道教育大附属釧路中 オンライン授業の実際 1月経過 日常に定着 3年数学 ICTで“発見”も(コロナウイルス関連 2020-05-29付)
相談室から指導する赤本教諭
【釧路発】新型コロナウイルス感染症拡大防止のため臨時休業を余儀なくされた学校で、ICTを利用した取組が進みつつある。道教育大学附属釧路中学校(早勢裕明校長)では、オンライン授業を開始してすでに1ヵ月が経過。タブレット端末を使いこなす教員の姿が日常となっている。教員と生徒が物理的に離れていても、主体的・対話的で深い学び、個別最適化された学びの実現に努める同校の授業見学を通して、オンライン授業の実際に迫った。
同校は、校内研修、生徒向け講習、接続実験などを経て、4月24日にオンライン授業を開始。ビデオ会議システムGoogle Meetと、双方向学習を支援するためのクラウドサービス「ロイロノート」を組み合わせて進めている。生徒の自宅のインターネット環境は、事前に調査済みで必要に応じてタブレット端末を貸し出している。
5月21日の3年数学「多項式」の因数分解を扱う授業。赤本純基教諭は、教室ではなく職員室の向かいにある相談室で指導を行った。
用意した機材は、大型テレビモニター、ノートパソコン、タブレット端末2台。ノートパソコンではGoogle Meetを起動し、自宅にいる生徒30人分の動画を1画面に表示した。
画面は大型のテレビモニターにも映し出した。赤本教諭は「生徒の表情などは、テレビモニターで見ている」と説明している。
2台のタブレット端末には、ロイロノートがインストールされている。生徒のタブレット端末にも同じものが入っており、教員と生徒、生徒同士がデータを簡単に共有できる仕組みになっている。
授業は、Google Meetで音声を伝え、ロイロノートで画像を共有しながら進めた。生徒に発問して考えや意見を引き出したほか、その考えに対する意見をほかの生徒に求めるなど、双方向のやり取りをスムーズに行った。授業を通じて10人以上の生徒に発言の機会を与えた。
生徒に問題を解かせて解答を回収し、授業中に丸付けする場面も。丸付けによって因数分解の考え方を理解できていない生徒がいることが分かり、5分ほど時間を取って解説した。赤本教諭は「予定にはなかったが、アドリブで指導した」と振り返る。
通常の授業では、時間内に細かなつまずきを発見するのが難しい部分もあるが、今回は学習支援ツールの活用によって、個別最適化された学びにつなげていた。
最後に宿題を出し、ある生徒が授業中に自作した因数分解の問題を解いて、ロイロノートで提出するよう求めた。
宿題は「1問解くだけ」だったが、生徒たちは自発的に問題をつくり、その日のうちに大量に提出してきた。赤本教諭は「自作問題はクラス全体で共有できるため、生徒間でやり取りして問題を解き合ったり、教え合ったりしている」と説明。生徒たちがICTを使いこなして主体的・対話的で深い学びを実践している様子がうかがえた。
授業中は、一部の生徒の映像が途切れるなど、オンラインならではの課題もみられたが、タブレットなどの操作なども含めスムーズに進行した。
小林一博副校長は「赤本教諭が特別というわけではなく、教員はみんな対応できている」と話す。
Google Meetとロイロノートに関しては、学校再開後も継続して使う考えで、「始めてみなければ、成果も課題もみえてこない。引き続き、積極的に取り組んでいきたい」と話している。
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(コロナウイルス関連 2020-05-29付)
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