3年度文科省文部科学関係予算案②
(国 2021-02-03付)

 文部科学省の令和3年度文部科学関係予算案主要事項はつぎのとおり(カッコ内%は前年度比)。

《初等中等教育局②》

【キャリア教育・職業教育の充実】=4億6000万円(139・4%)

 小学校からの企業体験や中学校の職場体験活動、高校におけるインターンシップなどのキャリア教育を推進するとともに、専門高校では、先進的な卓越した取組の実践研究や地域課題の解決等の探究的な学びを実現する取組を推進する。

◆将来の在り方・生き方を主体的に考えられる若者を育むキャリア教育推進事業=2100万円

▼キャリア教育の普及・啓発等

 キャリア教育推進連携シンポジウムの開催など。

▼小・中学校等における起業体験推進事業

 児童生徒がチャレンジ精神や、他者と協働しながら新しい価値を創造する力など、これからの時代に求められる資質・能力の育成を目指した起業体験活動の先進事例を収集し、全国への普及を図る(1団体)。

▼地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業

 キャリアプランニングスーパーバイザーを都道府県等に配置し、地元企業等と連携した職場体験やインターンシップと地元への愛着を深めるキャリア教育の推進などを通じ、地元に就職し地域を担う人材を育成する(15人)。

◆スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール=1300万円

 高度な知識・技能を身に付けた専門的職業人育成のため、専攻科を含めた5年一貫のカリキュラムの研究や大学・研究機関等との連携など、先進的な卓越した取組を行う専門高校を指定した実践研究と事業検証を実施し、成果の普及を図る。

【学校健康教育の推進】=6億700万円(302・0%)

 児童生徒が生涯にわたって健康で安全に生活できるよう、感染症対策をはじめとする学校保健、学校給食の衛生管理や食育の充実を推進する。

◆学校保健推進事業等=5億2400万円

 学校における感染症対策を充実するための支援や、新学習指導要領に対応したがん教育の取組の推進、複雑化・多様化する児童生徒の現代的健康課題への対応等を通じて学校保健を一層推進する。

▼児童生徒の近視実態調査事業(新規)=4200万円

 視力低下が進行する時期となる小中学生を対象に、医療関係者等の協力のもと、児童生徒の近視の実態やライフスタイルとの関連を調査するとともに、その結果を活かし、児童生徒の視力低下を防止するための対策を検討する。

▼がん教育総合支援事業=3200万円

 全国でがん教育を確実に実施するため、地域の実情に応じた取組を支援するとともに、がん診療連携拠点病院等と連携し、がん専門医、がん経験者等の外部講師を活用したがん教育の取組を支援する。

◆学校給食・食育総合推進事業=8300万円

 学校給食における地場産物の使用促進を図ることで、地域の食文化、食にかかる産業や自然環境の恵沢に対する子どもの理解増進につなげる。

 また、新型コロナウイルスの影響も踏まえつつ、学校給食の衛生管理や食育の充実等のための調査・研究を行うことで、今後の施策に関し有効な知見を得る。

▼学校給食地場産物使用促進事業=4600万円

 学校給食における地場産物の使用に当たっての課題解決に資するため、つぎの経費を支援。

▽学校側や生産・流通側の調整役として仕組みづくりを担うコーディネーターの配置に必要となる経費や、行政や学校関係者、コーディネーター、生産者等による協議会等の開催に必要となる経費等

▽対象校種=公立義務教育諸学校

▽補助率=3分の1

【切れ目ない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実】=35億4900万円(139・4%)

 障がいのある児童生徒等の自立と社会参加の加速化に向け、ICTの活用等を含めた取組の充実を図り、障がいのある児童生徒等が十分な教育を受けられる環境を構築する。

◆ICTを活用した障がいのある児童生徒等に対する指導の充実(新規)=7100万円

▼ICTを活用した自立活動の効果的な指導の在り方の調査研究

 自立活動や通級による指導において、感染症対策や地理的な条件等によって対面による指導が難しい際の学びの保障や、担当教員の指導の質の向上など、ICTを活用した遠隔による指導の在り方を研究する。

