道議会質疑 決算特別委員会(令和2年11月11日)
(道議会 2021-02-12付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼清水拓也委員(自民党・道民会議)

▼赤根広介委員(北海道結志会)

【答弁者】

▼平野正明総務部長

▼竹縄維章総務部法人局長

▼近藤史郎総務部法人局学事課長

◆私学学校の耐震化など

Q清水委員 本道の将来を担う子どもたちが安全な環境で安心して勉学やスポーツなどに励むためには、学校施設の耐震化は喫緊の課題である。

 道内の私立幼稚園、小・中学校、高校の耐震化は現在、どの程度進んでいるか、他都府県の私学との比較も含め、現状について伺う。

A近藤課長 道内私立学校の耐震化の現状について。平成31年4月1日現在で耐震化が完了していない学校は、幼稚園で67園74棟、中学校で1校1棟、高校で25校66棟、小学校については、すべての学校で耐震化が完了しているという状況であり、全道平均では82・9%の耐震化率となっている。

 また、私立学校の全国平均の耐震化率は91・4%となっており、全国都道府県の中で北海道の耐震化率の順位は45番目となっている。

Q清水委員 文部科学省では、私立学校の耐震化に対する補助制度を用意している。

 道は、耐震化の促進に向け、どのように取り組んできたのか伺う。

A近藤課長 道のこれまでの取組について。道では、これまで、国に対し耐震化に向けた財政支援の一層の充実について要望してきているほか、道独自の制度として、26年度に耐震診断に対する補助制度を創設した。30年度からは道の補助事業に上乗せした耐震補強工事に対する補助制度を創設し、私立学校の経費負担の軽減に努めてきている。

 また、私学団体が主催する理事長、校長などに対する研修会や事務長研修会、毎年実施する私立学校に対する概況ヒアリングの場などを通じて、学校法人の理事長や事務担当者等に対し、国や道などの各種支援制度の活用について周知し、学校施設の耐震化を促進してきた。

Q清水委員 道が30年度に創設した耐震補強工事に対する助成制度は3年間の時限措置であり、本年度までとなっている。

 3年間でどの程度、制度が活用され、耐震化率がどう推移してきたのか伺う。

A近藤課長 道の助成制度の活用実績等について。耐震補強工事への補助実績は、30年度および令和元年度の2年間で、幼稚園で3園3棟、中学校で1校1棟、合わせて約5700万円を補助している。

 また、各年4月1日現在の耐震化率の推移は、29年は78・8%、30年は81・2%、31年は82・9%となっており、耐震補強への補助制度創設前の29年と比べて4・1ポイントの上昇となっている。

Q清水委員 耐震化がなかなか進まない背景には、少子化で私学経営上、投資が難しいという苦悩があると思う。

 道として、今後、どのように私立学校の耐震化を進めていく考えなのか伺う。

A竹縄局長 今後の取組について。学校施設は、子どもたちが1日の大半を過ごす学習、生活の場であり、全国の中でも低い水準である道内私立学校の耐震化の促進は、子どもたちの安全を確保していく上で喫緊の課題であると認識している。

 このため、道としては、引き続き、学校へのヒアリングなど様々な場面を通じて、私学団体による低利の融資制度や各種補助制度の周知に加え、学校法人の負担が軽減されるよう、国に対し補助制度の継続的な実施や補助率の引き上げについて要望するなど、道内私立学校の耐震化を促進していく。

Q清水委員 2年4月から国の就学支援制度が大幅に拡充され、わが会派からも、国の施策の拡充と相まって、道の就学支援策の充実を求めてきた。

 本年度の国の制度拡充に伴い、道の就学支援施策を具体的にどのように見直したのか伺う。

A近藤課長 就学支援について。道では、これまで、私立高校の生徒が経済的理由によって就学が困難とならないよう、国の就学支援金と道の授業料軽減補助金を組み合わせ、国の制度の対象とならない施設整備費等の納付金も含め、年収が350万円程度を下回る世帯を対象に支援してきており、このうち、年収が270万円程度を下回る世帯については、実質無償化となるよう、保護者負担の軽減を図ってきている。

 2年4月から、国の就学支援金制度が拡充されたことに伴い、道の授業料軽減補助金を見直し、年収590万円未満程度の世帯に関し、国の就学支援金の補助上限額と道内私立高校の授業料等の平均額の差額を助成する制度に改め、施設整備費等の納付金も含め、実質無償化となる世帯の範囲を拡充した。

 また、家計が急変した世帯についても、国の制度改正の趣旨を踏まえ、対象となる世帯の収入基準を年収590万円未満程度まで引き上げるなど、支援内容を充実した。

Q清水委員 今般のコロナ禍の中で、解雇、雇い止めが増えている状況にある。私立高校に通う生徒の保護者の負担軽減を図っていくことは、今後、ますます重要になっていくものと考える。

 道は、コロナ禍で経済的に困難な状況にある保護者への対応も含め、今後、私立高校生への就学支援について、どのように取り組んでいくか伺う。

A竹縄局長 今後の就学支援について。新型コロナウイルス感染症の拡大によって、家計に対する影響が見込まれたことから、道では、本年度の補正予算において、授業料軽減補助金の家計急変世帯への支援に関し予算を増額したほか、修学旅行費や学用品費など授業料以外の教育経費を対象とした奨学のための給付金について、家計が急変した世帯を新たに支援対象に追加するなど、所要の措置を講じてきた。

