リポート 根室局 羅臼町で新たな教育支援 顔の見える関係構築 滞在型学校訪問など企画(道・道教委 2020-12-23付)
若手教員に指導助言する米谷主任指導主事(右)
【釧路発】新型コロナウイルス感染によって学校を取り巻く環境が激変した本年度、根室教育局は羅臼町をモデル地域として新たな教育支援に取り組んでいる。授業改善をテーマとした9プロジェクトを1パッケージとし、そのすべてでICTを活用。指導主事による「滞在型学校訪問」で顔の見える関係をつくるなど、工夫を凝らした支援に力を入れている。同局の挑戦をリポートする。
◆アイデア整理し1パッケージに
同局は本年度当初から、コロナ禍に苦しむ子どもたちと学校を支援しようと様々な取組を展開した。若手職員チーム「シュジーズ」を結成し、ソーシャルディスタンスPR動画をYouTubeに公開するなど活躍。また、Zoomの可能性にいち早く着目して、接続実験を行うなど、業務での活用に道を開いた。
局内では「今後の教育支援をどうするか」をテーマに話し合いを進めてきた。ICT活用の効果を実感していた職員たちからは、「ICTを使ってリモートで支援できないか」「ICT活用のための解説動画が必要では」などのアイデアがつぎつぎと生まれた。これらを整理し、9プロジェクト「授業改善のためのアクションラーニング」がまとまった。
◆親密度を高めつぎの取組へ
話し合いの中では「指導主事の学校訪問を効率的にできないか」という意見も挙がった。根室市から最も遠い羅臼町までは車で片道約2時間30分かかる。そこで、「同一校に5日間連続滞在して指導助言する」というアイデアがもち上がった。
9プロジェクトの展開に当たり「顔の見える関係をつくってから進めるのが効果的」(井上規之次長)と考えていたこともあり、滞在型学校訪問と9プロジェクトをセットにして実施することに。羅臼町に提案し、モデル的に実施することになった。
9月7~11日の5日間、米谷広美主任指導主事が羅臼町に滞在。羅臼小学校の若手教員を対象として、単元および1単位時間の授業デザイン、児童への発問や板書の工夫などの児童の学習状況に基づく指導の在り方について指導助言した。
同校の野呂幸生校長は「コロナ禍により、研修が実施しにくくなっている中、長期にわたり指導いただけたのは、とてもありがたかった」と話す。
指導助言を受けた原子京花教諭は「学習指導要領や指導事項を意識することで、子どもたちの理解が深まることが分かった。いただいたアドバイスを生かし、経験を積み重ねたい」と話していた。
米谷主任指導主事は、これまでの学校訪問と比べて「親密度は格段に高まる」と実感。人間関係が構築されたことで、プロジェクトの一つに挙げている「Zoomによる学校訪問」につながる手応えを得た。
◆根室の教育に新しい風を
このほか、「同じ教科や専門の教員が複数配置されていない学校が多い」という課題に対応した「教員のテクニカルミーティング」や、「リモート授業解説動画公開」などを推進。実施済みもあれば、現在企画中もある。
松田俊也局長は「こうした取組が根室の教育に新風を巻き起こし、新しい根室の教育スタイルができることを目指したい」と話している。
(道・道教委 2020-12-23付)
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