道議会質疑 決算特別委員会(2年11月11日)
(道議会 2021-02-17付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼鈴木一磨委員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼小玉俊宏教育長

▼添田雅之生涯学習推進局長

▼小松智子学校教育局長

▼山本純史学校教育局指導担当局長兼ICT教育推進局長

▼松本邦由教職員局長

▼相川芳久文化財・博物館課長

▼川端香代子義務教育課長

▼濱中昌志義務教育課地域連携担当課長

▼髙木順一教育環境支援課長

▼藤田善治健康・体育課長

▼奥寺正史教職員課長

▼今村隆之教職員課働き方改革担当課長

◆学校教育の指導体制

Q鈴木委員 スクール・サポート・スタッフ配置事業費国庫補助として7851万円を支出しているが、令和元年度および2年度の道内対象学校数や申請および配置状況などについて教育局別にどのような状況になっているのか、特徴的な傾向について伺う。

A今村課長 スクール・サポート・スタッフの配置状況などについて。元年度は、札幌市を除く小・中学校1301校のうち、164校から申請があり、77人配置した。最も配置の多かった上川管内では、対象校180校のうち、41校から申請があり、12人を配置し、最も配置の少なかった日高・檜山・釧路管内では、合わせて対象校165校のうち、それぞれの管内から1校ずつ申請があり、1人ずつ配置した。

 2年度は、札幌市を除く小・中学校1270校のうち、185校から申請があり、95人配置した。最も児童生徒数の多い上川管内では、対象校176校のうち、37校から申請があり12人と道内14管内の中では一番多く配置しており、最も児童生徒数の少ない檜山管内では、対象校30校のうち、1校から申請があり、1人のみの配置となっている。

 なお、本年度当初予算を活用したスクール・サポート・スタッフの配置は、働き方改革を推進するためのものであり、学校において、在校等時間の客観的な計測、記録等を行っていることを前提に、各市町村の申請希望に基づいて配置してきたものである。

Q鈴木委員 申請に比べ配置が全然少ないという状況だと思う。

 関連して、新型コロナウイルス感染症対策としての国の第2次補正予算等にかかわる学習指導員やスクール・サポート・スタッフなどの追加配置について、全道各地で隔たりなく配置されたのか、あらためて配置状況について伺う。

A今村課長 スクール・サポート・スタッフなどの追加配置について。新型コロナウイルス感染症対策として、国の補正予算を活用し、本年度新たに配置した学習指導員については、札幌市を除く小・中学校、高校および特別支援学校1140校から1219人の申請があり、10月末日現在で728人を配置している。

 同じくスクール・サポート・スタッフについては、札幌市を除く小・中学校および特別支援学校944校から1063人の申請があり、10月末日現在で736人を配置している。

 道教委としては、学習指導員およびスクール・サポート・スタッフの配置に当たって、希望するすべての学校に配置決定したものの、申請数に対する配置人数の割合は、学習指導員は59・7%、スクール・サポート・スタッフは69・2%となっており、管内別にみると、日高、留萌、宗谷といった比較的小規模な管内で相対的に割合が低く、人材確保が難しい状況となっている。

Q鈴木委員 人材確保が難しい状況は分かるが、そのしわ寄せが各学校に行ってるのではないかという懸念がある。

 道は、スタッフ等のなり手不足の対策として、道ボランティアバンクや国の学校・子供応援サポーター人材バンクなどを活用すると過去にも答弁しているが、地域によって登録者数は偏在していると思う。人材バンク制度などの活用状況について伺う。

A濱中課長 人材バンクなどの活動状況について。10月末現在で任用した学習指導員等のうち、国や道の人材バンクの活用による任用は、20市町村38人であり、大学等がある都市部やその近隣での任用が多い状況にある。

 道教委では、人材バンクを広く周知するなどして、各学校が希望する人材との調整を行っているが、登録者が都市部に偏りがちであることなどから、通勤が困難である、または、勤務の時間帯が合わないなどの理由で任用に至らない場合があり、より多くの方々に人材バンクに登録していただくことが必要と考えている。

