寄稿 分散登校、学校再開時の留意点 子に肯定的な声かけを チェックシート考案 石垣教授
(コロナウイルス関連 2020-05-18付)

分散登校、学校再開チェックシート
分散登校、学校再開チェックシート(クリックすると拡大表示されます)

 道文教大学人間科学部子ども発達学科の石垣則昭教授は、「子どもたちの分散登校、学校再開で気をつけたいこと」と題し、本紙に寄稿した。新型コロナウイルス感染拡大防止のための臨時休業から分散登校、学校再開を始める際の留意点を提示。最初の1、2週間は徐々に集団生活に慣れさせる「慣らし運転」に心掛けること、子どもには肯定的な声がけをすること、教師間の連携を大切にすることなどを呼びかけた。併せて、教師のかかわりと子どもの様子のチェックシートを考案した。

 新型コロナウイルスによって、長期間の学校閉鎖を余儀なくされましたが、段階的な自粛解除とともに、地域によっては分散登校が行われ、学校再開が待たれる状況にあります。

 長期間にわたる自粛のストレスは子どもたちばかりではなく、教師も同様です。「やる気がわかない」「イライラする」などの相談を受け、前回、「今、職場で必要なメンタルヘルス」と題しチェックシートとともに、寄稿させていただきました。このたびも北海道通信社のご理解をいただき、「子どもたちの分散登校、学校再開で気をつけたいこと」と題して、チェックシートと併せ寄稿いたします。

 人は社会的動物であり、他と接することで心の安定を図ることができますが、通常の入学式を迎えていない小学1年生や中学1年生、高校1年生にとってみれば、新しい仲間と知り合い、分かち合うことへ不安を残しています。

 中・高校生であれば友人と連絡を取り、つながることはできますが、小学1年生はヒューマンネットワーク(自分の境界を取り除いた関係性)が築かれていません。これはどの学年の子どもたちにも言えます。特に心配されることは、学校への不適応(取り巻く環境に合わせることができず、何らかの生活上の問題や不便を生じること)です。

 分散登校、学校再開の日は、当日に向け期待よりも不安が増大する子もいますので、つぎのような内容に気をつけてはどうでしょうか。

(1)1、2週間は慣らし運転とする

 教師は学校の再開に気持ちが高まり、授業の遅れを取り戻すため、つい元気よく早いペースで授業を進めようとしがちですが、子どもによっては圧迫感やストレスを感じることがあり、1、2週間は「慣らし運転」が必要です。

 特に、この間は意識して、教師の強い思いで子どもたちに接するのではなく、子どもたち一人ひとりの様子を把握しながら、徐々に集団生活に慣れさせるよう心がけたいものです。

(2)肯定的な声がけをする

 子どもによっては、妙にテンションが高く、人と視線を合わせないなど、両極端な様子がみられます。それは、必要以上の緊張やストレスから自分を守ろうとする防衛機制(否認したい欲求や不快な欲求から身を守る手段)が働いていると考えられます。

 また、「落ち着こう」「元気ないね」などと声をかけてしまうと、「やっぱり自分は駄目なんだ」と自覚的になり、余計に不安を募らせることになります。気軽に「自宅で心がけていたことは何?」「毎日、意識して活動していたことは何?」などと聞き、子どもが答えた内容に「よくやっていたね」「それは、立派だね」など肯定的に返答するようにします。

(3)できるだけ、多くの子どもたちに声がけをする

 子どもたちの不安定な心理状態を把握し安定に導くためには、遠巻きに様子をうかがうのではなく、上記で説明したように肯定的に返答することを意識し、適切なパーソナルスペースを取りながら声がけをすることが、このたびのような分散登校、学校再開時には極めて重要です。

 特に、家庭生活の様子に課題がある子どもには、説諭調や指導調にならないようにし、まずはうまく生活ができなかった状況を受け入れ、つぎに「本当はどう生活すれば、よかったと思う」など怒り口調ではなく、静かに子どもたち自ら反省を述べることができるようにします。

 最後に「君はしっかり、自分のことを理解できているね。立派だよ。あとは実行することだね」と励ましを与えるようにすると、緊張感が解け安堵感が広がります。子どもたちの頑張るエネルギー源は、仲間の存在と教師の笑顔と声がけです。

(4)教師間の連携を大切にする

 学校全体であらためて共通理解を図っていただきたいことは、子どもたちの心配な様子を担任、担当一人で抱え込まないことです。心配な様子かどうかは、その先生の主観(自分がどう思う、考えるか)によりますので、複数の先生で情報交換し子どもたちを見守るようにします。

(5)保護者との連絡と、その情報を生かした子どもへの対応

 保護者と連絡を取る場合は「家庭で何かありましたか?」と問うと、保護者自身も不安になります。

 「食欲はありましたか?」「就寝、起床時間で気になることがありますか?」、さらに「生活の様子について、気にかかることがありましたか?」などと問うようにし、具体的な情報を得るようにします。その情報によって子どもに対応しますが、「家でも元気がなかったんだって?」「就寝時間が遅くなっていたんだって?」では追及、詰問となり心を閉ざします。

 情報を得たからといって、ストレートに問うのではなく、様子をみながら「みんなと一緒にいることが慣れてきた?」「いつでも、先生相談に乗るよ」とメッセージを発信するようにします。

 相談に来たら「大丈夫だよ」「頑張れ」では心は晴れません。また、励ましのつもりで「みんなも同じだよ」では、相談に来た意味が見いだせません。

 一般に相談者は、心のモヤモヤを早く解消するため、どう行動するのがよいのか、すでに理解できています。しかし、踏み出すことができない状態にあるため、同調(調子を合わせ意見・主張などに賛同する)し、背中を押してほしいのです。

 正論や説諭ではなく、まずは話をじっくり聴き、否定することなく受け止めることによって安心感が付与されます。

 「子どもたちの分散登校、学校再開で気をつけたいこと」と題し説明いたしましたが、すべての子どもたちと教師に笑顔が戻り、再び活気のある学校を取り戻すことができるよう心より願っています。

(北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授・石垣則昭)

※「分散登校、学校再開チェックシート」(ワード形式)は、道通ネットの情報BOXからダウンロードできます。

(コロナウイルス関連 2020-05-18付)

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