寄稿 GIGAスクールの普及に向けた私の失敗日記(中) 校内支援組織 つくってみよう 北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授 石垣則昭氏(学校 2020-10-19付)
双方向の遠隔授業といっても、Google ClassroomやZoom、オンデマンドなど多様な操作が要求されます。クリックしたように機器は稼働しますが、これが難敵です。言い換えればワンクリック間違えれば、相手に届かないことになります。
私は何度も失敗し学生に迷惑をかけ、心が折れました。そのような状況下で、パソコンを持ってあちこち迷惑を顧みず本学の情報推進課や教職員の皆さんにお教えいただきましたが、私にとってのホワイトナイトは尊敬すべき友人である北海道医療大学の冨家直明先生でした。新型コロナウイルス禍の中、5月以降、土日ごとに愛用の自転車で5度来ていただき、基本設定や操作方法を正に手取り足取り教えていただきました。
操作は難敵と構え出来のよくない私ですので、訪問だけにとどまらず、暗礁に乗り上げるたびにZoomやSNSにて操作方法を誘導していただき何とか今があります。教えを請い、その場では理解できても、いざ一人でとなるとなかなかうまくいきません。おかげで遠隔操作ノートなるものを作成し、それをバイブルとして活用しています。
当時を振り返ると、授業の内容以上に操作方法に緊張し、授業終了後は強い疲労感を感じていたことを思い出します。
こんな私ですが、生意気にも、せっかく覚えたので遠隔システムを活用した授業づくりに取り組んでいます。出席や課題の提出、連絡の送受信など利便性が高いのです。今後は、対面授業と併用し授業を効率的に進めていきたいものだと試行錯誤中です。
私の失敗経験からGIGAスクール構想の推進を考えてみると、工夫次第で児童生徒の知的好奇心を刺激し、学習内容の理解と思考力を高めるツールとしては大変素晴らしい教育機器と理解しています。
しかし、問題は活用です。すべての先生がパソコンなどが得意とは限りません。私のようでなくても、苦手にしている先生はいませんか。GIGAスクール構想の推進の鍵は苦手な先生がどう取り組むかにかかっていると述べても過言ではないと思います。私は幸いにサポートをしていただきましたが、校内外で数回の操作方法の研修を行うだけでは、操作方法の習得は難しいかもしれません。
また、サポートをしていただいた私が言うことではありませんが、心配なのはサポートをしていただく方の負担増です。サポートをする方は授業や校務分掌、部活動などの指導があります。負担を考慮しながら、どの授業でも活用できるようにするために、サポート体制をどう築くかです。
私なりに二つ提案申し上げます。
一つ目は、校内サポートチームを組織してはどうでしょうか。例えば、前もって操作技能についてのアンケートを集約し、その後、操作方法が堪能な先生と、これから操作方法を身に付ける先生とがチームをつくり、日常的な運用を図ることです。この場合、できるだけ職員室内の席が近くであることが望ましいと思います。
二つ目は、共同で機器を活用した教材開発を行い、授業をすることです。操作方法だけを理解しても、授業の場面などで活用されなければ意味がありません。そこで、学校内で機器を活用した授業を日常的に公開し、操作方法を含め交流するのはどうでしょうか。
さらに、教材研究を進める方、遠隔授業を進める方などの役割分担を行い、それを統合し授業を進めるとよいと思います。教科ごとで作成することも可能だと思います。
いずれにしてもGIGAスクール構想の普及のためには校内でチームを編成し進めることがよいと思います。
(学校 2020-10-19付)
その他の記事( 学校)
春光台未来プロジェクト 優しいまちへ意見交流 春光台CSが地域と連携し
【旭川発】旭川市立春光台中学校(千葉雅樹校長)と旭川市立高台小学校(荒川義弘校長)による春光台学校運営協議会(=CS)は9月下旬、春光台中で春光台未来プロジェクトを開いた。春光台SOS安心...(2020-10-21) 全て読む
名寄産業高で建設業団体出前講座 避難所運営など考察 ゲーム通し防災意識高揚
【旭川発】名寄産業高校(坂野裕悦校長)で7日、上川管内の建設業若手経営者などで構成する旭川建設業協会二世会による防災出前講座が開かれた。全校生徒226人に向け校内放送で自然災害の対応に当た...(2020-10-21) 全て読む
最新技術に興味津々 測量会社で就業体験 藤女子高
藤女子高校(石川直美校長)は14日、札幌市内の測量、建設コンサルタント業者の北海航測㈱(矢橋潤一郎社長)でインターンシップを実施した。測量の最新技術にふれた生徒は興味津々の表情を浮かべ、業...(2020-10-21) 全て読む
寄稿 GIGAスクールの普及に向けた私の失敗日記 (下) 児童生徒の側に立つ授業を 北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授 石垣則昭氏
北海道通信社のご理解を得て、特別寄稿として、4月に、新型コロナウイルス感染拡大下における主体的・対話的で深い学びの進め方を書かせていただきました。 理由は新型コロナウイルス感染拡大下で...(2020-10-20) 全て読む
建設産業の役割学ぶ 旭川市神居東中が現場を見学
【旭川発】旭川市立神居東中学校(岡﨑良昭校長)の1年生約70人は7日、建設産業の関連機関・団体からなる「北のけんせつ担い手」育成会議主催の工事現場見学会に参加した。東神楽町内で施工中の地域...(2020-10-20) 全て読む
道教育大附属旭川小が校内研究授業 主体的学びを引き出す 6年算数「組み合わせ」公開
【旭川発】道教育大学附属旭川小学校(南部正人校長)は2日、校内研究授業を開いた。成田翔教諭による6年生の算数「並べ方と組み合わせ」を公開。児童の主体的、探究的な問いを引き出しながら、落ちや...(2020-10-19) 全て読む
寄稿 GIGAスクールの普及に向けた私の失敗日記(上) どう理解し、活用できるか 北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授 石垣則昭氏
道文教大学人間科学部子ども発達学科の石垣則昭教授が「GIGAスクールの普及に向けた私の失敗日記」と題し、本紙・北海道通信日刊教育版に寄稿を寄せた。自身の経験に基づき、学校でICTを活用した...(2020-10-16) 全て読む
稚内養護 ペットボトルに滑り止め用砂利 冬道の安全願い作業 建設業者協力
【稚内発】稚内養護学校(髙橋好則校長)高等部は、稚内開発建設部(=稚内開建)発注の国道維持除雪業務を請け負う稚内市内の山本建設㈱(菊池工社長)と連携し、5日から同社の倉庫内で冬季の滑り止め...(2020-10-16) 全て読む
紋別高生徒が現場見学会参加 ものづくりの魅力体感
【旭川発】紋別高校(花松均校長)の電子機械科1年生24人は9日、道経済部主催のものづくり現場見学会に参加した。旭川市内の製造業2社を訪れ、水門開閉装置や建設機械のアタッチメントの工場を見学...(2020-10-16) 全て読む
帯広北高 建設コンサルでインタビュー 職種調査し良さ再発見 フィールドワーク
【帯広発】帯広北高校(奥野淳一校長)は8日、帯広市内の事業所で生徒がインタビュー活動を行う「フィールドワーク 十勝の色々な職種を学ぼう」を開いた。うち、土木設計・測量調査業務を担う㈱土木技...(2020-10-16) 全て読む