道教委に4事項・25項目要請 ゆたかな学びの保障を コロナ感染対応で北教組
(コロナウイルス関連 2020-05-27付)

北教組コロナ対応要望
山﨑俊一書記次長(右)が青野努職員制度室長に要請書を手渡した

 北教組(木下真一中央執行委員長)は22日、道教委に「新型コロナウイルス感染症から子ども・教職員のいのちと健康を守り、学校の安全・安心と子どもたちのゆたかな学びの保障に向けた要請書」を提出した。要請内容は、「子ども・家庭・学校の安全・安心を守るための支援」「子どもたちのゆたかな学びの保障」「教育費支援・教育環境整備への財源確保」「教職員が教育活動に専念できる職場環境・労働条件の整備」の4事項25項目。学校の安全・安心と子どもたちの学びの保障のための取組を求めた。

 要請書の概要はつぎのとおり。

 国の緊急事態宣言延長に伴い、特定警戒都道府県に指定された道内では、すべての自治体で5月中の休校が決定した。子どもたちは、1年の基盤となる年度始めを校内で過ごすことができず、友人と会えない遊べない日々が続いている。

 また、楽しみにしていた行事の中止・延期や年度末から続く未学習範囲の拡大、さらには見通しのもてない部活動などに大きな不安やストレスを抱えている。こうした中で教職員は、子どもや家庭と定期的に連絡を取り合い、関係性を保ち学びの機会を様々な手段で確保すべく奮闘している。学校は、道教委から在宅勤務が奨励されているにもかかわらず、「“子どもの居場所”として学校を開設している」「消毒作業や分散登校準備で毎日出勤している」など、国が基準とする接触8割減に遠く及ばない勤務実態となっている。

 道教委として、今後、学校を集団感染源の場としないことはもちろん感染経路とさせないため、具体的な対応策を示す必要がある。

 また、国の補正予算における新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、109の活用事例の中に「修学旅行等の中止に伴うキャンセル料」や「家庭学習教材の作成・購入」「通信・交通に要する経費等」「子育て世帯や家計急変学生への支援」等に活用が可能とされている。

 しかし、一括の地方財政措置となっていることから、各市町村において確実に学校にかかわる予算を確保させる必要がある。さらに、道・道教委は、コロナ禍によって経済的に苦しむ家庭や各学校に対し財政的な支援を行うため、様々な観点で国に要求していくことが重要である。

 学校は本来、子どもたちと教職員が向き合い、また子ども同士が分かり合い、励まし合ってこそ真の学びが育まれる場である。したがって、子どもたちの健康・安全に配慮しつつ、直接的なかかわりを大切にした学びを最大限確保すべきである。

 以上のことから、学校の休業・再開にかかわり、子ども・教職員のいのちと健康を守り、学校の安全・安心と子どもたちのゆたかな学びの保障のために、下記について要請する。

▼子ども・家庭・学校の安全・安心を守るための支援について

▽休校による子どもの心のケアを十分行えるよう学校体制を整備すること

▽マスク・消毒用アルコール・ハンドソープ・非接触型体温計など、感染防止に必要な物品を十分に配備すること

▽安全な教育環境確保のため、消毒作業を行うための人員を配置すること

▽寄宿舎やスクールバス添乗での指導など、子どもと密接した教育活動を行う環境に対し3密対策や消毒作業等を徹底すること

▽夏季に向けてマスク着用での生活が想定されることから、校内への冷風機の設置など熱中症対策を講じること

▽健康診断や集団フッ素洗口については感染拡大防止のため、少なくとも当面は中止するよう指導助言すること

▽新型コロナウイルス感染症に関する休校や登校などの判断および対応については、学校・教職員対応とせず、道・市町村教委が責任をもって保護者に対し説明を行うこと

▼子どもたちのゆたかな学びの保障について

▽教育課程の編成権は学校にあることから、画一的な判断を押し付けず学校の判断を最大限尊重すること。また、この間、中止・延期となった行事等については、子どもに学校生活の楽しさ・喜びを取り戻す観点から、代替措置を最大限構築すること

