道教委が遠隔授業指導力向上研修　生徒理解　見取る力必要　有朋高・井口教諭ら事例紹介

（道・道教委 2021-02-04付）

共同編集機能などクラウドサービスを体験

　道教委は１日、道庁別館で遠隔授業指導力向上研修を開いた。ウェブ会議システムで約３０人が参加。有朋高校の井口貴美子教諭ら５人が遠隔授業の実践事例を紹介したほか、参加者はクラウドサービスを実体験する演習を実施し研鑚を積んだ。

　遠隔授業に関する実践的な研修を行うことで教員の遠隔教育への理解を深め、双方向による遠隔授業の指導方法を習得することが目的。成果を活用することで本道における遠隔授業の中心的役割を担う教員の育成を目指している。

　道立高校の遠隔授業の中核として活躍することが期待される高校の教諭約３０人がウェブ会議システムを活用して参加した。

　はじめに、佐藤一昭教育環境支援課長補佐が、令和３年度、有朋高に開設される遠隔授業配信センターについて説明。大学への進学や生徒の多様な興味・関心に応える教科・科目の授業を複数校に同時配信する取組の内容を示し、入学前の中学生に広く周知する必要性を示した。

　３年度から本格運用となる授業目的公衆送信補償金制度については、道立高校の負担分は道教委が予算措置を検討していることを伝えた。

　続いて、ICT教育推進課の荒瀬匡宗係長が、ICＴを活用した授業の目指す姿とICＴ活用授業指針の概要を説明。学校種ごとにヒントをまとめたTips編の活用を呼びかけた。

　つぎに、井口教諭ら有朋高の教諭５人が遠隔授業の実践事例を紹介。井口教諭は、板書時間が短縮される一方、淡々と授業が進むため生徒の理解を見取る教員の本質的な力が一層求められるなど、遠隔授業の利点や課題を挙げ、生徒が自分なりに記録したり、考えを伝えたりする訓練が必要になると説いた。

　杉浦啓介教諭は、理科の実験でクラウドシステムを活用した実践から、スプレッドシートなどを活用して実験結果をまとめたり、実験動画を配信したりする授業を提案した。

　向山貴志教諭、丸山啓教諭、町田哲教諭は、配信先が２校ある場の２校の合同遠隔授業について報告。指示や発問など生徒とのやりとりが概ね円滑にできたこと、両校で共有して学びを深め、交流を通して学習意欲が高まったなどの成果を伝え、「通年で実施する場合、他校の生徒同士が仲良くなれるしかけづくりも必要」との意見があった。

　演習では、共同編集機能、自動集計機能、アンケート機能などクラウドサービスを実体験した。

(道・道教委 2021-02-04付)