道都市教委連等文教施策要望への道教委回答〈上〉 調査業務精選し負担軽減 カウンセラー制度の充実要望(道・道教委 2020-11-17付)
道都市教育委員会連絡協議会(長谷川雅英会長)と道都市教育長会(同)が道教委に提出した令和2年度文教施策要望に対する道教委の回答はつぎのとおり。
▼学校における働き方改革の推進について―重点
教職員定数の改善・充実には、国の新たな教職員定数改善計画の策定や定数措置の拡充などが必要であるため、全国都道府県教育委員会連合会などと連携しながら、引き続き国に要望していきたい。
道教委としては、学校における働き方改革を推進するため、スクール・サポート・スタッフや部活動指導員などの専門スタッフの配置校の拡充を図ってきており、今後も専門スタッフの配置充実を図るため、国に対し財源措置の拡充を要望していく。
スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーは、国の補助事業を活用し、配置を推進している。
スクールカウンセラーについては、これまで派遣方法の改善などを進め、配置の拡充を図るとともに、本年度からスクールカウンセラーに助言するスーパーバイザーを各管内に配置し、制度の充実を図っている。
スクールソーシャルワーカーについては、希望する市町村との委託契約によって配置するほか、委託契約をしていない市町村や道立学校に対しては、道教委で任用したスクールソーシャルワーカーを派遣できる体制を整備している。
道教委としては、スクールカウンセラー活用事業およびスクールソーシャルワーカー活用事業は、学校の教育相談体制の充実を図る上で重要な事業と考えており、引き続き、国に対して、制度の充実を働きかけていく。
統合型校務支援システム導入にかかる経費については、国が100%の整備を目指すとして平成30年度から地方交付税措置を講じているが、道教委では、システムの整備に向けた財源措置の拡充などを国に要望してきており、今後も継続していく。
道教委としては、教員の事務の負担を軽減するため、学校を対象として行う調査業務等について、廃止や縮小、統合など、実施の必要性を踏まえて業務の見直しや、各種届出および報告事項などの見直しを行ってきており、今後も、調査業務等の精選を図るとともに、提出書類や様式の簡素化等を進めていく。
▼公立文教施設の整備促進について
(1)学校施設環境改善交付金の確保―重点
令和元年度の学校施設環境改善交付金の採択状況は、次年度計画の事業の前倒しによる採択がなされ、国が示した採択方針以外の事業を除き、市町村において計画されていたすべての事業が採択された。
また、道教委としては、公立学校施設整備事業が円滑に実施できるよう、前年度の概算要求時に、国に対し、当初予算における必要な財源の早期確保について要望を行ったところ、2年度当初には1165億円の予算が確保され、国が示した採択方針以外の事業を除きすべて採択された。
さらに、学校施設は、児童生徒等が1日の大半を過ごす学習の場であるとともに、災害発生時には地域住民の避難所としての役割を果たすことから、道教委としては、本年度も国の施策および予算に関する提案・要望の中で公立学校施設整備にかかる必要な財源の当初予算における確保および早期採択など、施策の充実を要望していきたい。
(2)新増改築事業にかかる国庫補助の改善等
公立学校施設整備にかかる建築単価については、元年度に構造区分に応じて前年比2・5~11・1%増額されたが、依然として実施単価とかい離がある。
道教委では、国に対する3年度国の施策および予算に関する提案・要望において、公立学校施設の整備について、必要な財源の確保、早期採択、補助単価の引き上げ、補助要件の緩和および地方財政措置等施策の充実を要望することとしており、引き続き、その実現に向け要望していきたい。
なお、耐震化について、道教委としては、学校施設は子どもたちが長い時間を過ごす学習・生活の場であり、災害発生時には、地域の避難所としての役割も担うことから、安全・安心な施設の整備は極めて重要な課題であると認識しているので、耐震化が完了していない自治体においては、学校施設の安全性を確保する取組について、万全を期すようお願いする。
また、国庫債務負担行為の年割額については、国で定めていることから、各自治体が設定できるように変更することは難しい状況にある。
