2年度宗谷管内教育推進の重点 子どもの未来を保障 6つの柱 15の重点(道・道教委 2020-05-19付)
宗谷教育局・田中賢一局長
【稚内発】宗谷教育局の田中賢一局長は、令和2年度の宗谷管内教育推進の重点を示した。本年度の教育推進のテーマは「子どもの未来保障」と設定し、6つの柱と対応する15の重点推進項目を掲げた。具体的方策として、教員のキャリアステージに応じた組織マネジメント研修、防災教育の充実などを示している。
管内教育推進の重点はつぎのとおり。
【柱1 学校づくり】
学校は、地域の子どもを預かり未来を生きるための資質・能力を身に付けさせるための教育機関として、目標を明確にすること、目標を実現する取組を精選すること、目標の達成を果たすことなどが求められる。このことは、教育機関の先頭に立つ学校長が、教職員一人ひとりの力量や個性を把握しながら、役割と責任を明確にして組織的な学校経営を進める必要を意味する。
子どもの未来保障を支えるためには、課題解決に向けて柔軟に学校経営の改善・充実を図り、学校長の経営方針のもと、全教職員が意欲と働きがいをもって子どもの教育に取り組むことができる学校づくりを推進することが重要。
重点推進項目の「学校経営の改善・充実」について、学校力向上に関する総合実践事業の成果などを活用し、各学校の学校経営組織マネジメントが機能するよう支援する。
重点推進項目の「働き方改革」について、学校経営組織マネジメントを機能させ、学校の教育目標の実現を最優先に進めるための業務改善を支援する。
重点推進項目の「教員の資質・能力の向上」について、教職員がそれぞれのキャリアステージに応じた役割と責任を果たして業務を進めることができるよう支援する。
重点推進項目の「特色ある高校」について、地域創生の観点から、高校生に必要な資質・能力を身に付けさせるため、高校における地域の実情を踏まえた特色ある教育課程の編成・実施を支援する。
このことから、各市町村、学校においては、つぎのことに取り組むようお願いする。
学校の教育目標の実現のため、校内組織の有効性・妥当性や意思決定の過程の見直しなどに取り組み、それぞれの学校経営組織マネジメントの改善・充実を図ること。
教職員一人ひとりの取組が子どもの資質・能力の育成に直結するよう業務の改善・精選を図り、キャリアに応じて組織内の責任と役割を明確にした学校組織の活性化を図ること。
高校において、地域創生の観点から、地域の教育資源を有効活用した教育課程を編成・実施することを通して、高校生が社会の形成者として生きることを意識し、必要な資質・能力を身に付けさせること。
【柱2 資質・能力の育成】
子どもの未来保障のためには、学校が組織的な活動を進める中で、必要となる具体的な資質・能力を明確にし、確実に身に付けさせることが必要。特に、予測困難な未来を生きるためには、すべての子どもに確かな学力を身に付けさせ、自己実現を図ることができるよう支援することが不可欠と考える。
また、高度な情報処理社会を生きる子どもたちに情報活用能力を確実に身に付けさせることや、さらには、災害などから自分の身を自分で守ることも身に付けさせる必要がある。
これらのことから、将来、子どもたちが自己実現を図り、社会の形成者として活躍するためには、必要な資質・能力を身に付けさせることが重要と考える。
重点推進項目の「確かな学力の育成」について、学力向上プランに基づいて、子どもの学習の理解の状況を的確に把握し、分かるまで丁寧に指導するなどの検証改善サイクルを確立するよう支援する。また、子どもに未来社会を切り拓く資質・能力を身に付けさせるため、学習指導要領に基づく主体的・対話的で深い学びの実現に向けた教育課程および授業改善を支援していく。
重点推進項目の「特別支援教育の充実」について、子ども一人ひとりの教育的ニーズを的確に把握し、そのニーズに応じた指導を進め、すべての子どもに必要な資質・能力を確実に身に付けるよう支援する。
重点推進項目の「ICT環境整備」について、Society5・0時代を生きる子どもたちに、ICT機器を活用して、先端技術等の効果的な活用を図るとともに、主体的・対話的な深い学びを実現するツールとして有効活用することができるよう支援する。
重点推進項目の「防災教育の充実」について、学校の危機管理マニュアルの不断の見直しや、災害等において子どもが自らの命を守ることができるよう、実効的な避難訓練の実施について支援する。
このことから、各市町村、学校においては、つぎのことに取り組むようお願いする。
全国学力・学習状況調査問題やチャレンジテストなどを継続的に活用して、客観的な視点から子どもの学力の状況を把握し、確かな学力を身に付けさせること。