▽委託先=教育委員会、大学

▽個所数=6ヵ所

▼ICTを活用した職業教育に関する指導計画・指導法の開発

 職業教育におけるICTを活用した指導計画、指導方法、教材・コンテンツなどを開発し、効果的な指導の在り方について研究する。

▽委託先=教育委員会

▽個所数=3ヵ所

▼文部科学省著作教科書のデジタル化に求められる機能の研究

 文科省著作教科書(特別支援学校用)について、障がいの特性に応じた効果的な指導に求められる機能を踏まえたデジタル化を試行し、課題等を抽出する。

▽委託先=民間団体

▽個所数=4ヵ所

▼高校段階の病気療養中等の生徒に対するICTを活用した遠隔教育の調査研究事業

 高校段階における病気療養中等の生徒に対する、ICTを活用した効果的な遠隔教育の活用方法等の研究を実施する。

▽委託先=教育委員会

▽個所数=5ヵ所

◆教科書デジタルデータを活用した拡大教科書、音声教材等普及促進プロジェクト=2億4000万円

 発達障がいや視覚障がいなどのある児童生徒が十分な教育を受けられる環境を整備するため、教科書デジタルデータを活用した音声教材等に関する効率的な製作方法や高校等における拡大教科書の普及促進、教材の活用に関するアセスメント等について実践的な調査研究等を実施する。

▽委託先=大学、民間団体等

▽個所数=5ヵ所

◆医療的ケアのための看護師配置(拡充)

 学校における医療的ケアの環境整備の充実を図るため、自治体等による看護師配置を支援する(2100人↓2400人)。

▽実施主体=都道府県、市区町村、特別支援学校等を設置する学校法人

▽負担割合=国3分の1、都道府県・市区町村・学校法人3分の2

◆学校における医療的ケア実施体制充実事業=4200万円

▼小・中学校等における医療的ケア児の受け入れ・支援体制の在り方に関する調査研究

 医療的ケア児が増加傾向にあることを踏まえ、中学校区に医療的ケアの実施拠点校を設けるなどして、地域の小・中学校等で医療的ケア児を受け入れ、支える体制の在り方を研究する。

▽委託先=小・中学校等の設置者である市町村等

▽個所数=5ヵ所

▼医療的ケアのための看護師に対する研修機会の確保

 医療的ケアのための看護師が、学校現場で働くに当たっての導入・基礎知識の習得や、最新の医療や看護技術等のより実践的な知識や技能を習得するための系統的な研修体制の整備を推進する。

▽委託先=法人格を有する団体

▽個所数=2ヵ所

◆低所得世帯へのオンライン学習通信費支援(拡充)=6億5300万円

 新型コロナウイルス感染症感染拡大を受け、ICTを活用した学習のための環境整備が進められる中、低所得世帯のオンライン学習を支えるため、その通信費を支援する(要保護世帯↓支弁区分=へ拡充)

▽実施主体=国(国立大学法人)、都道府県、市町村(特別区含む)

▽負担割合=国2分の1(国立10分の10)、都道府県・市町村2分の1

◆切れ目ない支援体制整備、外部専門家の配置(拡充、切れ目ない支援体制整備充実事業23億5200万円の内数)

▼切れ目ない支援体制整備

 特別な支援が必要な子どもが就学前から社会参加まで切れ目なく支援を受けられるよう、体制の整備を行う自治体等のスタートアップを支援する(個別の教育支援計画等の活用、連携支援コーディネーター配置など)。

▼外部専門家の配置

 個別の指導計画の作成や実際の指導に当たって、障がいの状態等に応じて必要となる、専門の医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門家配置を支援する(348人)。