(3)長寿命化改良事業における補助要件の緩和
道教委としては、3年度国の施策および予算に関する提案・要望において、公立学校施設の整備について、補助対象事業費の引き下げ等にかかる補助要件の緩和など支援の充実を要望するところであり、引き続き、その実現に向け要望していきたい。
(4)防犯対策施設整備工事の下限額の引き下げ
道教委としては、3年度国の施策および予算に関する提案・要望において、公立学校施設の整備における補助要件の緩和を要望することとしており、引き続きその実現に向け要望していきたい。
(5)学校体育施設にかかる整備の充実
学校プール、武道場等の学校体育施設にかかる補助単価については、2年度に2・6%増額されたが、依然として実施単価とかい離がある。
道教委としては、国に対し、3年度国の施策および予算に関する提案・要望において、学校体育施設整備にかかる必要な財源の確保や補助単価の引き上げおよび補助要件の緩和など施策の充実について要望するところであり、引き続きその実現に向け要望していきたい。
(6)学校グラウンド等の整備にかかる交付金制度の充実および交付対象事業の拡大
道教委としては、国に対し、3年度国の施策および予算に関する提案・要望において、公立学校施設の整備について、必要な財源の確保や補助要件の緩和など施策の充実を要望するところであり、引き続き、その実現に向け要望していきたい。
(7)地震等防災対策にかかる対象の拡大
公立学校施設は、児童生徒等が1日の大半を過ごす学習の場であるとともに、災害発生時には地域住民の避難所としての役割を果たすことから、その安全性の確保は極めて重要な課題となっており、道教委では、3年度国の施策および予算に関する提案・要望において、学校施設の耐震化にかかる必要な財源の確保や補助要件の緩和など施策の充実を要望し、引き続き、その実現に向け要望していきたい。
なお、非構造部材の耐震対策工事や自家発電設備の整備等の防災機能強化事業については、補助要件の緩和や地方財政措置の充実を要望するが、地震防災対策特別措置法に基づく国庫補助率の嵩上げは、2年度まで5年間延長され、校舎等の耐震化率が全国99・2%、本道も96・2%に達し、今後は全国的に長寿命化等の老朽化対策に重点が置かれるため、時限を越えての恒常化は難しい状況にある。
▼教職員定数等の充実改善について
(1)少人数学級の早期実現と教職員定数等の改善―重点
道教委としては、基礎学力の向上やきめ細かな教育の実践を目指し、習熟度別少人数指導などきめ細かな指導に積極的に取り組む学校に対し加配措置しているほか、小学校第1学年に加え、小学校第2学年および中学校第1学年において少人数学級編制を実施してきており、さらに、4年度までの3年間で、小学校第3学年、第4学年へ順次拡大することとしている。
少人数学級のさらなる拡大や、複式学級の解消、3学級未満の学校への教頭、養護教諭および事務職員の配置など、一層の教職員定数の改善・充実には、国の新たな教職員定数改善計画の策定や、定数措置の拡充などが必要であるため、全国都道府県教委連などと連携しながら、引き続き国に要望していきたい。
また、道教委としては、国に対し、3年度国の施策および予算に関する提案・要望において、公立学校施設の整備について、必要な財源の確保や施策の充実を要望したところであり、引き続き実現に向け要望していきたい。
(2)学力向上のための支援措置の拡充―重点
道教委としては、基礎学力の向上やきめ細かな教育の実践を目指し、習熟度別少人数指導などきめ細かな指導に積極的に取り組む学校に対し加配措置しているほか、小学校第1学年に加え、小学校第2学年および中学校第1学年において少人数学級編制を実施してきており、さらに、4年度までの3年間で、小学校第3学年、第4学年へ順次拡大することとしている。
一層の教職員定数の改善・充実には、国の新たな教職員定数改善計画の策定や定数措置の拡充などが必要であるため、全国都道府県教育委員会連合会などと連携しながら、引き続き国に要望していきたい。
市町村が、県費負担教職員に加えて、独自の判断で地域の人材等を教員として任用することは、地域の特性に応じた学校教育の充実や各学校における特色ある学校づくりが一層促進されるとともに、学力向上の面からも大変意義のあることと考えている。
こうした市町村費負担教職員の身分や給与水準などは様々な形態が考えられ、基本的には、県費負担教職員と同様に採用や人事異動を行うことは難しいが、今後も、他府県の事例などを研究していきたい。
