

①道徳教育推進教師を中心とした道徳教育の組織的な取組の推進

②道徳教育および「特別の教科 道徳」の指導計画の改善・充実

③授業実践を通した教員の指導力の向上

 そのため、教育局としては、道徳教育推進校事業の成果の普及、道徳科の指導計画の改善や授業力の向上、道徳教育推進教師の育成を図る研修会などを進めていく。

 各学校等においては、学校の教育目標を踏まえた道徳教育の重点の見直しおよび学習指導要領に基づいた指導計画の改善に向けた取組、道徳科の授業改善と、道徳科の評価にかかる共通認識を図るための計画的かつ戦略的な教育局出前講座の活用などの取組を進めるようお願いする。

 2つめの項目として、「いじめやネットトラブル、不登校等の未然防止、早期発見・早期解消の取組の充実」を重点に位置付け、すべての子どもが安心して学校生活を送り、自己実現を図るためには、学校が家庭・地域との連携を深め、共通の認識をもって、いじめの未然防止の取組や児童生徒理解を進めていく必要があることから、つぎの7つの視点を位置付けている。

①保護者や児童生徒の参画を得ながら進める学校いじめ防止基本方針の見直しおよび家庭・地域への周知

②いじめを許さない子どもを育てるための子どもが主体となった取組の充実

③不登校の未然防止に向けた教育相談の充実と、児童生徒理解・教育支援シートなどを活用した不登校児童生徒への支援

④市町村ごとのいじめ会議の開催

⑤生徒指導の充実に向けた専門機関への相談体制の整備

⑥生徒指導上の諸課題に対応できる指導力向上にかかる教員研修の充実

⑦ネットトラブルを未然防止に向けた取組の充実

 そのため、教育局としては、「いじめはどんな理由があっても許されない」という意識をもつ児童生徒が100%になることを目指した管内地域いじめ問題等対策連絡協議会の推進、十勝教育を考えるつどいにおけるどさんこ☆子ども地区会議や、十勝いじめ根絶強化月間(11~12月)と連動した市町村のいじめ防止の取組の推進、生徒指導上の諸課題の解決に向けた生徒指導連絡協議会、教育相談やネットトラブルの未然防止などに向けた市町村の取組への支援、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの派遣、生徒指導上の諸課題への対応にかかる研修の充実に向けた計画的かつ戦略的な教育局出前講座の活用などを進めていく。

 各学校等においては、保護者や児童生徒の参画を得ながら進める学校いじめ防止基本方針の見直し、いじめ問題への対応状況等調査を通したいじめの未然防止の取組の検証と改善、十勝いじめ根絶強化月間(11月~12月)の取組、インターネット上のいじめや不適切な行為を防止するための指導と情報モラル教育の充実、市町村ごとのいじめ会議、児童生徒理解・教育支援シートなどを活用した不登校児童生徒の支援などの取組を進めるようお願いする。

 2つ目の観点の「健康でたくましい体をつくる」の具現化に向けては、項目に「心身の健やかな成長を促す教育の充実」を重点として位置付け、子どもたちが、自分の体力の伸びを実感するとともに、その成果を保護者と共有していく組織的な体力向上の取組を推進するため、つぎの4つの視点を位置付けている。

①家庭や地域と連携した健康的な生活習慣確立の取組

②生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を育成する体育・保健体育授業の充実

③全学年全種目実施による新体力テストの結果を踏まえた体力向上マネジメントの確立

④全小学校におけるフッ化物洗口の実施に向けた体制整備

 そのため、教育局としては、各市町村や研究団体と連携したどさんこ体力アップ強調月間(10月)の推進、体育専科教員活用事業における成果の普及および運動プログラムの作成・普及啓発、体育・保健体育の授業改善に向けた教員研修、新体力テストを効果的に活用した体力向上にかかる好事例の紹介、関係機関と連携したフッ化物洗口の実施にかかる支援などを進めていく。

 各学校等においては、家庭や社会教育との連携による児童生徒が日常的に運動に親しむ機会を増やす取組、新体力テストを全学年で複数回実施することによる目標を明確にした体力向上のマネジメントの確立、生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を育成する体育・保健体育の授業改善などの取組を進めていただけるようお願いする。

▼学びを支える家庭・地域との連携・協働

 子どもたちが豊かな経験を重ねながらたくましく成長していくためには、家庭や地域と目標を共有した取組等によって、それぞれの役割を確実に果たしていくことが求められている。

 そのためには、「家庭と連携して子どもの学びを支える」「地域と協働して子どもの学びを支える」の2つの観点で教育活動等を推進することが重要である。

 1つめの観点の「家庭と連携して子どもの学びを支える」の具現化に向けては、項目の1つに「家庭の教育機能の発揮に向けた取組の充実」を重点として位置付け、子どもたちが自らの生活を振り返り、よりよい習慣づくりを進めていくよう、学校教育だけでなく、家庭や地域と連携していくため、つぎの2つの視点を位置付けている。