▽実施主体=都道府県、市区町村、特別支援学校等を設置する学校法人

▽負担割合=国3分の1、都道府県・市区町村・学校法人3分の2

◆発達障がいの可能性のある児童生徒等に対する支援事業等=7000万円

 通常の学級や通級による指導において、新任担当あるいは経験の浅い担当教員を支援する体制構築等に関する調査研究を行う。

▽委託先=教育委員会

▽個所数=7ヵ所

※その他、発達障がいの可能性のある児童生徒の実態把握にかかる調査の在り方の検討、国立特別支援教育総合研究所において発達障がいにかかる教員等の専門性向上に向けた取組を実施する

◆難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携推進=1600万円

 聴覚障がい児の早期支援を促進するため、特別支援学校(聴覚障がい)における保健、医療、福祉など、厚生労働行政と連携した教育相談の実施体制構築にかかる実践研究を行う。

▽委託先=教育委員会

▽個所数=4ヵ所

※その他、国立特別支援教育総合研究所において難聴児の切れ目ない支援体制構築等に向けた取組を実施する

【学校をプラットフォームとした総合的な子どもの貧困対策の推進等】=26億2400万円(105・5%)

 家庭の経済状況にかかわらず、学ぶ意欲と能力のあるすべての子どもが質の高い教育を受け、能力・可能性を最大限伸ばしてそれぞれの夢に挑戦できるようにすることは、一人ひとりの豊かな人生の実現に加え、今後のわが国の成長・発展にもつながるものである。

 子どもの貧困対策に関する大綱を踏まえ、学校を子どもの貧困対策のプラットフォームと位置付け、総合的な子どもの貧困対策を推進するとともに、教育の機会均等を保障するため、教育費負担の軽減を実施する。

◆要保護児童生徒援助費補助=5億8800万円(補助率2分の1、補助事業者=都道府県・市町村)

 要保護児童生徒の保護者に対して学用品費、修学旅行費、学校給食費等の就学援助を実施。オンライン学習通信費や小学校の修学旅行費の予算単価の引き上げによって国庫補助の拡充を図るとともに、就学援助の着実な取組を支援する。

【私立小・中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業】=9億6700万円(97・2%)

 私立小・中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関し、年収400万円未満の世帯に属する児童生徒について授業料負担の軽減を行いつつ、義務教育において私立学校を選択している理由や家庭の経済状況などについて実態把握のための調査を行う。

▽実施期間=平成29年度~令和3年度

▽支給対象学校種=私立の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校前期課程、特別支援学校小学部および中学部

▽授業料負担の軽減=年収400万円未満の世帯に属する児童生徒について、授業料負担の軽減を行う(最大で年額10万円)

▽実態把握=義務教育において私立学校を選択している理由や家庭の経済状況などについて実態把握のための調査を行う

【高校生等への修学支援】=4358億3600万円(98・1%)

 すべての意志ある生徒が安心して教育を受けられるよう、高校等の授業料に充てるために高校等就学支援金を支給するとともに、低所得世帯に対しては、授業料以外の教育費に充てるために高校生等奨学給付金を支給することなどによって、家庭の教育費負担の軽減を図る。

◆高校等就学支援金交付金等=4169億700万円

▼高校等就学支援金交付金=4141億1600万円

 高校生等の授業料に充てるため、年収910万円未満の世帯の生徒等を対象に年額11万8800円を支給(設置者が代理受領)。

 2年度から私立高校等に通う年収590万円未満の世帯の生徒等を対象として、支給上限額を年額39万6000円まで引き上げ、私立高校授業料の実質無償化を実施。

▽対象学校種=国公私立の高校、中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部、高等専門学校1~3年生、専修学校高等課程、専修学校一般課程および各種学校のうち国家資格者養成課程(中学校卒業者を入所資格とするもの)を置くもの、各種学校のうち告示指定を受けた外国人学校、海上技術学校