(3)小学校における英語教育の拡充強化に向けた教員研修会の充実および英語専門教員の配置拡充
小学校における英語教育に関する教員研修については、これまでも、英語指導力や英語力の向上のため、道立教育研究所を会場とする研修講座において、外国人講師による小学校外国語教育に求められる実践的指導力向上研修をはじめ、文部科学省視学官(英語)による小学校外国語教育充実研修を実施している。
また、平成26年度から国が実施している英語指導力向上事業の研修に各管内から教員を派遣し、研修を修了した教員が英語教育推進リーダーとして講師を務め、各管内ですべての小学校の中核となる教員を対象としたグローバル化に対応した英語教育指導力向上研修を実施しており、令和元年度末までに、道内すべての英語教育の中核となる小学校教員が受講している。
さらに、元年度からは道立教育研究所と各教育局等を遠隔システムで接続し研修を行うミニ道研において、小学校外国語活動にかかる内容を設定するなど、英語教育に関する教員研修の充実を図ってきている。
なお、これまでも教員の資質・能力の向上を図る研修の充実のための財源措置について国に要望しており、引き続き要望していく。
道教委としては、小学校の外国語における専科指導にかかる加配について、平成26年度から配置している。
令和2年度の小学校外国語における専科指導のための加配は、加配教員および非常勤講師による専科指導を行う学校に配置しており、加配教員による専科指導の実施校数は153校、非常勤講師による専科指導の実施校数は46校。国においては、新学習指導要領における小学校外国語教育の授業時数増に対応するための専科教員の確保にかかる加配の拡充を示しているが、道としても、今後とも教員の専門性を生かした質の高い授業を通じた学力の一層の向上などを図るため、小学校専科指導にかかる加配のさらなる拡充について、引き続き国に要望していきたい。
(4)中学校における免許外教科担任の解消
中学校免許外教科担任の解消に向けては、教科のバランスに配慮した人事配置や免許法認定講習の実施による複数免許所有者の拡大に努めているとともに、平成26年度からは、6学級以下の学校の一部に加配教員等を配置しているが、一層、免許外教科担任の解消が図られるよう、定数措置の拡充について、引き続き国に要望していきたい。
また、教科のバランスに配慮した人事配置や免許法認定講習の実施による複数免許所有者の拡大に努めている。
(5)中学校の病気休暇等講師にかかる報酬予算の適正化
長期にわたる病気休暇(90日以内)にかかる代替措置については、各教育局を通じて市町村教委の要望を伺うとともに、内容を精査した上で、学校運営に支障を来さないよう対応しており、引き続き適切な対応に努めていきたい。
(6)不登校児童生徒の適応指導教室等の設置および運営費の補助制度の創設―重点
国においては、令和元年に「不登校への対応の在り方について」の中で、市町村教委が主体的に教育支援センター(適応指導教室)の整備充実を進めることの必要性を示したが、道内においては、適応指導教室が設置されている市町村が2年6月現在で46市町村であり、未設置の主な理由として、市町村が運営する予算や場所の確保が困難であることが挙げられている。
このようなことから、道教委としては、指導員の人件費などの設置・運営にかかる補助制度(委託事業を含む)創設などの財政的支援の拡充や、教員の派遣制度の確立などの施策の充実が必要であると考えており、引き続き、支援体制の強化を国に要望するとともに、児童生徒への経済的支援についても、国の動向を注視しつつ今後要望していきたい。
(7)スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置促進
スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーは、国の補助事業を活用し、配置を推進している。
スクールカウンセラーについては、これまで派遣方法の改善などを進め、配置の拡充を図るとともに、本年度からスクールカウンセラーに助言するスーパーバイザーを各管内に配置し、制度の充実を図っている。
