道養護教員会札幌小中　３ヵ年調査研究　〈下〉　時代の変遷とともに対処　電子メディア使用と健康の関連性

（札幌市 2021-01-15付）

【研究内容】

◆グループ別研究

　研究３年目には、小学校児童向け保健指導グループ、幼稚園・小学校保護者向け資料グループ、中学校グループの３つのグループに分かれ、発信方法の検討と資料の作成を行った。

▼小学校児童向け保健指導グループ

　各校の実態から、低学年からの指導の必要を感じ、小学校低学年向け指導案とプレゼンテーションソフトを作成した。使用していない子どももいるため、電子メディアの使用が駄目だという指導だけではなく、体の影響とともに、電子メディア以外の楽しい過ごし方を体感させたいと考えた。

▼幼稚園・小学校保護者向けグループ

　できるだけ早い時期、電子メディアとのかかわりが少ないうちに保護者へ啓発し、家庭での指導につなげてほしいと考え、入学説明会に配布する資料を作成することにした。

　また、グループで話し合い、保護者に伝えたい内容をつぎの５点とした。

▽使用時間の約束が必要であること

▽使い始めが大切で、後々制限することは難しいこと

▽最初の家庭内ルールづくりの例

▽子どもの長時間使用が問題なのはなぜか～脳に及ぼす影響や依存症

▽電子メディアの保護者用チェックリスト（５項目）

　これらの内容についてさらに検討し、これらを加えた文書を各校で作成、実践を行った。

▼中学校グループ　　　　　　保護者への発信ができる機会として進路説明会や入学説明会、期末懇談時が挙げられた。目指す子どもたちの姿を確認し、生徒へ効果的に伝える方法、保護者へ伝えたい内容など、指導のねらいや重点となる事項を確認した。

◆校内におけるノーメディアの取組実践

　中学校３校、小学校１校で養護教諭や生徒委員会が主体となり、電子メディアの使用時間を制限する取組を実施した。

▼中学校Ａ校・小学校Ａ校との連携、定期試験前１週間、「ノーメディア週間」６月中学校、１１月小・中学校同時実施

▼中学校Ｂ校　養護教諭主導、１１月定期試験前１週間、「アウトメディア週間」

▼中学校Ｃ校　生徒委員会主導、１１月定期試験後３日間、「みんなのノーメディア３Ｄａｙｓ＝＝＝」

【成果と課題】

　手稲区内のすべての市立幼稚園、小学校、中学校でアンケート調査を実施することができ、その調査から貴重なデータを得ることができた。集計したデータには予想外の結果もあり、それが自分たちの考えを修正する重要なものとなった。

　また、幼稚園で実施したアンケート調査の結果を知ることによって、早い時期からの指導や啓発の必要性を強く感じ、幼稚園入園時、小・中学校入学時に養護教諭から発信する機会をもとうという機運が高まった。

　研究３年目には、アンケート調査の結果が根拠となり、各校での実践につなげることができた。

　子どもたちにどのような力を身に付けさせ、実態に合った発信や指導は何かと話合いを重ね、アイデアを交流することで、多くの発信の手立てを得ることができた。

　授業時数が増え、行事の削減が行われている中で、指導時間の確保や短時間の指導、発信方法の工夫が課題となっている。

　時代の変遷とともに、私たち養護教諭も対処していかなければならないと考えている。

(札幌市 2021-01-15付)