▼高校等就学支援金事務費交付金=27億8200万円

 高校等就学支援金に関する事務の円滑な実施に資することを目的として、都道府県に交付。

▼公立高校授業料不徴収交付金(旧制度)=1000万円

◆高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)=158億9000万円

 生活保護世帯、非課税世帯(家計急変によって非課税相当となった世帯も含む)の授業料以外の教育費負担を軽減するため、高校生等奨学給付金によって支援する。

 授業料以外の教育費とは、教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、入学学用品費、教科外活動費など。

 都道府県が行う高校生等奨学給付金事業に対して、国がその経費を一部補助する。

▽対象学校種=高校等就学支援金の対象学校種(特別支援学校を除く)、高校等の専攻科

▽給付額

 非課税世帯について(全日制等、第1子)の給付額の増額や、家庭でのオンライン学習に必要な通信費相当額の増額によって低所得世帯のさらなる教育費負担の軽減を図る。

①生活保護受給世帯(全日制等・通信制)

・国公立の高校等に在学する生徒=年額3万2300円

・私立の高校等に在学する生徒=年額5万2600円

②非課税世帯(全日制等、第1子単価)

・国公立の高校等に在学する生徒=年額8万4000円↓11万100円(2万6100円増)

・私立の高校等に在学する生徒=年額10万3500円↓12万9600円(2万6100円増)

③非課税世帯(全日制等、第2子以降単価)

・国公立の高校等に在学する生徒=年額12万9700円↓14万1700円(1万2000円増)

・私立の高校等に在学する生徒=年額13万8000円↓15万0000円(1万2000円増)

④非課税世帯(通信制・専攻科)

・国公立の高校等に在学する生徒=年額3万6500円↓4万8500円(1万2000円増)

・私立の高校等に在学する生徒=年額3万8100円↓5万100円(1万2000円増)

※単価増のうち1万2000円が、オンライン学習に必要な通信費相当額となる

◆高校等修学支援事業費補助金(高校生等奨学給付金を除く)=6億9500万円

▽高校等で学び直す人に対する修学支援

▽公立高校等の家計急変世帯への修学支援

▽海外の日本人高校生への修学支援

▽高校等専攻科の生徒への修学支援

◆へき地児童生徒援助費等補助金=23億4400万円

 へき地等の小・中・高校生の通学条件を緩和するため、地方公共団体が実施する通学費・居住費等の修学支援について補助を行う。

【義務教育教科書の無償給与】=463億3300万円(100・7%)

 義務教育教科書購入費については、憲法第26条に掲げる義務教育無償の精神を広く実現するものとして、国公私を問わず、義務教育諸学校の児童生徒が使用する教科書を国が発行者から直接購入し、無償で給与するための経費。

▼3年度児童生徒1人当たりの平均教科書費

▽小学校=4083円(教科書1冊当たり403円)

▽中学校=5647円(教科書1冊当たり545円)

《総合教育政策局》

【学校教育・社会教育を担う教育人材の資質・能力の向上】

 Society5・0の到来などの様々な社会変化や技術革新に対応した力をもつ教師が一層求められており、ICT活用指導力等の新たな能力を身に付けるための教職科目や研修の開発を進めるとともに、多様な経験を有する人材を教育界内外から獲得するため、教職の魅力向上を図る仕組みづくりや学校現場に円滑に参画できる環境づくりを進める。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響によって対面での研修が困難となっている実状を踏まえ、ICTの活用など、新しい生活様式の中でも滞りなく実施できる研修手法を開発する。

◆新しい教育課題に対応した教員研修の充実と大学における教員養成の改革=1億4300万円

▼教師の養成・採用・研修の一体的改革推進事業

 教師が教職生涯にわたってその資質・能力を向上させていく効果的な仕組みの構築に資するため、大学、教育委員会、民間教育事業者等に対する委託研究を行うことなどによって、教師の養成・採用・研修を通じた改革を推進する。