スクールソーシャルワーカーについては、希望する市町村との委託契約によって市町村に配置するほか、委託契約をしていない市町村や道立学校に対しては、道教委で任用したスクールソーシャルワーカーを派遣できる体制を整備している。
道教委としては、スクールカウンセラー活用事業およびスクールソーシャルワーカー活用事業は、学校の教育相談体制の充実を図る上で重要な事業と考えており、引き続き、国に対して、制度の充実を働きかけていく。
(8)学校図書館にかかる
支援措置の拡充―重点
公立小・中学校における学校司書の配置については、学校図書館機能の一層の充実のため、標準法による学校司書の定数措置の新設について国に要望していきたい。
また、学校図書館の環境整備に関しては、学校司書にかかる配置に加え、研修や学校図書館における管理システムおよび学校図書館資料などに関する地方財政措置の新設・拡充についても要望した。
今後も、学校図書館の環境整備については、各市町村の実情を踏まえながら、国に要望していきたい。
(9)ALTにかかる地方交付税措置の拡充―重点
これまで多くの外国語指導助手(ALT)を招致し、学校における英語の授業や放課後の活動等に活用するほか、地域住民等との交流への活動などを通して、外国語教育および国際理解教育の充実を図っている。
ALT配置に当たり、地方自治体単独で一定の資質・能力を備えたALTを確保することは難しいことから、道教委では、ALTを確実に配置できるよう、JETプログラムの継続および拡充ならびにALTの配置やJETプログラム以外のALTの配置に対する地方交付税化を含む財政支援についてこれまでも国に要望しており、引き続き要望していきたい。
(10)地域枠採用の対象拡大
前年度まで、小学校および中学校の国語、社会、数学、理科または英語の普通免許状を有し、日高、宗谷、根室の管内のいずれかに限り勤務できる人を対象とした地域枠採用を実施しているが、本年度実施の教員採用候補者選考検査から、年齢バランス、管外への転出希望者数など考慮し、対象地域にオホーツク管内を追加した。
教員採用選考検査については、不断に見直しを行い、教員としてふさわしい資質や能力を備えた人材の確保に努めていく。
(11)コミュニティ・スクールの推進のための財政措置および加配措置の確保
―重点
コミュニティ・スクールの導入を推進するため、これまでも、制度を導入する市町村への財政支援の拡充や加配措置について、国に要望してきており、引き続き、全国都道府県教委連とも連携しながら、国に強く働きかけていきたい。
また、教員および事務職員の加配措置のためには、国の教職員定数の改善が必要であるため、国に要望していきたい。
(12)小中一貫教育の推進のための教職員の配置基準の見直し、加配措置およびそれに伴う財政措置ならびに兼務基準の明確化
小中一貫教育に関しては、平成29年度から小中一貫教育の導入等に向けた支援や、令和2年度からは小学校における教科担任制や相互の乗り入れ指導を位置付けた9年間を通じた指導計画の作成のため、国の加配の範囲内で、小中一貫教育実施校や実施予定校に対し、教員を加配しているが、一層の定数措置の拡充について、引き続き国に要望していきたい。
また、小中一貫型小学校・中学校の場合は、法律上は独立した小学校と中学校という扱いとなっているので、教員もそれぞれの学校種の免許状をもってそれぞれの学校に配置されることとなっており、乗り入れ授業や教科担任制の導入の場合、必要に応じ兼務発令を行うことは、きめ細かい指導を行う観点から有効であると考えている。
なお、道教委としては、2年3月に、児童生徒の評価に当たる留意事項など、小中一貫教育を導入する際に参考となる事例やQ&Aをまとめた『北海道における小中一貫教育について(第3版)』を作成し、市町村教委に配布した。
今後も、小中一貫教育の先行事例等を市町村教委に情報提供するなど、各学校の取組を支援していきたい。
(13)部活動指導員制度への支援
道教委としては、教員の部活動指導にかかる負担軽減および部活動指導体制の充実のため、平成30年度から中学校における部活動指導員配置促進事業を実施し、専門的な知識や技能を有する部活動指導員を中学校に配置する市町村教委に対し財政支援を行っている。
部活動指導員の人材確保について、道教委では、ホームページを活用した指導員の希望者を公募・登録するシステムを構築し、市町村教委からの要望に応じ、情報提供している。
