【解説】大学入試時期見直し検討

（コロナウイルス関連 2020-06-02付）

　新型コロナウイルス感染症による休業長期化を踏まえ、萩生田光一文部科学大臣は、５月２９日の閣議後会見で大学入試の実施時期などの見直しを検討する考えを示した。入試日程や方法などを記載した大学入学者選抜の実施要項を６月に策定し、その中で配慮すべき事項を明記する。

　例年、文科省は、入試の日程や方法などを記載した大学入学者選抜の実施要項を、高校・大学関係者等による審議を経て、６月に策定・公表している。

　萩生田文科大臣は、令和３年度の大学入選について、高校の臨時休業の長期化、新型コロナウイルス感染症の終息の見通しが不透明であることで多くの受験生が不安を抱えているとし、「入試に関する情報を速やかに周知することは、受験生が抱える不安を解消し、余裕をもって進学準備に取り組むためにも文科省がとるべき、最重要課題の一つ」との認識を示した。

　このため、文科省は、全国高校長協会に対して、「入試日程を全体的に遅らせる」「入試の出題範囲を限定する」「追試験の活用によって受験機会の確保を図る」ことなどについてのアンケート調査を依頼。調査結果を踏まえ、高校・大学関係者の協議の場において議論し、６月中に大学入学者選抜実施要項を策定・公表する考えを示した。

　一方、自民党の秋季入学制度検討ワーキングチームの提言では、多くの生徒が抱える入試の不安を解消するため、本年度実施が予定されている入試に関し「政府は早急に方針を決定・公表する必要がある」と指摘。

　大学入学者選抜の日程については、高校３年生の学びの進ちょく状況や浪人生の思いなどを踏まえつつ、高校・大学関係者との協議を行った上で、２週間から１ヵ月程度後倒しすることを検討する必要性を示している。

(コロナウイルス関連 2020-06-02付)