札幌市教委 第５回夜間中学検討会議　小学校の内容含めて　生徒が学びやすい環境を

（札幌市 2021-02-09付）

他都市の事例をもとに審議

　札幌市教委は１月２９日、令和２年度第５回公立夜間中学に関する検討プロジェクト会議を開いた。４年度の公立夜間中学開校に向け、各教科における授業の在り方を検討。うち、国語では習熟度別の学習内容について、他都市の事例をもとに協議した。中学校での授業内容が高度化する理科では、小学校段階の授業内容も含めて検討することを提案するなど、すべての生徒が学びやすい環境を構築するため、活発に意見を交わした。

　会議は、公立夜間中学の開校に向け、市における望ましい夜間中学づくりについて、市立小・中学校、高校の教諭などの委員から意見を聴取し、開校までの整理事項などについて検討するもの。委員４人で構成している。

　第５回会議では、各教科における学習教材、準備の提案（学校備品や消耗品）、教育課程などについて検討。

　委員が国語、数学、理科、体育などの担当教科について、学習教材、教育課程など他都市の事例を参考に説明した。

　うち、国語では、習熟度別の学習内容について協議。担当委員は、日本語の能力、進学希望によって学習内容を設定することが望ましいとし、①学校への進学を希望する生徒②進学の予定はないが、社会常識や読み書きの習得などを希望する生徒③外国籍など様々な事情によって日本語を習得したい生徒―の３つの分類を提案した。

　大阪府や千葉県などにおいて、学年の区分ではなく、異学年合同で習熟度別授業を行っている事例を挙げながら、公立夜間中学における授業の在り方について意見を交換した。

　②や③の対象となる生徒については、教科書教材では難易度が高いとし、必要に応じて独自の教材を作成する必要性を検討。「実生活に結び付く授業とすることが望ましいのでは」などの意見も挙がり、プレゼンテーションや作文の発表、文集の作成などに重点を置くことを提案した。

　理科を担当する委員は、公立夜間中学では一般的に１コマが４０分授業であることから、時間的に厳しい観察・実験もあることを説明。２時間続きの授業とすることも含めて検討が必要とした。

　小学校と題材が重なり、内容を深めていく単元も多いことから、「専門的になりすぎないよう、小学校の学習内容と照らし合わせながら教材などを作成していければ」などの意見が出された。

　また、異年齢の生徒の入学が予想される公立夜間中学においては、「経験豊かな生徒との交流があれば、有効的な授業が期待できる。授業内で交流する場を設けてもよいのでは」などの意見も寄せられた。

　次回会議は３月初旬を予定。市教委は、３年度も継続して会議を開催する方向で検討している。

(札幌市 2021-02-09付)