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コロナ禍で北海道千歳リハビリテーション大学　学生の“学び”後押し　遠隔授業と分散対面授業併用
（コロナウイルス関連 2020-06-18付）

３密を避けながら９０分の講義に耳を傾けた

　新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が解除されたのを受け、北海道千歳リハビリテーション大学（森満学長）は８日から、遠隔授業と分散対面授業を併用した授業を始めている。学年ごとに登校日を指定した分散対面授業では密集を避けるため教室を２ヵ所に分け、半数は教員から直接指導を受け、半数はリモートでの授業に臨めるよう工夫。学生からは「友達と話をしたり、直接先生の声を聞いて勉強することで、よりやる気になった」との声が聞かれた。

　学校法人・淳心学園が運営する北海道千歳リハビリテーション大学は、４年間を通して学ぶ「障がい予防リハビリテーション」と地域貢献によるコミュニケーション力の育成を大きな特色としており、年次ごとの独自カリキュラムのもと、理学療法学専攻、作業療法学専攻合わせて約４４０人の学生が高度な知識と技術を身に付けた療法士を目指し勉学に励んでいる。

　しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止によって、６月７日まで大学への登校を禁止とし、課外活動については、３０日まで全面的に実施できない。

　そうした中、５月１１日から全学年に１コマごとの講義資料と確認課題をメール配信し、課題回答の提出を求めるなどの遠隔授業を進めてきた。

　８日から始まった遠隔授業と分散対面授業の併用について、伊藤俊一副学長は「友達と話したり直接先生の声を聞いて勉強するほうがやる気になるしやれている」との学生の声を紹介し「これが本音。大学に来てモチベーションを上げ、次の週のリモート授業に臨むことができる。登校を待っていただけ学生の反応は良いし、何より皆が明るい」と感想を話す。

　分散登校は６月いっぱいを予定。１１日には１年生が登校し、分散対面授業に臨んだ。

　学生は、玄関で手指をアルコール消毒。自宅で検温できなかった学生用に非接触型体温計を用意するなど衛生管理は万全だ。

　１２２人の学生が換気に配慮した２教室に分かれ、白戸一秀非常勤講師による一般教養科目「社会貢献の方法と実践」の授業に臨んだ。半数が講師から直接指導を受け、半数が別教室でモニター越しに受講。学生は一つ置きに席に座るなど「３密」を避けながら９０分間の講義に熱心に耳を傾けていた。

　医療系大学として最も重要な臨床実習については、厚生労働省等からの通知を検討した結果、実習のすべてを中止に。伊藤副学長は「特に３年生は３週間、４年生は８週間の実習があったが、断腸の思いで中止した」と苦衷を吐露する。

　いまは実習の代替授業として研修先の病院で撮影したビデオ映像を活用。「この症例はどうするのか」などと課題を提示し翌日までにレポートを提出させる授業を続けている。

　「６月１５日からは夕方に病院とリモートでつないで患者さんの評価や治療を見せていただき、終了後、学校でディスカッションやグループ討議をさせ、その患者さんに一番合う治療法をシミュレーションさせている。そうした代替授業を２段構えで実施する」と伊藤副学長。各病院には大学の前身・北海道千歳リハビリテーション学院の卒業生がPT、OTとして勤務しており、「いまある一番良いものを学生に提供できるように卒業生を含めて手伝ってもらっている」と協力体制に感謝する。

　リアルタイムで追及しようという発想とそれに協力する病院施設を確保できることが千歳リハ大の最大の強みだ。

　平成２９年の開学から４年目を迎え、新型コロナウイルスという予期せぬ事態に直面したものの、大学は「臨床現場の未来を担う真の医療人を育成」するため様々な取組を通し学生の「学び」を後押ししていく。