新型コロナ対応　各地で取組加速　学習・進路など個人面談も　札幌北陵高　オンライン積極活用

（コロナウイルス関連 2020-05-20付）

遠方に住む生徒とオンライン上で面談する泉教諭

　札幌北陵高校（渋川誠人校長）は、スクールネットを臨時的に運用したビデオ会議アプリを活用し、同時双方向で生徒の学習を支援している。１８日に実施した個人面談では、対面と同様の効果を実感する教諭の声や、オンラインで相談ができることに安心感を得る生徒の感想が挙がっていた。

　道立学校の通信回線であるスクールネットは、通信量を上回る可能性があることから、これまで児童生徒との同時双方向の通信が困難だった。

　今回、新型コロナウイルス感染症に対応した臨時休業中における家庭学習を支援するため、道教委はスクールネットの仕組みを変更。ウェブ会議サービスなどによる同時双方向での通信が可能となった。

　これまで札幌北陵高は、チャット形式のアプリなどを使った部分的なオンライン学習の取組を試みてきたが、複数生徒を接続した対面による双方向通信の実現は初となる。

　ビデオ会議アプリＺｏｏｍを活用した実証実験として、１４日には３クラスで展開、同時に１２０人を接続した状態でホームルームを実施。生徒の健康や学習状況などの把握に努めながら、数多くの生徒と接続した際のシステムへの負荷などを検証した。

　１５日は日本史の授業で活用。３年生４０人と接続し、学習課題の解説や取組の助言などを行った。

　生徒からは「クラス全員で集まれることに安心した」「久しぶりに先生と顔を合わせることができて新鮮だった」などの感想が挙がった。

　本格的な運用となった１８日には、学習や進路に関する個人面談を実施。泉融希教諭が２年生の松岡幸さんの自宅と接続し、双方向、リアルタイムで通信した。

　同校は希望生徒への面談を行っているが、オホーツク管内からの下宿生である松岡さんにとっては、来校して相談を受けることが難しい状態だ。

　泉教諭は、家庭での様子や学習状況などを聞き取ったあと、今後選択する類型や科目について確認。本人の志望校やなりたい職業などを踏まえ、現在の成績や大学のホームページなどを画面で共有しながら今後の方向などを話し合った。

　また、模試の成績を見比べながら、中心的に取り組むべき学習内容、休業中の１日の勉強時間、今後の目標などを立てさせた。

　泉教諭は、データ化された個人成績や進路資料などをリアルタイムで共有できることから、対面と同様の効果を実感した。

　松岡さんは、対面とオンラインのそれぞれの利点を挙げながら「オンラインで休業中に遠方からも相談できるのは安心できる」と話していた。

　同校は、今後も学校全体で計画を立てるなどして効率化を図りながら、双方向通信の活用の幅を広げていく考えだ。

(コロナウイルス関連 2020-05-20付)