①PTAが主体となった研修や学習機会の拡充

②子どもの読書環境の整備と読書活動の充実

 そのため、教育局としては、望ましい生活習慣の定着に向けた子ども・地域生活習慣向上プロジェクト・どさんこアウトメディアプロジェクトの推進、子どもの学力・生活習慣改善研修会の開催、家庭ふれあいキャンペーン「とかち家族だんらんノーテレビデー」の推進、道立図書館と連携した学校図書館活用促進事業の実施などを進めていく。

 各学校等においては、ネット利用も含めた望ましい生活習慣の定着に向けた取組、望ましい生活習慣を身に付けさせるための子ども・地域生活習慣向上プロジェクト、学校司書の配置や地域人材との連携など、子どもの読書環境の整備や読書活動の充実を図る取組などの取組を進めていただけるようお願いする。

 2つ目の項目として、「家庭教育を支える社会教育の充実」を重点に位置付け、市町村や関係団体、企業等との連携・協働による地域における家庭教育支援活動を推進し、家庭の教育力の向上を図るため、つぎの2つの視点を位置付けている。

①家庭教育支援を担う人材の育成

②住民相互のつながりをつくる家庭教育支援体制づくりに向けた取組

 そのため、教育局として、家庭教育に関する学習機会の提供、地域人材による家庭教育支援推進事業家庭教育支援者の養成とネットワーク化推進事業の推進などを進めていく。

 各学校等においては、保護者が子育てや家庭教育について学んだり、悩み相談や情報交流したりする取組、地域人材による家庭教育支援推進事業家庭教育支援者の養成とネットワーク化推進事業の実施などを進めるようお願いする。

 2つ目の観点「地域と協働して子どもの学びを支える」の具現化に向けては、項目の1つに「学校と地域の連携・協働体制の確立」を重点として位置付け、地域全体で子どもたちの成長を支えることができるよう、社会に開かれた教育課程の理念に基づき、地域住民等の幅広い参画を進めるため、つぎの3つの視点を位置付ける。

①コミュニティ・スクールの機能の充実

②地域学校協働活動の取組の充実

③学校と地域をつなぐコーディネート機能の強化

 そのため、教育局としては、コミュニティ・スクールの推進・充実を図るための推進協議会の開催、市町村のニーズに応じた情報提供や指導助言の機会の拡充、コミュニティ・スクールを推進するコーディネーターを養成する研修会の開催、地域学校協働活動を担う人材を養成する研修会の開催などを進めていく。

 各学校等においては、教育大綱への位置付けや首長部局との連携を図ったコミュニティ・スクールの機能の充実、小中連携、地域連携の推進を担う人材の配置等の校務運営体制の整備などの取組を進めるようお願いする。

 2つ目の項目として、「地域の教育力を高める社会教育の充実」を重点に位置付け、学校と地域が一体となって子どもたちの成長を支えるため、地域の教育力を生かした学校づくりを進めるとともに、関係機関等との連携・協働による地域の特色を生かした取組を推進するため、つぎの3つの視点を位置付ける。

①社会教育関係団体の活性化に向けた支援

②地域活動を担う人材の育成

③地域の様々な団体や企業等との連携・協働の推進

 そのため、教育局としては、社会教育関係団体等の研修会への支援、家庭教育サポート企業等による教育支援活動への支援などを進めていく。

 各学校等においては、経験や技能を有する地域人材を活用した魅力ある教育活動の推進、地域における子どもの活動拠点づくりを担う人材の育成・資質向上を図る取組などを進めていただくようお願いする。

▼学びをつなぐ学校づくりの実現

 子どもたちが安心して登校し、教職員が情熱や専門性を発揮して指導等に当たるため、校種間連携や安全・安心の確保に向けた取組などによって、学校に対する信頼を高めていくことが求められている。

 そのためには、「子どもの学びをつなぐ」「信頼される学校をつくる」の2つの観点で教育活動等を推進することが重要である。

 1つ目の観点の「子どもの学びをつなぐ」の具現化に向けては、項目の1つに「校種間の学びをつなぐ取組の充実」を重点として位置付け、校区内の各校種間で目指す子どもの姿を共有するとともに、学校段階間の接続をスムーズに進める体制を整備するため、つぎの4つの視点を位置付けている。

