寄稿 GIGAスクールの普及に向けた私の失敗日記(上) どう理解し、活用できるか 北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授 石垣則昭氏
(学校 2020-10-16付)

 道文教大学人間科学部子ども発達学科の石垣則昭教授が「GIGAスクールの普及に向けた私の失敗日記」と題し、本紙・北海道通信日刊教育版に寄稿を寄せた。自身の経験に基づき、学校でICTを活用した教育を円滑に進めるための方策を提案している。全3回で掲載する。

 高齢者の仲間入りをした私にとって、パソコンやスマホの操作は難敵中の難敵でした。せいぜい、メールが精一杯でありSNSの設定から、スマホに登録をすればポイントが付くなどの情報と操作は、私に憐れみを感じた知人や学生たちにやってもらい、極力その話題にふれないよう避けてきた歴史があります。

 しかし、新型コロナウイルス感染が拡大するにつれ、学校の閉鎖が続き、オンラインによる授業が始まりました。こうなると知らないふりでは済まされせん。どうしても操作方法を身に付けなければならなくなり、窮地に追い込まれました。

 遠隔授業の普及とは言うけれど、その操作を習得するのは私にとって人生の難局の一つです。学生時代、練習の一環としてフルマラソンを走るよう監督からしつこく命じられ、35㌔㍍過ぎたあたりからは、手足を叩いても感覚がなく、自分の体が自分の体ではない感覚は今でも忘れられない思い出ですが、大げさではなく同じような思いをしました。

 意気地のない話ですが、まさか、この年齢になってこんなことになろうとはと思い続け、心が病みました。かかりつけの医者から「体重を落とすように」と言われ続けていましたが、急激に体重が減りウエストも適正となったことが救いの一つでした。

 私はいまだに不慣れな状況は続いていますが、4月から9月までの6ヵ月間を振り返り、国が進めるGIGAスクール構想の推進に当たって、学校全体でどう進めることがよいのかを汲み取っていただければと思います。

 様々な教育研究の先進校や実践校の提言を聞くことがあります。それはそれで素晴らしいことと思います。

 しかし、「〇〇学校だからできる」とか「うちの学校では難しい」などの声を聞くことがあります。高所に立った目線では、受ける側は自校の状況に照らし導入することが難しい場合があります。

 教育の場では、極端に述べるならば、「どのような課題があり、それをどう改善してきたのか」など、どの学校でも直面するであろう課題と対応策が実践上の参考になると感じています。

 また、教育の場では、パソコンなどが得意な先生ばかりではありません。

 私は遠隔で授業をしなければならない状況に追い込まれました。しかし、皆さんの教育の場では「無理やり」ではないと思います。それぞれの学校でGIGAスクール構想の推進に当たり、私のような苦手意識の高い先生がどう理解し、活用できるかが大きな鍵を握っていると感じています。

 さらに、様々な機会に教育の場で奮闘する皆さんと意見交流をすると、「操作技術が高くなっても、児童生徒の学力は高まらない。やはり対面の授業が基本です(操作技術が高いことを否定しているわけではありません。操作技術とともに授業力が重要です)」と話してくれます。

 ご存じのように新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」のもと、学習が進められています。GIGAスクール構想の推進と新学習指導要領でいう学習の進め方をどうマッチングするとよいのでしょうか。

 次回以降、このような内容を中心に掲載いたします。

(学校 2020-10-16付)

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