中学校における部活動指導員の配置事業にかかる自治体負担分については、地方財政措置がなされているが、財源措置の充実について、引き続き国に要望していきたい。
(14)期限付教員の安定的な確保に向けた取組の充実と制度改善
教員の欠員は学校運営に支障が生ずる重大な課題であると考えており、教員の確保に向けてはこれまでも、ハローワークやホームページを通じた募集、広報誌、動画共有サイトYouTubeを活用した人材の掘り起こしに努めている。
道教委としては、今後も欠員の解消に向けて、市町村教委と連携しながら、地域の潜在的な人材情報を共有するなどのほか、一部条件はあるが、昨年1月、更新講習を受講・修了していない人(未更新者)に対して、臨時免許状の授与が可能であることを国が明らかにしたことから、こうした制度を活用し、必要な教員の確保に取り組んでいきたい。
なお、地方公務員法の一部改正に伴い、本年7月からは、再任用制度の対象となる人を除き、60歳以上の人も期限付教員等としての任用の対象とした。
(15)インクルーシブ教育推進に当たっての教員の増員―重点
教職員定数の改善・充実には、国の新たな教職員定数改善計画の策定や定数措置の拡充などが必要であるため、全国都道府県教委連などと連携しながら、引き続き国に要望していきたい。
▼特別支援教育の振興充実について
(1)特別支援教育の施設充実および特別支援教育推進のための体制整備―重点
特別支援学校の配置に当たっては、可能な限り身近な場所で、障がいの種別等に応じた専門性の高い教育を受ける機会を確保する観点に立ち、児童生徒等の障がいの状況や本人・保護者のニーズを把握しながら、必要な受け入れ体制を整備することとしているが、効果的に学習や集団活動等を行うためには、同学年で複数の児童生徒が在籍していることが望ましいことから、近隣の特別支援学校の配置状況等を踏まえ、各障がいごとの児童生徒等の在籍状況や、今後の児童生徒数の推移等を十分考慮しながら、検討していきたい。
また、スクールバスの運行に当たっては、障がいのある児童生徒が長時間にわたり乗車することや、冬季における安全運行を確保することなど、児童生徒等の健康や安全にも配慮する必要がある。このため、自宅が学校から遠隔地にある場合は、スクールバスの運行ができず寄宿舎利用となるケースもあるが、可能な限り、児童生徒等や保護者の負担に配慮するよう、努めていきたい。
特別支援教育就学奨励費について、障がいのある児童生徒等の保護者の経済的な負担の軽減を図るため、制度の充実を国に要望しており、引き続き、その実現に向け要望していきたい。
特別な教育的支援を必要とする児童生徒等の実態把握や支援に当たっては、各教育局の専門家チームによる巡回相談を継続して実施するとともに、特別支援学校の教員を小・中学校等に派遣し助言や研修支援を行う特別支援教育パートナー・ティーチャー派遣事業などによって、対応していきたい。
(2)特別支援教育推進のための教員の加配措置―重点
特別支援学級の教員配置については、学級数に応じて配置しているが、肢体不自由、自閉症・情緒障がい、知的障がい学級で児童生徒数が7人以上の場合などに道独自の措置として1人加算するほか、通級指導を行う学校への加配措置を行うなど、教職員配置の充実に努めている。
今後とも、障がいのある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導、支援を適切に行うことができるよう、定数措置の一層の拡充について、引き続き国に要望していきたい。
(3)特別支援学級担当教諭の加配措置―重点
特別支援学級の教員配置については、学級数に応じて配置しているが、肢体不自由、自閉症・情緒障がい、知的障がい学級で児童生徒数が7人以上の場合などに道独自の措置として1人加算するほか、通級指導を行う学校への加配措置を行うなど、教職員配置の充実に努めている。
今後とも、障がいのある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導、支援を適切に行うことができるよう、定数措置の一層の拡充について、引き続き国に要望していきたい。
(4)専門的知識を有する特別支援学級担当教諭の採用・育成の促進
道教委としては、教員を目指す学生等に対し、特別支援学校教諭の免許状取得の動機付けと、免許所有者の採用促進を図るために、平成27年度選考検査(26年度実施)から、特別支援学校教諭免許状所有者に限り、小学校と特別支援学校小学部、中学校と特別支援学校中学部、高校と特別支援学校高等部の併願制度を設けた。