①校区内の学校間での目指す子どもの姿の共有

②教職員の共通認識に基づく組織的、計画的な幼保小、小中、中高の接続の推進

③乗り入れ授業や研修機会等の拡充を通した小中、中高の連携

④「幼児期の終わりまでに育ってほしい子どもの姿」を踏まえた幼児教育施設と小学校との連携

 そのため、教育局としては、小中一貫教育支援事業および小中一貫教育サポート事業の成果の普及と市町村のニーズに応じた支援、芽室町における幼小連携・接続モデル事業の成果の普及、幼保小、小中、中高連携の状況把握および効果的な連携にかかる指導助言、幼児教育施設と連携したスタートカリキュラムの作成および改善にかかる指導助言、地域の子どもを育てる視点に立った道立学校と市町村教委との連携の促進、幼児教育施設と小学校との連携の在り方にかかる指導助言および研修(幼児教育推進センターとの連携)などを進めていく。

 各学校等においては、幼児教育施設と連携したスタートカリキュラムの改善、小学校における幼児期の終わりまでに育ってほしい子どもの姿を踏まえた授業・保育参観や合同研修会、小中連携・地域連携の推進を踏まえた校務運営体制の整備、中学校区における学習規律や学習過程の統一および乗り入れ授業等段差の解消に向けた取組の充実などを進めるようお願いする。

 2つ目の項目として、「子どもの安全を確保する取組の充実」を重点に位置付け、過去の災害・震災等の経験を踏まえた学校や地域における組織的な安全教育を充実させ、子どもたちが自然災害を正しく理解し、自らの的確な判断のもとで、危機対応ができる能力を育成するため、つぎの3つの視点を位置付ける。

①地域住民と連携した安全教育の充実

②大規模災害にも適切に対応できる危機管理の徹底

③「通学路安全マップ」の見直しおよび家庭、地域への周知

 そのため、教育局としては、交通安全、防犯、防災にかかわる学校安全推進会議の開催、道の危機管理対策課と連携した1日防災学校の開催(未実施の市町村)および成果の普及、危機管理マニュアルや通学路安全マップの改善にかかる指導助言などを進めていく。

 各学校等においては、地域住民と連携した見守り活動や防災訓練等の実施、各学校等の課題や実態を踏まえるとともに、大規模災害に適切に対応できる学校安全計画や危機管理マニュアル等の諸計画の見直しと改善、通学路安全マップの作成や防犯教室の実施など、児童生徒の危機対応能力を育成する取組、関係機関と連携した通学路交通安全プログラムに基づく取組の充実などを進めるようお願いする。

 2つ目の観点「信頼される学校をつくる」の具現化に向けては、項目の1つに「信頼の基盤となる服務規律の保持・徹底」を重点として位置付け、管内では、教員によるわいせつ事故、体罰、交通違反など学校教育の信頼を失う事案が多く発生しており、不祥事ゼロに向けて、一層の服務管理と服務規律の保持・徹底を図るため、つぎの2つの視点を位置付けている。

①教職員一人ひとりの自覚を促す不祥事の未然防止に向けた取組

②互いに注意喚起できる風通しのよいチェック機能の強化

 そのため、教育局としては、管内コンプライアンス会議を早期に開催し、年間を通した取組の徹底などを進めていく。

 各学校等においては、教育公務員としての自覚を促す指導の徹底、透明性の高い指導体制の確立など、不祥事の未然防止に向けた取組のための職場研修の継続的・反復的な実施、教育活動上の課題や兆候を見逃さない管理職の取組と教職員相互のチェック機能の強化、若手・期限付教員を対象とした研修会の充実、学校職員人事評価制度を活用した個別指導の実施などの取組を進めるようお願いする。

 2つ目の項目として、「効果的な教育活動を持続的に行える環境の整備」を重点に位置付け、教員が子どもの指導に使命感をもって専念し、生き生きと教育活動を推進することができるよう、学校における働き方改革を着実に推進するため、つぎの視点を位置付ける。

①学校における働き方改革を着実に推進するための組織的な取組

 そのため、教育局としては、学校における働き方改革「北海道アクションプラン」の周知徹底、各学校等における取組の支援と工夫事例の収集、働き方改革をサポートする人材の派遣、働き方改革推進会議における市町村教委等との協議・意見交換などを進めていく。

 各学校等においては、各市町村において策定した働き方改革推進プランや、各市町村および各学校において策定した部活動の在り方に関する方針の進ちょく状況の把握と実情に応じた効果的な取組の検討などの取組を進めるようお願いする。

 3つ目の項目として、「管内教育を活性化させる人材育成と教職員人事の適正化」を重点に位置付け、これからの十勝教育の発展を支え、将来の学校運営を担う人材育成に向けて、主任層を積極的に学校運営に参画させるとともに、人事異動の趣旨に基づく適正な人事を推進するため、つぎの2つの視点を位置付ける。

