リポート 道内学習指導員 2割が大学生 教員の卵 現場学ぶ機会 学び保障に役割 継続期待
(道・道教委 2021-02-08付)

リポート・学習指導員
授業を支援する学生(江別市野幌若葉小)

 昨年8月末から道内で配置が始まった学習指導員。道内(札幌市を除く)の学習指導員は約2割が大学生。教員を目指す学生にとっては、現場を学ぶ貴重な機会にもなっている。積丹町ではオンラインによる学習支援を1月から開始。学習指導員は教員の業務負担軽減や子どもたちの学びの保障に大きな役割を果たす一方、学生にとっては、へき地・小規模校での交流機会創出にもつながっている。次年度以降も継続配置を求める声は少なくない。

 学習指導員は、家庭学習の準備・提出物の採点、チーム・ティーチング指導や習熟度別学習を行う教員の支援、放課後・長期休業中を活用した補習授業の支援などを担うパートタイム会計年度任用職員。

 道教委によると、10月末時点で配置された学習指導員は728人。このうち2割に当たる約140人を学生が占める。管内別では上川が30人と最多で、空知、石狩、渡島、釧路などと続く。

 岩見沢市は、小・中学校の6割に学生の学習指導員を配置。空知管内の大学や短大のほか、江別市内の大学に通う学生が多いという。道教育大学岩見沢校のボランティアサークルに所属する学生の多くも指導員として活躍している。ある中学校の校長は「ボランティアとして学校に長くかかわってくれている人で信頼ができる。安心できる人が来てくれるのは本当にありがたい」と話す。

 北翔大学4年の大山佳祐さんは、教育実習先の江別市立野幌若葉小学校の学習指導員に。授業に集中できない子どもに声かけを行うなど授業が円滑に進むよう支援する。ことし4月から教員となる予定で、「大学では学べない、様々な授業をみることが勉強になる」と話し、一足早く現場で実務を学ぶことができる機会と感じている。

 積丹町立野塚小は、札幌市在住の大学生による放課後学習の遠隔支援を1月下旬から開始。ウェブ会議システムで子どもたちの学びの様子をみとり、児童一人ひとりの学習を支援している。野塚小の関係者は「大学生と交流する機会は子どもたちの成長にとって大きなプラス。次年度も事業を継続してくれれば」と期待する。

 文部科学省の調査によると、学習指導員の配置率は都道府県で68・1%、政令市で100%、市区町村で60・2%と差が大きい。人材バンクの整備や人材募集の一元化の取組状況は自治体によって異なり、人口減少などを背景として人材不足が生じている地域も多い。

 高校ではスクール・サポート・スタッフが配置されていないことから、学習指導員の配置を求める声が一層大きい。

 石狩管内のある道立高校の校長は、教室、階段、体育用具の消毒作業など感染症対策に従事する人手も不足しているとし「今後の感染状況が不透明な中、予算とともに人材を確保し、より多くの学校に配置してほしい」と願う。

(道・道教委 2021-02-08付)

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