▼現職教員の新たな免許状取得や更新等

 隣接校種等の新たな免許状取得を促進し、教員配置上の効率化を図るとともに、大学と地方公共団体が連携して、免許外の教科担任の解消を図る。

 また、全国各地で教員の更新講習の受講機会の確保を図るため、ICTを活用した講習の実施やへき地等での免許状更新講習開設への補助を行う。

◆学校教育における外部人材の活用促進事業=6700万円

 多様な経験を有する外部人材が転職、兼業・副業等によって学校現場に円滑に参画できる環境を整備するため、学校現場と外部人材をつなぐ仕組みづくりの検討を行うとともに、就職氷河期世代を対象としたリカレント教育プログラムを継続して実施する。

◆社会教育を推進するための指導者の資質向上等事業=5400万円

 社会教育主事、司書等については地域における社会教育指導者として、社会の変化や地域課題の実情に応じて、常に新しい知識・技術を習得する必要がある。このため国は、研修を実施し、地域住民における社会教育の質の向上や、住民自らが地域の課題を解決するような地域社会の形成に寄与する。

【グローバル社会に生きる児童生徒の教育機会の充実】

 グローバル人材育成については、第3期教育振興基本計画等を踏まえ他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度や、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性・積極性、異文化理解の精神などを身に付け、様々な分野で活躍できる人材の育成が重要である。

 また、急速な社会のグローバル化の進展に伴い、企業等の海外進出により帯同する子どもの教育環境の整備・充実も不可欠である。

 このため、在外教育施設においても国内と同等の学びの環境を整備するため、派遣教師数を拡充するとともに、令和のスタンダードとしての新しい時代の学びの環境の検討を進める。

◆在外教育施設の戦略的な機能の強化=172億5300万円

▼在外教育施設の教育環境の改善

 国内と同等の学びの環境を整備するため、派遣教師数を改善し、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備、特別支援教育の充実、免外指導の縮小を図る(在外教育施設派遣教師1321人↓1331人)。

▼高度グローバル人材の育成支援

 在外教育施設が所在する環境を生かし、児童生徒や教師のグローバルな能力獲得を支援するため、在外教育施設を高度グローバル人材育成の拠点とする取組を進める。

 また、新たな在外教育施設の在り方・機能強化の方向性について有識者会議を設置し検討を行う。

【生涯にわたる学びの推進】

 人生100年時代や技術革新の進展等を見据え、社会のニーズに対応したリカレント教育の基盤整備や学びを支える専門人材の育成、産学連携による実践的なプログラムの拡充などによる出口一体型リカレント教育を推進することによって、誰もがいくつになっても新たなチャレンジができる社会を構築する。

 また、地域の中核的人材育成拠点となる専修学校を引き続き支援するとともに、特に、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、自宅学習などの環境下においても実践的な職業教育の質を落とすことなく提供できるようにする。

◆大学等における価値創造人材育成拠点の形成(新規)=9700万円

 Society5・0の到来等、変化が激しく不確実性の高まる時代において、機械やAIでは代替できない創造性・感性・デザイン性・企画力など、社会人が新たな価値を創造する力を育成する必要がある。

 そのため、成長戦略実行計画2020等も踏まえ、大学等において創造的な発想をビジネス等につなぐ教育プログラムの開発や拠点の形成を行い、わが国の国際競争力の向上や生産性の向上に資する組織と人の変革を進める。

▼専修学校における先端技術利活用実証研究=6億2300万円

 専修学校教育における職業人材の養成機能を強化・充実するため、産学が連携し実践的な職業教育を支える実習授業などにおいてVR・AR等の先端技術の活用方策について実証・研究するとともに、新型コロナウイルス感染症の影響下など、遠隔教育をソフト面から支えるモデルを開発し、新たな教育手法の普及促進を図る。

▼専修学校留学生の学びの支援推進事業(新規)=1億7400万円

 新型コロナウイルスの感染拡大を契機として、入国が困難な留学生等のため、母国で主にオンラインを通じて学習するためのコンテンツ開発や学修サポート体制を構築するとともに、現地の教育機関などとも連携し、母国での学修を評価し、来日以後の残りの学修、就職支援までをトータルパッケージで支援するモデルを構築する。