①スクールリーダーを育成する学校運営の充実

②教職員人事異動実施要項に基づくブロック間異動を通した年齢構成の適正化の促進

 そのため、教育局としては、とかち小・中学校職員人材育成基本方針に基づく取組の充実、中堅教員に対するスクールリーダー研修会などの育成支援、管理職の環境整備や女性管理職の育成と女性活躍を目指した研修会の計画的な開催、管内公立小中学校教職員人事推進会議を開催し、市町村教委と共通認識をもち、教職員構成の適正化に向けた方策等の協議、公立学校小中学校管理職の他管交流の推進について(道教育長通知)による管理職の広域人事、道公立小中学校教職員広域人事実施要項および管内公立小中学校教職員広域人事推進方針による教職員の広域人事の促進などを進めていく。

 各学校等においては、とかち小・中学校職員人材育成基本方針に基づく取組の充実、メンターチームを活用したOJTの推進、意図的・計画的な道研講座等の校外研修への参加、社会の変化に対応した校務運営組織の積極的な検討、学校職員人事評価制度を活用した人材育成と、教職員のキャリアアップの視点をもった人事異動の推進などの取組を進めるようお願いする。

▼学びを活かす地域社会の実現

 子どもや大人が学んだことを生かせる地域づくりを進めるため、地域の伝統・文化や地域課題等に対する理解を深める機会を増やすなど、生涯にわたって学び続ける環境を整える取組を推進することが求められている。

 そのためには、「活力ある地域づくりを推進する」「文化施設等を活用した学校教育、社会教育を推進する」の2つの観点で教育活動等を推進することが重要である。

 1つ目の観点「活力ある地域づくりを推進する」の具現化に向けては、項目に「地域での多様な学びを推進する社会教育の充実」を重点として位置付け、生涯を通じて、地域における多様な学びを推進する社会教育の充実を図り、学びの成果を地域づくりに生かせる環境をつくるため、つぎの3つの視点を位置付けている。

①首長部局との連携による地域課題の解決に向けた学習機会の拡充

②住民の学びを地域活動として生かす体制づくりの推進

③学習拠点としての社会教育施設等の機能の充実

 そのため、教育局としては、地域人材や学習ボランティアの育成と支援、道民カレッジ連携講座への登録の促進、子ども・地域生活習慣向上プロジェクトの推進や取組の普及啓発(再掲)、地域課題解決に向けた地域住民の学習機会の支援、公民館的な機能を活用した地域力向上モデル事業の推進などを進めていく。

 各学校等においては、道民カレッジ連携講座への登録、子ども・地域生活習慣向上プロジェクトの実施(再掲)、公民館的な機能を活用した地域力向上モデル事業の実施などの取組を進めるようお願いする。

 2つ目の観点「文化施設等を活用した学校教育、社会教育を推進する」の具現化に向けては、項目に「生涯を通じた芸術や文化財等にふれる機会の充実」を重点として位置付け、各世代ごとに、地域の歴史や文化への理解を深め、子どもと地域住民が一体となって地域の文化的活動を推進するため、つぎの2つの視点を位置付けている。

①美術館や博物館等を活用した地域や芸術への理解を深める教育活動の推進

②史跡や博物館等を活用した地域への関心を高める学習の推進

 そのため、教育局としては、美術館、博物館等のイベント情報の発信、道家庭教育サポート企業等制度を通した子育て支援などを進めていく。

 各学校等においては、美術館、博物館等を活用した教育活動や生涯学習の機会の拡充、地域の伝統的な芸能活動等への参加促進、大人と子どもがふれあい、共に活動する機会の拡充などの取組を進めていただけるようお願いする。

【むすびに】

 平成18年4月、先人のたくましい開拓精神で拓かれた十勝野の風土を背景に、十勝管内教育委員会連絡協議会が宣言した「十勝教育の日」の趣旨は、そのスローガン「十勝はひとつ」のもと、管内の教育関係者の英知と情熱を結集することにある。

 縦のつながりをみれば、先輩から受け継ぎ、後輩へと受け継がれていく伝統と文化によってもたらされる管内教育の深さがあり、横の広がりをみれば、家庭や地域、関係機関と一体となった十勝の風土が紡ぐ広さが見えてくる。

 この十勝教育の1年をそれぞれの学校、それぞれの地域、それぞれの立場で担うことを誇りに、また、喜びに感じる皆さんと手を携えながら、つぎの十勝を担う人を育てていきたい。

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十勝管内教育推進重点
十勝管内教育推進の重点(クリックすると拡大表示されます)

(道・道教委 2020-04-22付)

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 道教委は、体育エキスパート教員と体育専科教員の本年度配置校を決定した。新規の体育エキスパート教員は倶知安町立北陽小学校など5校に配置。複数の市町村の小学校を巡回し、体育授業の改善や体力向上...

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発達障がい支援成果普及へ データベース作成 道教委 校種別に事例掲載

 道教委は、発達障がい支援成果普及事業における支援体制づくり取組事例データベースを作成し、道立特別支援教育センターのホームページで公開している。必要な情報を円滑に検索できるよう学校種別等に分...

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