2年度後志管内教育推進の重点 自分で身を守る力育成 地域ぐるみで学習習慣確立(道・道教委 2020-05-15付)
後志教育局・中澤美明局長
【小樽発】後志教育局の中澤美明局長は4月下旬、テレビ会議で開いた管内代表校長会議で令和2年度管内教育推進の重点「学校全体の取組の推進」を示した。柱として、「学校安全教育の充実」「家庭・地域との連携・協働」などを設定。子どもが自分で身を守る力を身に付ける指導、学習規律の徹底、課題解決型の学習を重視した授業改善、地域ぐるみの取組による生活習慣・学習習慣確立などを求めたほか、学校全体の取組で教育効果を高めること、そのために計画的な人材育成を進めることを呼びかけた。
教育推進の重点はつぎのとおり。
▼学校安全教育の充実と温かい学校づくり
学校とは、安全な空間であり、子どもが先生や仲間から認められ安心して学ぶことができ、保護者が安心して通わせることができる学び舎でなければならない。そのため、まずは、安全にかかわる学校安全教育と、安心にかかわる温かい学校づくりに取り組んでいただきたい。
▽学校安全教育の充実
新型コロナウイルス感染防止では、手洗いの励行、咳エチケットの徹底、3つの密(密閉、密集、密接)の回避などを徹底していく。また、児童生徒自らが感染防止に取り組み、身を守ろうとする力を身に付ける指導を行う。
防災教育では、防災計画、防災マニュアルをあらためて見直し、全教職員で共有し、瞬時に対応できる体制を整えること。そのためにも、日ごろから組織で動くことに慣れておく必要がある。
新型コロナウイルス感染症対策、防災教育のいずれにおいても、防災に対する意識を高め、児童生徒が自ら行動し、児童生徒が自ら考え、行動し、自分で身を守ろうとする力を身に付ける指導を行っていくことを推進する。
▽温かい学校づくり
日常生活の中で、子どもたちの温かい心を感じる言葉、行動を全体で共有できるよう、言語化したり、可視化したりすること。また、子どもたちに最も影響を与える学習環境である教師が、期待の目で見守り、好意に満ちた言葉がけを行う。
こうしたことによって、児童生徒一人ひとりが大切で、かけがえのない存在であることを感じることができる学校や学級をつくることを推進する。このことは、子ども同士はもとより、管理職同士、教職員同士、保護者と教師の関係にも広げていく。
▼学びに向かう姿勢と主体的・対話的で深い学び
学校教育では、子どもたちが社会人として活躍する10~20年後の社会で求められる資質・能力を確実に身に付けさせることが重要。そのためには、学習規律を徹底するなど、学びの土台となる学びに向かう姿勢を身に付けさせるとともに、主体的・対話的で深い学びの実現を図る授業改善に取り組み、新学習指導要領の趣旨の実現に努める。
▽学習規律の徹底
机上の整理や椅子の座り方をはじめ、話し方や聞き方などについて、学びに向かう子どもの姿(目指す子どもの姿)を具体化し、写真等で分かりやすく可視化するなど、子どもも教職員も共有できるようにする。教師から指導されるだけでなく、子どもが自ら行動できるよう自己評価を行いながら取組を進める。学びに向かう子どもの姿を身に付けさせることによって、子どもたちが落ち着いて学ぶことができる学習環境づくりにもつなげる。
▽授業改善
課題解決型の授業を重視した授業展開を全校で継続して取り組むが、その際、①導入に時間をかけすぎないこと②教師がしゃべり過ぎないことなどに留意し、協働しながら主体的に学習を進めることができる時間を確保する。現在の教科書の構成は課題解決型になっており、教員は主たる教材である教科書に基づいた指導の充実に努める(在宅勤務の教材研究なども教科書の構成、内容を研究)③教師が実物投影機や電子黒板、パソコンやタブレットなどを活用して授業を展開することや、児童生徒が端末を活用して学習を充実させることなど、ICTの効果的な活用に努める。
▼家庭・地域との連携・協働
子どもが心身共に健康で過ごしながら、確かな学力や体力を確実に身に付けさせるためには、生活習慣や学習習慣を確立することが重要。習慣づくりには、学校で指導するが、生活の大半を過ごす家庭や地域との連携が不可欠。各学校では、コミュニティ・スクール、家庭教育サポート企業との連携など、地域ぐるみの取組を通して、自分で生活や学習の時間を管理できる子どもを育成する。
▼学校間の連携・接続
9年間を見通した小中一貫教育や中高を接続した教育は、教育効果を高める取組として、実践校から報告を受けており、今後、一層促進させることが重要。そのため、校種間の学びの連続性を大切にした指導を充実させるとともに、教師の指導力の向上を図るために乗り入れ授業を実施する。とりわけ、義務教育学校や小中一貫校を検討している学校については、率先して取り組む。
▼学校における働き方改革
子どもたちに対して効果的で質の高い教育活動を持続的に行うことができるよう、教職員が心身共に健康を保ち、誇りとやりがいをもって働くことができる環境の整備を図ることが重要。そのため、教職員がワークショップを行い、課題や方策を明らかにして共有して取り組むなど、教職員全体で取り組む。また、『北海道の学校における働き方改革手引 Road』を活用した取組を進める。
▼まとめ
こうした重点を学校全体で共有して、できるところから取り組んでいただきたい。教育局としても重点に関する取組を促進するため、義務教育指導監や指導主事の学校訪問等の充実に努めるほか、管内の好事例を収集し発信したい。
最後に、学校全体の取組についてあらためてお願いする。
学校で1人の教員が30個のごみを拾うためには、ある程度の時間を要するが、30人が1つずつ拾えば瞬時にきれいになる。すべての先生が同じ方針で、継続的に指導するなど、同方向のベクトルで取り組むことで教育効果を高めていただきたい。
このことが、子ども・保護者に安心感を与え、ひいては働き方改革にもつながる。
こうした取組を実現するためには、校長先生は、教職員一人ひとりに全体で取り組む大切さを学校の教育活動の随所で実感させる。また、学校の総合力を高めるには、個々の力量を高めることが重要であることから、計画的な人材育成に取り組んでいただきたい。
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(道・道教委 2020-05-15付)
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