 このため、学校が求める支援の内容や勤務条件等を分かりやすく示したチラシの作成やメールマガジンを通じ、人材バンクの一層の周知を図るとともに、ホームページの学習指導員エントリーフォームから、教員を目指す大学生が直接応募できる仕組みを新たに構築するなどして、様々な人材の掘り起こしなどに努めている。

Q鈴木委員 学習指導員とスクール・サポート・スタッフ制度については、実施主体が市町村ではなく都道府県と定められている。

 財源も、国と都道府県とで負担していることから、市町村との協力関係について所見を伺う。

A今村課長 市町村との協力関係について。道教委では、教員の確保については、これまでも、ハローワークやホームページ等を通じた募集、広報誌、動画共有サイトYouTubeを活用するとともに、市町村教委と連携しながら、教職経験のある方など、地域の潜在的な人材の情報を共有するなどして、必要な人員の確保に努めてきた。

 また、スクール・サポート・スタッフや学習指導員の任用に当たっては、希望するすべての学校に配置できるよう、市町村教委との連携はもとより、大学、商工会、PTA、ボランティア団体などの協力を得るとともに、道教委が作成した人材募集のチラシを活用し、振興局に募集の周知や人材確保について依頼するほか、市町村の首長部局で任用されていた会計年度任用職員等の活用を図るよう情報提供するなど、様々な手段を用いて人材確保に努めている。

Q鈴木委員 全道的にも配置が限られて少ないスクール・サポート・スタッフの業務に関して、子どもの健康観察や登校支援も含むとされている。

 健康観察や登校支援とは、具体的にどのような業務なのか伺うとともに、元年度など実際の現地業務において、混乱や支障、課題等は生じていないのか伺う。

A今村課長 スクール・サポート・スタッフの業務について。国の補助金交付要綱等を踏まえて策定した道の実施要綱では、スクール・サポート・スタッフの業務として、授業準備や採点業務といった教員の負担軽減を図る業務のほかに、新型コロナウイルス感染症対策に伴う健康観察や登校支援業務等と定めており、この健康観察や登校支援業務等というのは、具体的には児童生徒の健康観察カードの取りまとめ作業や、校内の換気、消毒作業の補助のほか、通学路の安全を確保するための街頭指導や、スクールバスにおける児童生徒の添乗補助、ICT機器使用のサポートなどが挙げられる。

 こうしたスクール・サポート・スタッフと学習指導員の採用に当たっては、任用手続きを行う教育局や学校の管理職から、業務の内容について、丁寧な説明に努めている。現在のところ、概ね円滑に業務を遂行していると承知している。

P鈴木委員 概ね円滑に業務を遂行という答弁があったが、例えば、子どもの健康というのは家庭事情につながることも多いし、登下校の部分についても、長距離の徒歩通学やスクールバスの運行状況など、地域によって態様に格差が生じる。

 どこまでスタッフ業務の範囲なのか、事前に明確に示す必要があると思うので、現場での働きやすい環境づくりに今後、配慮するよう指摘しておく。

Q鈴木委員 道内は、過疎化が進む市町村も多く、特に、地方や郊外の学校は予算が確保されても、なり手がいない、人材が不足しているなどの苦渋の声を聞く。

 地域間格差を解消するための方策などについて、どのように検討しているのか伺う。

A松本局長 人材確保の方策について。道教委では、本年度、教職を目指す学生がやりがいを発見し、地域の関係人口づくりを結ぶことを目的に、大学や市町村と連携し、草の根教育実習システムという制度を新たに構築した。学習指導員の配置に当たっては、このシステムを活用するなどして、人材が不足するへき地・小規模校のある地域においても、10月末現在、133人の学生の任用を決定した。

 さらに、各教育局において、振興局や市町村教委と連携し、道教委ボランティアバンクを活用するほか、募集案内のチラシを作成・配布するなどして、PTAや町内会といった学校や地域に根ざした団体等への働きかけを繰り返し行い、地域の人材を掘り起こしている。