▼専門学校と高校の有機的連携プログラムの開発・実証(新規)=4億1800万円

 これからの時代を担う地域の中核的な職業人材を養成するため、専門学校と高校、教育委員会等の行政および企業が協働で、職業に関する意識のかん養や早期から育成すべき基礎的素養を高校段階で養成し、社会的ニーズに応じた専門的な職業教育を専門学校において実施する高・専一貫の教育プログラムを開発するモデルを構築する。

【地域における学びの推進】

 学校を核とした地域力強化のための仕組みづくりなどを推進するため、地方の活性化につながる多様な取組を展開することによって、まち全体で地域の将来を担う子どもたちの育成、地方創生の実現を図る。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響によって本物に触れるなどの自然体験活動の機会の減少や格差が課題となっていることを踏まえ、体験機会の充実等を図るため、青少年教育団体が実施する自然体験活動を支援する。

 さらに、集団登校中の児童生徒が巻き込まれる交通事故、襲撃事件の発生など学校安全の確保に関する課題に着実に対応するため、警察や地域と連携し登下校時の安全確保に取り組む。

◆学校を核とした地域力強化プラン=73億3800万円

 学校を核とした地域力強化の仕組みづくりや地域の活性化に直結する施策等を地域の特色に応じて組み合わせて推進する。

▼地域と学校の連携・協働体制構築事業

 社会に開かれた教育課程の実現に向けた基盤となる体制の構築を支援するために、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)と地域学校協働活動を一体的に推進し、社会全体の教育力の向上および地域の活性化を図る。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、感染症予防対策に必要な物品等の経費を支援する。

▼地域における家庭教育支援基盤構築事業

 地域人材の養成や家庭教育支援チームの組織化など家庭教育支援体制の構築、保護者への学習機会の提供や相談対応・情報提供に加え、児童虐待防止への対応を含む支援員等に対する研修の強化、保護者に寄り添うアウトリーチ型支援の実施など、地域における家庭教育支援の取組を推進する。

▼地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業=3億3800万円

 登下校時の見守り活動の指導役となるスクールガード・リーダーの育成および活動を支援するとともに、地域ぐるみの見守り活動を促進するため、スクールガード養成講習会の実施にかかる経費や、ボランティア保険料を補助する。

◆体験活動等を通じた青少年自立支援プロジェクト=7000万円

 新型コロナウイルス感染症拡大によって子どもたちが野外で体を動かす機会が減少するなど、子どもたちを取り巻く環境の閉塞感を打開することが喫緊の課題であることから、これまで得られた知見を活用し、青少年団体等の取組の効果を一層高めるために支援することによって自然体験活動の機会の充実を図る。

 また、体験活動に関する普及啓発や調査研究、民間企業が実施する優れた取組に対しての顕彰事業を実施することによって、社会全体で体験活動を通じた青少年の自立支援を一層促進する。

◆学校安全推進事業=2億4400万円

 セーフティプロモーションスクール等の先進事例を参考にするなどして、実践的な安全教育、学校安全の組織的取組、外部専門家の活用を図るとともに、安全教育の推進に関する調査研究を実施する。

 また、都道府県などにおける教職員等への研修の支援や小学生新1年生向けリーフレットを作成・配布する。

【共に生きる学びの推進】

 女性の活躍推進等を図るため、多様な年代に対する学び直しを通じたキャリア形成支援に取り組む。さらに、性犯罪・性暴力対策の強化の方針を踏まえ、関係府省とも連携して、生命の尊さ・命を大切にする教育、自分や相手、一人ひとりを尊重する教育を推進し、子どもたちを性暴力の加害者・被害者・傍観者にさせないための教育・啓発活動を実施する。

 また、国籍の違いや障がいの有無等にかかわらず、安全・安心に暮らせる共生社会の実現を目的として、障がい者の学びの支援や外国人児童生徒教育等に関する施策を推進する。

◆女性の多様なチャレンジに寄り添う学びと社会参画支援事業=2400万円

 多様な年代の女性の社会参画を推進するため、関係機関との連携のもと、キャリアアップやキャリアチェンジ等に向けた意識醸成や相談体制の充実を含め、学習プログラムの開発など、女性の多様なチャレンジを総合的に支援するモデルの開発や、普及啓発を行う。

