【解説】２０２０年度ものづくり白書

（解説 2020-06-03付）

　経済産業省・厚生労働省・文部科学省は、２０２０年度ものづくり白書を公表した。製造業のデジタル化への移行に必要な人材育成の必要性を指摘。ＡＩ人材の育成に向け、数理・データサイエンスなどの知識や技能をもとに、新しい製品やサービスをデザインする能力が重要としている。

　第１部「ものづくり基盤技術の現状と課題」、第２部「令和元年度においてものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策」で構成。

　新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響で世界の不確実性が高まっているとし、製造工程のデータ収集や利活用など、製造業におけるデジタル化の有効性を指摘。デジタル化移行に必要な人材が量の面で不足しているとし、数学知識をもつ人材の活躍機会拡大の必要性を示した。

　ＡＩ人材の育成に向けては、数理・データサイエンス・ＡＩの知識や技能、人文社会芸術系の教養をもとに、新しい社会の在り方や製品・サービスをデザインする能力が重要と指摘。

　２０２５年までにＡＩの専門家を年間２０００人、トップクラスの専門家を１００人育てるＡＩ戦略２０１９の目標実現のため、従来の教育方法の改善、新たな手法の導入・強化、実社会の課題解決的な学習の教科等横断的な実施が重要としている。

　すべての高校卒業生に数理・データサイエンス・ＡＩに関する基礎的なリテラシーを習得させ、問題発見・解決学習の体験を通して創造性をかん養するため、発達段階に応じたプログラミング教育、小・中・高を通じた統計教育、各教科等横断的なＳＴＥＡＭ教育の実施などの方向性を提示。基盤となる学校のＩＣＴ環境の整備、現職教員のデータサイエンス・ＡＩリテラシー向上の学習機会提供など国の方針を示している。

(解説 2020-06-03付)