 道教委としては、引き続き、このような取組を強めるほか、学校、家庭、地域、大学などと連携を一層密にし、各市町村の地域事情を見極めながら、学習指導員やスクール・サポート・スタッフなどの人材確保に努めていく考えである。

Q鈴木委員 学習指導員やスクール・サポート・スタッフなどの制度とは別に、例えば、団塊世代や高齢者などが知識や経験、技術を生かして学習支援を行う教育サポーター制度、そして、元年度に国は学力向上を目的とした学校教育活動支援として知見ある人材配置7700人分、31億円を予算措置している。

 道内の配置実績等について伺う。

 また、道教委も行っている退職教員等を活用した事業についても同様に伺う。

A川端課長 学力向上を目的とした人材支援について。道教委では、児童生徒の学力向上を図るため、教員を目指す学生等を市町村や道立高校に派遣し、長期休業期間中に補習などを行う学校サポーターの派遣事業を実施している。

 元年度は、市町村については59市町村に230人、道立高校については16校に25人を派遣し、決算額は合わせて416万7000円であった。

 また、チーム・ティーチングや放課後の個別指導などを行い、学力向上や小学校における外国語活動の充実を図るため、退職教員等を講師として配置する退職教員等外部人材活用事業を実施しており、元年度においては、学力向上については小・中学校延べ207校に230人、外国語活動については80校に80人を配置し、決算額は合わせて3億3600万円となっている。

Q鈴木委員 学校現場では、前年度以前に比べ大幅に減少したとはいえ、引き続き、教員の欠員が生じていると聞いている。直近の教員の欠員状況と教員の確保に向けた現状や課題、対策について伺う。

A奥寺課長 教員の欠員の状況について。教員の確保に向けては、これまでも、ハローワークやホームページ、広報誌、YouTubeを通じた募集のほか、民間の就職情報誌やウェブサイトの活用によって、人材の掘り起こしに努めてきた。

 こうしたこともあって、昨年10月1日現在、75人の欠員があったが、本年10月1日現在では39人と一定の改善がみられている。

 道教委としては、今後とも、欠員の解消に向けて市町村教委と連携しながら、定年退職者といった過去に教員として勤務経験のある方など、地域に点在している人材の情報も共有しながら、必要な教員の確保に取り組んでいく。

Q鈴木委員 過疎に悩む市町村は、学校統廃合、人為的な問題などたくさんの課題を抱えている。学びの環境に差を感じる部分もある。学校教育支援体制の充実に向けて、今後、地域との連携・協働などをどのように進めていくのか伺う。

A小松局長 学校支援体制の充実について。本道では、人口減少などを背景とした地域コミュニティの衰退や学校の小規模化による教育上のデメリットなど、地域間の格差が指摘されており、地域と学校がパートナーとして連携・協働し、社会全体で子どもたちを育むための仕組みづくりが必要と考えている。

 このため、道教委では、地域の教育資源や人材を生かしながら、子どもたちに豊かな学びを提供することができるよう、コミュニティ・スクール活動の充実などを通じ、地域と学校の協働体制を構築する取組を進めてきた。

 今後は、保護者はもとより、高齢者や民間企業など、様々な形で学校を支える人材が幅広く確保されるよう、福祉や地域創生を担当する部局等との連携を強めるとともに、教職を目指す学生が遠隔地の学校に対しオンラインでの双方向の学習支援を行うなど、それぞれの地域の実態に応じた学校支援体制の構築に向け取り組んでいく考えである。

Q鈴木委員 情報活用能力の育成等について、道教委において、元年度から小学校段階における情報活用能力の育成に向けてプログラミング教育事業を実施し、500万円を支出していると承知している。その内容について伺う。

A髙木課長 プログラミング教育事業について。道教委においては、コンピューターに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動を行うプログラミング教育が2年度から小学校で必修化されることを踏まえて、導入の準備や各教科等における実施場面の工夫などを目的としたプログラミング教育事業を元年度から3年度まで実施することとしている。