今後とも、特別支援学校教諭の免許状取得の促進と、免許状所有者の採用に努めていきたい。
また、特別支援学級および通級指導教室を担当する教員の専門性向上を図るため、全14管内において、特別支援教育充実セミナーを開催しているほか、道立特別支援教育センターにおいて、特別支援教育基本セミナーや自立活動研修講座、小・中学校特別支援教育研修講座を実施している。さらに、教員向けの指導資料として、これまで作成した『特別支援学級を支えるために~特別支援学級に関するQ&A』『特別支援学級を支えるために~実践事例編』『特別支援学級を支えるために~教材活用事例集』の活用について、あらためてすべての小・中学校等に周知するなど、特別支援学級を担当する教員の指導力向上に努めている。
今後も、研修機会の拡充や内容の充実、必要な予算の確保に努め、特別支援教育を担当する教員の専門性向上を図っていきたい。
(5)特別支援学校教諭免許状取得講習の拡大
特別支援学校や特別支援学級に在籍している児童生徒に、一人ひとりの障がいの特性に応じた指導を行うためには、教員の専門性の向上を図ることが必要であり、専門の免許状を所有することが望ましい。
このため、道教委としては、特別支援学校教諭免許状取得にかかる免許法認定講習について、26年度からは札幌、釧路、函館、名寄の4会場での開催とし、受講定員を拡充するとともに、27年度からは視覚障がい者領域と聴覚障がい者領域の受講定員の拡充や領域の追加取得のための講習の実施など、その工夫と充実を図ってきている。
本年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響によって、夏期休業期間内の開催が不可能となったが、年度内における開催の可否を含め、今後とも、認定講習の開催地や開催方法などについて、道教育大学等と協議しながら免許状の取得を一層促進するよう努めていきたい。
(6)通級指導担当教員等の適正配置および配置基準の緩和―重点
通級指導に関しては、国において、29年度から10年間をかけて、加配定数の大部分を基礎定数として安定的に配置することと併せて、教員の増員を図ることが示された。
道教委としては、加配定数における国の方針を最大限生かし、通級指導の充実に努めるとともに、定数措置のさらなる拡充について、引き続き国に要望していきたい。
(7)通級指導担当教員の巡回指導の実施
通級による指導の実施においては、通級による指導を担当する教員が本務校以外の学校で指導(いわゆる巡回指導)を行うことは制度上可能であり、道教委では、各市町村教委に対して、教員に複数校を兼務する発令を行うなど身分上の取扱いの明確化や、国における加配定数の基礎定数化、各学校における通級による指導を希望する児童生徒の状況などを踏まえた通級指導教室の配置の在り方等を周知してきている。
なお、巡回による指導の実施に必要な旅費等の措置については、必要な予算の確保に努めていきたい。
(8)教育上特別な支援を必要とする幼児が就園する公立幼稚園への国庫補助
特別な支援を必要とする幼児にかかわる幼稚園教育の充実を図っていくために、私立幼稚園と同様の措置が図られるよう、引き続き国に要望していきたい。
(9)市町村配置の支援員や補助員等にかかる財政措置の拡充―重点
道教委が実施している通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒等に関する調査によると、支援を必要とする児童生徒等の割合は増加傾向にあり、各市町村では、財政事情や人材確保などの課題がある中、特別支援教育支援員を独自に配置するなど、支援を必要とする児童生徒等の教育的ニーズに応えるため、様々な取組を行っているものと承知している。
このため、道教委としては、各学校や地域の実情に応じて特別支援教育支援員が配置できるよう、支援員配置にかかる財源措置の一層の拡充について国に要望しており、引き続き強く要望していきたい。
(10)高校へ通学する生徒に対する支援員の配置
道教委としては、特別支援教育支援員の配置にかかる国の地方財政措置を活用して、高校における特別支援教育支援員配置事業を実施し、発達障がいを含む障がいのある教育上特別な支援を必要とする生徒が在籍する道立高校のうち、当該校の対象生徒の人数や支援の内容、教員の配置数などを考慮し、きめ細かな個別の支援を行うことが難しい状況にある学校を指定して、特別支援教育支援員を配置している。