◆子どもを性犯罪等の当事者にしないための安全教育推進(新規)=3300万円

 性犯罪・性暴力対策の強化の方針を踏まえ、関係省庁や民間団体の協力のもと、新たに性被害の未然防止を目的とした予防啓発教材を活用した指導モデルの開発および男女の尊重や自分を大事にすることの理解、固定的性別役割分担意識解消の理解を深める教育プログラムを開発し、普及を図る。

◆学校卒業後における障がい者の学びの支援に関する実践研究事業=1億1600万円

 学校卒業後の障がい者の社会参加・活躍を推進するため、都道府県を中心とした地域コンソーシアム形成による持続可能な生涯学習支援体制を構築するとともに、新たに市区町村を主体とした生涯学習プログラムを開発・実施し、多様な学びの場の拡充に取り組む。

 その上で、成果普及や担い手育成のためにブロック別コンファレンス・フォーラム等を実施する。

◆共生社会の実現に向けた帰国・外国人児童生徒等教育の推進支援=9億1000万円

 外国人の子どもの就学状況の把握・就学の促進を図るとともに、学校における日本語指導体制の充実や、高校における日本語指導の充実に向けた指導資料の作成、外国人児童生徒等の集住・散在地域それぞれにおける課題を解決する先進的なプログラムの開発など、多様な取組を通じた支援によって、適切な教育機会の確保を図る。

【全国学力・学習状況調査のCBT化に向けた取組】

 全国学力・学習状況調査は、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善などに役立て、さらに、そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立することを目的として実施している。

 GIGAスクール構想やPISA等の国際的な学力調査のCBTによる実施の流れを踏まえ、全国学力・学習状況調査のCBT化について専門的・技術的な観点から検討するとともに、小規模からの試行・検証や問題開発等に取り組む。

◆全国学力・学習状況調査のCBT化に向けた取組(新規)=9000万円

 全国学力・学習状況調査のCBT化に向けて、全国的な学力調査のCBT化検討ワーキンググループの中間まとめ論点整理を踏まえ、国立教育政策研究所と連携し、小規模からの試行・検証や問題開発等に取り組む。

▼全国学力・学習状況調査のCBT化に向けた試行・検証=5000万円

▼CBT問題開発・測定・評価等に関する調査研究(国立教育政策研究所)=4000万円

(国 2021-02-03付)

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 文部科学省は、学習者用デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン改訂案をまとめた。30分に1回、20秒程度画面から目を離して使うよう指導するなど健康面への配慮を追記。睡眠前...

(2021-01-29)  全て読む

浦幌厚内公民館と石狩市公民館選出 優良公民館文科大臣表彰

 文部科学省は、第73回優良公民館表彰(文部科学大臣表彰)の受賞館を発表した。道内からは、浦幌町厚内公民館と石狩市公民館が選ばれた。  表彰は昭和23年度から実施。公民館やその他公民館と同...

(2021-01-28)  全て読む

本道から3活動 2月25日表彰式 地域学校協働活動文部科学大臣表彰

 文部科学省は、令和2年度地域学校協働活動推進にかかる文部科学大臣表彰の受賞者を決定した。本道からは、奥尻町地域学び支援ネット、士別市地域学校協働活動、北広島市の放課後子供教室の3活動が受賞...

(2021-01-28)  全て読む

文科省 地域運動部活動推進事業 地域移行など3事業 保護者の費用負担額把握へ

 文部科学省が令和3年度に計画している地域運動部活動推進事業の概要が明らかになった。休日の部活動の段階的な地域移行、合同部活動の推進に関する実践研究のほか、地方大会の合理化に関する調査研究の...

(2021-01-27)  全て読む