カリキュラム・マネジメントの機能を生かして、短期的かつ柔軟に教育課程の改善を図るとともに、年間、単元指導計画および一単位時間の学習指導を見直し、主体的・対話的で深い学びを実現するための授業改善を進めること。
ICT機器を活用した授業改善を進めること。
子どもの命を守ることは、教育課程の基本中の基本ととらえ、危機管理マニュアルの不断の見直しを図るとともに、実効的な避難訓練を実施するなど防災教育の充実を図ること。
【柱3 心の育成】
豊かな心を育むことは、将来、社会の形成者として、困難をはねのけ、主体性をもちながら他者と望ましい人間関係を構築するために重要と考える。
重点推進項目の「道徳教育の充実」について、子ども自ら、道徳的価値の理解を深め、自己の生き方についての考えを深めることができるよう道徳科の指導の充実を図り、道徳教育の継続的な発展を支援する。
重点推進項目の「いじめ防止、不登校支援」について、子どものコミュニケーション能力を高め、望ましい人間関係を構築することができるよう、生徒指導の機能を生かした教育相談体制の構築を支援する。
このことから、各市町村、学校においては、つぎのことに取り組むようお願いする。
道徳科の目標を踏まえた学習指導過程の充実や年間指導計画に基づいた教材の活用などにかかわる教員研修を通して、道徳科の指導の充実を図ること。
学校の教育活動全般において、自己決定の場の設定、共感的な人間関係の構築、自己有用感をもたせるなどの指導の充実を図り、子ども一人ひとりに豊かな人間性を育むこと。
【柱4 体の育成】
体力および健康の保持増進は、将来をたくましく生き抜く基礎となる健やかな体づくりに向けて重要と考える。
重点推進項目の「体力・運動能力の向上」について、子どもが、自らの体に関心をもち、運動することによって体力の保持増進を実感するなど、意欲的に運動に親しむことができる授業改善を支援する。
このことから、各市町村、学校においては、つぎのことに取り組むようお願いする。
子ども自らが主体的に運動に取り組み、豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を身に付けることができる体育・保健体育の授業改善。
新体力テストの種目を活用して複数回、測定することなどを通して、子どもが体力の向上を客観的に実感することができる継続的な取組を進めること。
【柱5 教育環境】
教育の質を向上させるためには、学校が家庭や地域と子どもの育成の目標を共通理解し、連携・協働して子どもを育成するための教育環境を構築することが重要と考える。
重点推進項目の「学校と地域の連携・協働」「家庭教育支援の充実」について、学校の役割、家庭・地域の役割を明確にして、互いに補完関係を形成することができるようコミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進による学校と地域の実効的な連携・協働体制の構築を支援する。
このことから、各市町村、学校においては、つぎのことに取り組むようお願いする。
学校の役割の明確化を図った上で、家庭や地域の役割も明確にし、双方の役割や機能の共通理解を図り、コミュニティ・スクールや地域学校協働活動など、地域の実情に応じた実効的な連携・協働体制を構築すること。
地域の実情に応じて保護者の学習機会や親子参加型の取組を積極的に進めるなど、家庭教育の充実を図ること。
【柱6 生涯学習社会】
地域が一体となって子どもを育てるとともに、学びを生かす地域社会の実現を図ることは、子どもが将来、生まれ育った地域に誇りをもちながら、自己実現を図る上で重要と考える。
重点推進項目の「生涯学習の振興」「社会教育の振興」について、地域における独自の課題を明確にするとともに、地域住民がその課題に対して主体的に解決する姿を子どもたちに示す機会を設定するなど、社会教育を基盤とした生涯学習社会の実現に向けた取組を支援する。
このことから、各市町村、学校においては、つぎのことに取り組むようお願いする。
市町村が目指す地方創生の観点から、地域ごとの課題を明確にするとともに、学校教育、社会教育の双方において、課題解決の方向性を明らかにすること。
地域ごとの課題の解決に、子どもを含めた地域住民の参画を促すなど、学校教育と社会教育の連携・協力を図り、市町村における地方創生に資する活動を進めること。
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(道・道教委 2020-05-19付)
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