 前年度の取組としては、先進的に取り組んでいる小学校20校を研究実践校に指定し、小学校6年間の指導計画の作成や、プログラミングを体験的に学習するための教材選定の調査研究を行い、管内教員を対象に公開授業や教員研修を実施するとともに、実践事例集を作成の上、全道の小学校に配布した。

Q鈴木委員 小学校では、これまで全くなじみのなかったプログラミング教育を短期間で定着させるのは非常に難しいことだと想像できる。

 前年度の取組で、どのような成果を上げることができたのか伺う。

A髙木課長 事業の成果について。各研究実践校においては、プログラミング教育に関する公開授業や教員研修を実施してきているが、参加者のアンケート結果からは、動作の手順を並べたフローチャートの作成などプログラミングの仕組みを児童に分かりやすく理解させるための授業の進め方や、児童が考えた命令どおりに動く教材の具体的な活用などについて、理解を深めることができたとの回答が多かった。

 また、研究実践校の年間指導計画や授業実践をまとめた事例集を作成・配布したことによって、昨年4月時点の調査において、プログラミング教育を実施する上での課題として最も多く挙げられていた指導事例の不足を解消する一助になったと考えている。

Q鈴木委員 プログラミング教育を効果的に進めるためには、子どもたち一人ひとりが端末を用いて学習活動ができるよう、ICT環境の整備を進めていくことが必要である。しかし、GIGAスクール構想の前倒しによって、ルーターや端末機器がすぐ届かないなど、学校現場では混乱している状況もある。

 道教委は、共同調達を行わずに、市町村に整備等の対応を委ねたが、本来であれば、道教委が積極的に具体的支援や対策に関与する必要があると思われる。道教委の所見を伺う。

A髙木課長 市町村への支援等について。道教委が共同調達を行う場合、参加自治体による協議会の設立など、必要な手続きに相当の時間を要することや、購入規模が大きくなることで入札に参加できる事業者が限定されること、アフターサービス等のニーズを市町村ごとに対応することができないことなどを総合的に勘案し、各市町村による個別調達を行うことが適当と判断した。

 また、1人1台端末の整備に当たっては、補助額の上限や市町村のこれまでの整備状況、児童生徒が使用する学習者用端末としての妥当性などを考慮しながら、最適な仕様を検討し発注する必要があるため、道教委では、市町村における検討に資するよう、2年1月以降、文部科学省の担当者を招いた説明会を開催するほか、個別の相談に対応するための電話相談窓口の設置、市町村とのオンラインによる相談会を実施するなどの支援を行った。

Q鈴木委員 GIGAスクール事業は、本年度中に各自治体でICT環境を整備することになっている。制度導入が拙速すぎて、学校現場に相当の負荷もかかっている。

 道教委は、第2回定例会予算特別委員会においても、調達に当たっての様々な質問や相談が寄せられ、助言や情報を提供していると答弁している。具体的にどのような対応を行ってきたのか伺う。

A髙木課長 市町村からの相談等について。道教委では、設置した電話相談窓口や市町村とのオンライン相談会において、発注に必要な仕様書の作成方法、各種設定に関する契約方法、端末や端末に搭載される基本ソフト(OS)の特徴などについて相談があり、これに対して発注時に使用できる標準的な仕様書例、各OSごとの特徴やメリット、各OSと使用するクラウドとの関係性、複数の端末の集中管理に必要なアプリケーションの重要性、ICTを活用した授業に必要なアプリケーションの種類や特徴、GIGAスクールサポーターを有効活用した端末設定の実施など、可能な限りきめ細かな情報提供に努めてきた。

Q鈴木委員 オンライン学習の導入等に関連して、道教委は、ICT環境が不十分な家庭学習に配慮するため、授業動画DVDの送付や個別登校による学習指導に取り組むとしている。

 家庭の状況、通信経費の負担、教員数やICT支援員等外部人材の配置、光ケーブルの有無など、学校や地域ごとに事情や課題はそれぞれ異なっており、学びの環境の不均衡について、どのように取り組んでいくのか伺う。