▽土曜授業や長期休業期間の短縮、7時間授業など過密な日課は子どもの負担増となることから、文部科学省通知に基づき標準授業時数を弾力的に扱い、時数の確保のみにとらわれることのないよう配慮すること

▽未履修分に専念できる環境を確保するため、全国学力調査や全国体力調査を道独自の判断で行わないことは当然として、チャレンジテスト、新体力テストなど授業時数を圧迫するものは実施しないこと。また、子どもの主体的な学びを確保するため、他単元や他学年の類似学習内容部分と合わせて学習するなど、現場の工夫を妨げるようなことはしないこと

▽中止・延期となった各種大会・コンクール等については、この間の子どもたちの努力を認め今後の目標設定の場として、教育活動を妨げない範囲で代替措置を講じるなど配慮を行うこと。併せて部活動の社会教育の移行を一層推進すること

▽「9月入学・始業」については、様々な課題があり十分な検討が必要なことから、当面、子どもたちの学びの保障および最善の状態での学校再開を優先し、拙速な議論は行わないこと

▼教育費支援および教育環境整備に向けた財政確保について

▽新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を教育支援に活用するよう道に求めること。また、各市町村においても同様の要請を行うこと

▽マスク等感染予防のための備品整備や消毒作業等の人員については、学校や個人のボランティアに頼ることなく予算を確保すること

▽臨時休校対応に伴う諸経費(家庭訪問旅費、郵送代、電話代、印刷代)の増加分を措置すること。また、教職員が子どもの健康・安全確認等で必要な経費を個人負担することがないようにすること。個人負担していた場合は、確実に補償すること

▽年度内で発生した修学旅行や校外学習等のキャンセル料および追加費用について、保護者負担とせず全額補償すること。また、給食費を無償とすること

▽家庭の経済環境等に左右されず、すべての子どもが多様な教育活動を受けることができるよう、情報機器の整備や通信環境の整備を早急に進めること

▽保護者の経済状況悪化に対応するため、給付型奨学金の支給要件の緩和や支給対象者の拡大を図ること。また、家計の急変による授業料等の負担を軽減するため、現役高・大・専門学校生等を対象とした長期間の生活保障支援の財源を確保するよう、国に要望すること。さらに、道独自でも同趣旨の財源を確保すること。併せて、市町村に対し、就学援助制度の年度中途認定について、柔軟な対応および周知徹底を要請すること

▼教職員が教育活動に専念できる職場環境・労働条件の整備について

▽教室などの過密化を防止する観点から、30人以下学級を実現するため、国に働きかけること。また、当面は分散登校の基準となっている20人以下の少人数指導に向けて教員や学習支援員等の増員を進めること。そのため、教員免許保持者確保の観点から免許更新制度の廃止・休止を文科省に要請すること

▽学校再開後は教育課程の過密化が懸念されることから、指定研究事業・各種法定研修事業の中止・規模縮小を図ること。また、指導主事訪問やそれに伴う特設公開授業を行わないこと。併せて、市町村独自の研修等については、教職員や子どもたちの負担軽減の観点から凍結するよう要請すること

▽教職員の健康と安全の確保のために、勤務時間の順守および管理を適切に行うこと

▽新型コロナウイルス感染症対応は、上限方針の「児童生徒にかかる臨時的な特別な事情」の対象とはしないこと。また、要領の対象業務に新たに盛り込むなど、やむを得ず行った超勤や週休日の勤務については実質的な回復を措置すること

▽感染防止のための在宅勤務の推奨を徹底すること

▽子どもの学びの保障にかかわり勤務日の変更などについては、教職員の超勤・多忙化とならないよう、週休日の振替や勤務時間の割振り変更を完全措置するとともに、休暇等についても確実に行使できるよう配慮を行うこと

▽勤務条件に関することは、北教組と十分協議・交渉を行うこと

(コロナウイルス関連 2020-05-27付)

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