今後とも、高校への特別支援教育支援員の配置の一層の充実を図るために必要な財源措置について、引き続き国に要望していきたい。
(11)特別支援学校が行う連携協力に必要な旅費等の措置
道教委としては、小・中学校等に対して、特別な教育的支援を必要とする児童生徒等への学習指導の進め方や個別の指導計画の作成などについて継続的に支援するため、特別支援学校の教員を小・中学校等に派遣する特別支援教育パートナー・ティーチャー派遣事業を実施しており、当該事業に要する旅費を措置しているほか、特別支援学校教員による小・中学校等への助言や研修支援を行うための旅費等についても措置しており、今後においても、必要な予算の確保に努めていきたい。
(12)特別支援学校高等部における受け入れ体制の整備
道教委としては、道内において特別支援学校高等部への進学希望者が増加している状況に対応するため、20年度以降、オホーツクを除く5圏域で高等支援学校を12校、道央圏で義務校併設の高等部を2校整備するなど進学希望者に見合った定員の確保を図ってきているが、広域分散型の本道の地域性から、すべての生徒が自宅から通学できる状況にはなっていない。
また、特別支援学校の配置に当たっては、引き続き、可能な限り身近な場所で、障がいの種別等に応じた専門性の高い教育を受ける機会を確保する観点に立ち、児童生徒の障がいの状
況や本人・保護者のニーズを把握しながら、進学希望者数に応じた定員の確保など、必要な受け入れ体制の整備に努めていきたい。
(13)医療的ケアを必要とする児童生徒の特別支援学校への受け入れ体制の整備
道教委としては、これまで、医療的ケアを必要とする児童生徒等が在籍する特別支援学校に看護師配置を進めてきており、令和2年度は医療的ケアを必要とする児童生徒等が在籍する24校の特別支援学校すべてに看護師を配置している。
併せて、医療的ケア実施校に勤務する看護師や教員を対象とした研修会を実施するなどして、体制整備の充実を図ってきている。
今後とも、医療的ケアを必要とする児童生徒等の在籍状況や保護者のニーズなどを踏まえながら、看護師の配置をはじめ、学校における医療的ケアの充実を図っていきたい。
また、道教委としては、医療的ケアが必要な児童生徒への看護師配置の充実が図られるよう、国に対して財政措置の拡充を要望してきており、今後とも、財政措置のさらなる拡充に向けて、取り組んでいきたい。
さらに、特別支援学校における児童生徒の受け入れに当たっては、障がいの特性や程度に応じて必要となる空調やエレベーター等の学校施設・設備を整備してきた。
今後も適切な教育環境の確保のため、整備の検討を進めていきたい。
(道・道教委 2020-11-17付)
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道教委は、女性教職員の活躍推進にかかるアンケート結果(管理職)をまとめた。管理職としての満足度は「満足している」「どちらかと言えば満足」を合わせて64%。管理職を志す女性教職員が少ない理由...(2020-11-16) 全て読む
文科省 7月時点 道内CS 941校導入、全体の5割 全国平均を20ポイント上回る
文部科学省は、コミュニティ・スクール(CS)および地域学校協働活動実施状況調査の結果を公表した。道立学校を含む道内の学校におけるCS導入校数は前年度比238校増の941校。導入率は13ポイ...(2020-11-13) 全て読む
空知局が高校就職促進事業 学んだことを生かす 建設業者等で意欲高め
【岩見沢発】空知教育局は4日と11日の2日間、高校就職促進マッチング事業を開いた。管内6校から1・2年生44人と教諭6人が参加。参加した生徒の一人は「きょう学んだことを就職活動に生かしたい...(2020-11-13) 全て読む
道教委 第2回いじめ審議会 高校生の認知 少ない コミュニケーション必要
道教委は11日、札幌市内かでる2・7で道いじめ問題第2回審議会を開いた。事務局から令和元年度の児童生徒問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果などを説明。委員からは、高校生の認...(2020-11-13) 全て読む