A山本局長 ICTを活用した学習における課題などについて。道教委の調査では、オンライン学習を行う上での課題について、多数の教員が一斉にオンライン学習を行う場合における学校の通信環境、各家庭におけるインターネット通信環境や端末の保有状況、教員のICTを活用した学習指導の経験の差などが挙げられており、ICTを活用した家庭学習支援を行う際には、環境が整っていない児童生徒に対し、授業動画DVDの送付や個別登校による学習指導の実施、公共施設等におけるWi―Fiの活用などの配慮が必要と考えている。

 また、11月に開催した市町村向けのオンライン相談会では、クラウドサービスを活用した事業実施に向けた留意点、家庭学習におけるクラウドサービスの活用例、セキュリティポリシーの作成方法などの質問に対し、道立学校の取組例を参考に、具体的な手順などを説明している。

 道教委では現在、すべての学校で進められているICT環境の整備や、セキュリティ対策事業等におけるICTの効果的な活用などをサポートできるよう、支援体制の整備を進め、各学校や市町村教委の課題やニーズに的確に応えていく。

◆感染症による学校休業措置

Q鈴木委員 従前から各道立学校においては、学校運営費などを活用し、学校における衛生管理に取り組んでいると思う。道内における新型コロナウイルスの感染者数が増加し、公立学校においても感染が確認されている。

 元年度予算においても、学校休止への対応に169万9000円、放課後児童クラブ等の体制強化などに320万6000円の補正予算を充てるなどして、新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでいることを承知している。

 道内では、特に10月下旬から感染者数が再び増加している状況である。2年2月に知事は、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、全国に先んじて道内一斉休校を要請した。あらためて、その経緯について伺う。

A藤田課長 全道一斉の臨時休業に至った経緯について。2月18日の国の通知では、学校保健安全法に基づき、児童生徒等が新型コロナウイルス感染症に感染した場合、都道府県等は必要と判断した場合には、学校の臨時休業を要請することとされている。

 また、2月24日の国の専門家会議では、教育機関等は感染の急速な拡大を防ぐため、できる限りの工夫を講じることとされた。

 道内においては、2月21日以降、児童生徒や学校関係者の感染が相次いで確認され、保護者等から不安の声が寄せられていたことなどを踏まえ、2月25日の感染症危機管理対策本部会議において、知事から道教委に対し、学校の一斉臨時休業の検討が要請された。

 道教委としては、この要請を受け、集団による感染の拡大を防止し、児童生徒等の体力の保持・回復や教職員の健康管理を行うなど、学校における対策の充実を図ることが必要と判断し、1週間の期間、市町村教委に対して、小・中学校の臨時休業を要請するとともに、道立特別支援学校等の臨時休業の実施に至った。

Q鈴木委員 今後、感染が爆発的に広がった場合、小・中・高校、特別支援学校の道内一斉休校を判断する可能性はあるのか。また、あくまでも地域の感染状況に応じて、個別に学級閉鎖等の対応をこれからも繰り広げていく方針なのか、道教委の所見を伺う。

A小松局長 臨時休業に関する道教委の対応について。国の衛生管理マニュアルでは、感染が拡大した場合に講じられる緊急事態宣言は、都道府県単位で行われるものの、学校教育活動の実施の可否や在り方は、児童生徒等の生活圏におけるまん延状況によって判断することが重要であるとして、教育委員会は都道府県単位の緊急事態宣言等を前提としつつも、児童生徒や教職員の生活圏がどのようなまん延状況にあるかを把握し、児童生徒等の学びを保障する観点からどのような対応が可能か、必要に応じ、自治体の首長とも相談し、地域ごとにきめ細かく対応することが必要とされている。

 従って、道教委としては、学校にかかわる感染情報や学校の実情を十分把握しながら、休業措置の必要性や期間などについて、市町村、市町村教委と緊密な連携を図り、適切な対応が講じられるように努めていく。