 道としては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、家計が急変した世帯の状況把握や、本年度から支援内容を見直した授業料軽減補助金制度について、その周知徹底や的確な運用に努めるとともに、国に対し就学支援金制度のさらなる充実を要望するなど、引き続き、私立高校に通う生徒が家庭の経済的事情に左右されず、安心して教育が受けられるよう、就学環境の整備に取り組んでいく。

Q清水委員 ICT技術やグローバル化の進展、Society5・0社会の到来など、わが国は時代の変革期を迎えていると言われている。こうした時代をたくましく生き抜き、本道の未来を支える子どもたちを育んでいくことは、私たちの世代の大きな責務である。

 人づくりこそ国づくりという言葉もあるが、未来に向け、人づくりに投資していくことが今、求められているものと考える。

 少子化の急速な進展、コロナ禍での新しい教育スタイルの模索など、私立学校を取り巻く環境は大変厳しい状況にある。

 公教育の一翼を担い、本道の人づくりに大きな役割を果たしている私学の振興に向け、今後、道として、どのように取り組む考えか伺う。

A平野部長 私学振興に向けた今後の取組について。本道の私立学校は、時代の変化や生徒、保護者の教育ニーズに対応した特色ある教育を展開しており、北海道の未来を担う個性豊かで多様な人材の育成に重要な役割を担っていると認識している。

 少子化の急速な進行に加えて、新型コロナウイルス感染症への対応など、私立学校を取り巻く環境は厳しさを増しているものと考えている。道としては、私学団体から幼稚園や高校などが抱える課題について、きめ細かに聞くとともに、国に対し、私立学校における耐震化や就学のための経費はもとより、オンライン教育に欠かせないICT環境の整備促進に向けた支援内容の充実を要望していく。

 このほか、ウィズコロナ、ポストコロナ時代にも対応した私立学校の健全な運営と子どもたちの安全・安心の確保や、時代に即した教育環境の整備が図られるよう、引き続き、限られた財源を効果的かつ効率的に配分しながら、私学助成の充実に努めていく考えである。

◆私立学校教員の採用

Q赤根委員 全国的に教員によるわいせつ事件があとを絶たない。特に、児童生徒に対するわいせつ事件は、子どもたちに後々まで心に深い傷を負わせるものであり、決して許すことができないものであると考える。

 文部科学省では、不祥事等によって、免許状を失効もしくは取り上げられたことのある教員の情報を検索できるツールを設けており、教員の採用に当たっては、こうしたツールの積極的な活用が期待される。

 私立学校において、教員の不祥事が発生した場合、免許の失効や取り上げに関して、どのように取り扱われているのか、また、取り上げ等に関する事案であれば、道に対しても報告があるものと考えるが、どのような取扱いとなっているのか併せて伺う。

A近藤課長 免許状の取扱いなどについて。教育職員免許法の規定によって、免許状を有する者が禁錮以上の刑に処せられた場合などについては、免許状はその効力を失うこととなる。

 また、同法によって、私立学校の教員が公立学校の教員の場合における懲戒免職や分限免職の事由に相当する事由によって解雇されたと認められるときは、免許管理者である教育委員会は、その免許状を取り上げなければならないとされている。

 教育職員免許法によって、学校法人等はその設置する私立学校の教員について、ただいま申し上げた免許状の失効事由に該当すると認めたとき、または、教員を解雇した場合において、当該解雇の事由が免許状の取り上げ事由に該当すると思料するときは、速やかにその旨を所轄庁である知事へ報告することとなっており、知事はその報告内容を確認し、認めたときは、その旨を免許管理者である道教委に通知しなければならないこととされている。

Q赤根委員 例えば、公立の学校をわいせつ行為等によって懲戒免職となった教員が3年間という免許の失効期間を経たあと、私立学校に採用されるケースもあり得るのではないか。

 その意味で、国の検索ツールの活用は有効と考えるが、残念ながら全国的に私立学校における活用割合は1割程度ということで、大変低い状況であるという報道がされている。

 道として、この検索ツールの意義について、どのように認識し対応しているのか伺う。

A竹縄局長 文科省の検索ツールについて。私立学校における教員の採用は、設置者である学校法人等がそれぞれの建学の精神に基づく採用方針などを踏まえ対応している。

 官報に公告された公開情報である教員の免許状の失効、取り上げ情報を簡便に確認することのできる国の検索ツールについては、今般、わいせつ行為を行った教員への厳正な対応を進める一環として、検索可能な情報の期間を直近3年間から直近40年間まで延長することとされたものと承知している。

 道としては、学校法人等がこのツールから得られる情報も踏まえた上で、面接や採用関係書類の審査などを行うことは、適切に採用する上で有効と考えており、引き続き、学校法人等に対し、ツールの周知に努めるとともに、その適切な活用について促していく。

O赤根委員 ぜひ、取組を進めていただきたい。

 道教委においては、懲戒処分の指針を6月と8月の2回改正しており、8月の改正では、教職員が法令に違反する重大な性的行為を行った場合は免職するなど、処分を厳格化した。

 こういうことを踏まえると、ツールの活用もよいが、道教委と道内の私学の情報共有という意味で、道教委で処分があった人について、ツールに頼らなくても情報共有することは有効と思う。

 公立であれ私学であれ、そこに通ってるのは北海道に住む子どもたちである。子どもたちの安全・安心を確保するという視点から、しっかりと取り組んでいただきたい。

(道議会 2021-02-12付)

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