Q鈴木委員 感染拡大の第1波および第2波における道の対応にかかわり、有識者会議において、休校決定のプロセスや情報伝達、休校の影響への対応など、改善を求める声が上がっている。

 唐突に休校となった感が否めず、学校現場から、休校中の学びの保障に対する事前準備ができなかったとの声が多数寄せられている。

 仮に一斉休校などせざるを得ない場合については、その影響が最小限となるよう、事前対策を進めておく必要があると考えるが、道教委の所見を伺う。

A小松局長 臨時休業への対応について。道教委としては、やむを得ず臨時休業を行わなければならない場合であっても、児童生徒の学びを止めないことが重要であると考えており、これまで、家庭学習を支援する動画や教材等のコンテンツの情報提供、臨時休業中のICTを活用した学習指導の工夫例の紹介などを行ってきた。

 市町村教委や学校においても、日ごろから指導計画等を踏まえた家庭学習用教材の準備、学校や家庭におけるICT環境の整備状況の把握など、休業時における児童生徒の学習支援に備えておく必要があると考えており、現在進められているGIGAスクール構想の進ちょく状況も踏まえながら、引き続き、市町村や学校の実情に応じた的確な指導助言を行い、子どもたちの学びが最大限に保障されるよう支援していく考えである。

P鈴木委員 厳冬期を迎える道内はさらに気温が下がり、これまでのように換気や手洗いが十分に行えなくなることも想定され、一層の感染拡大が懸念される。

 特に、休校の影響は、学校以外にも広範囲に及ぶため、影響が最小限となるよう、事前準備等をしっかり行うよう指摘する。

◆文化財保護の取組について

Q鈴木委員 アイヌ文化財保存対策費で約875万円、埋蔵文化財センター維持管理費で約1億2700万円を支出している。一方、北見市常呂町と標津町において、縄文時代早期から擦文・オホーツク文化期までの約8000年にも及ぶわが国最大規模の約5000件以上の竪穴住居群が地表面から確認できる、学術的にも非常に重要な遺跡群があり、平成19年9月には、世界遺産暫定一覧表記載資産候補にかかる提案書を道、北見市、標津町共同で文化庁に提出した経過がある。

 北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群においては、遺跡所在地となる北海道、青森県、秋田県、岩手県の4道県と12市町が共同で、文化庁に世界遺産登録に向けての提案を行い、21年1月にユネスコ世界遺産センターの暫定一覧表に正式に記載された。北海道の文化・観光振興にとって、とても素晴らしいことだと思う。

 さらに展開が広がり、全道的な機運が高まることを望むが、道内文化財の世界遺産登録動向について、どのように把握しているのか伺う。

A相川課長 道内における世界遺産登録の動向などについて。19年、文化庁から都道府県に対し、世界文化遺産暫定一覧表の記載候補の案件募集があった際、道内で候補となり得る文化財について、「北海道東部の窪みで残る大規模竪穴住居跡群」および北東北3県と共同で「北海道・北東北の縄文遺跡群」を提案した。

 その後、令和元年10月に文化庁から、これらの文化資産の取組状況について報告を求められ、元年12月に北海道東部の窪みで残る大規模竪穴住居跡群について、文化審議会から示された課題等に対し、道教委において調査に取り組んでいることなどを報告した。

Q鈴木委員 東京大学文学部考古学研究室が、ところ遺跡の森に分室を設けて常呂遺跡の調査研究に尽力している。

 道内各地でも、大学や研究機関の行う埋蔵文化財研究に関し、予算がなくて研究が進まないなどの話も聞く。国や市町村だけでなく、道も積極的に支援すべきと考えるが、道教委では、どのような支援を行っているのか伺う。

A相川課長 埋蔵文化財研究への支援について。道教委が所管する道立埋蔵文化財センターでは、本道の各地に所在する埋蔵文化財について、その保存活用のための調査研究を行っており、これに対して道教委では、文化財保護上の行政判断について指導助言している。なお、大学や研究機関が行う研究に対しては、文科省が所管する日本学術振興会の科学研究費助成事業や民間助成事業などがあり、地域のニーズに応じ、それらの効果的な活用を支援している。

Q鈴木委員 道内各地の埋蔵文化財研究の進ちょく状況等について、どのように把握しているのか伺う。

A相川課長 埋蔵文化財研究の進ちょく状況等について。道内における埋蔵文化財の調査研究を行っている道立埋蔵文化財センターにおいては、出土文化財の収蔵保管、展示公開および埋蔵文化財保護思想の普及啓発をしているほか、関連する文献の収集や学会研究会への参加、外部研究者を招いての講座の開催などを通じ、新たな文化財の出土状況やその解釈など、道内各地の研究の進ちょく状況を把握している。

Q鈴木委員 道と連名で、常呂の縄文遺跡群等についても、世界遺産として申請していた経過も含めて、これからどう位置付けられるかが全く分からない。これまでも、北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群については、様々な文化財保存対策やPR事業がみえてくるが、常呂の遺跡については、誰もふれてくれない状況である。

 縄文時代の遺跡群については、道内各地に点在してると思う。北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群の世界遺産登録の推進と併せて、ほかの遺跡群をどのように関連付けさせるのか伺いたい。

A相川課長 他の縄文遺跡群との関係について。現在、環境生活部を中心に有識者の意見も聞きながら、世界遺産登録を目指す縄文遺跡群の活用等について、登録効果を道内各地の他の遺跡にも波及させることができるよう検討を進めていると承知している。

 道教委としては、その結果を見据えつつ、学校における地域の縄文遺跡に関する教育を推進するとともに、北海道・北東北の縄文遺跡群の6つの構成資産と、他の遺跡の特徴や関係性など、多様な価値を紹介することを通じ、世界遺産登録を契機とした縄文時代の共生の考え方や営みに対する道内外の関心の高まりを全道に波及させていきたいと考えている。

Q鈴木委員 具体的な今後の対応方策が全く分からない。北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群と、例えば、道北や道東の縄文遺跡群は全く異なるものなのか。北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群とそのほかの縄文遺跡群とを、これからは切り分けて事業予算措置するのか、または、どのように展開するのかというところを、あらためて伺う。

A添田局長 道内の縄文遺跡群との関係性などについて。道北や道東などの遺跡群についても、狩猟、採集、漁労を基盤とした定住生活という縄文文化共通の特徴があるが、北海道・北東北の縄文遺跡群については、津軽海峡を挟んだ2つの地域に同一の文化圏が形成されており、顕著な普遍的価値があることから、構成資産を17遺跡に絞り、ユネスコへ推薦した。

 このため、世界遺産構成資産以外の遺跡についても等しく日本の文化財として保護され、固有の価値が発揮されるよう努めるべきものと考えており、指定遺跡および埋蔵文化財の一部として文化財保護の対象としてきた。

 今後とも、世界遺産構成資産をはじめ、道内各地の遺跡の保存と適切な活用に努めていく所存である。

Q鈴木委員 北海道全体の長い歴史を尊重した文化財振興という観点で、埋蔵文化財の保護、啓発等事業を進めるべきと思う。そのことにかかる考え方について伺う。

A小玉教育長 今後の文化財の振興について。これまで、道教委では、文化財の調査や指定はもとより、文化財の保護にかかる地域や団体などの取組への支援、文化財の魅力発信等に取り組んできた。

 2年8月には、道文化財保存活用大綱を策定し、道内文化財の保存・活用に関する基本的方針を明らかにするとともに、世界文化遺産の登録と保存・活用の推進をはじめ、道教委の主要な取組の方向性を示した。

 道教委としては、本道に所在する文化財に対する道民の理解促進に努めるとともに、引き続き、市町村や文化財の所有者、保護団体などと連携し、先人の営みを伝える文化財が今後のまちづくりや地域活性化などに生かされ、次世代に価値がしっかりと継承されていくよう取り組んでいく。

(道議会 2021-02-17付)

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