道中 働き方改革報告書 各地区調査結果⑤
(関係団体 2021-02-26付)

◆根室地区

▼働き方改革の推進状況

▽地区内の現状

 令和2年度学校における働き方改革に関する道内調査において、教職員の出退勤時刻の把握方法は、「校務支援システム等」と「特に行っていない」が共に38%で全体の大半を占めた。そのほかは「管理職による確認等」が19%、「自己申告等」が10%であった。

 教職員の多忙・負担感が大きいと思われる業務では、「調査への回答事務」が62%を占め、次いで、「職員会議・学年部会・分掌部会などの会議」(48%)、「学校運営」(43%)となった。「校内研修」(5%)への負担感は少なく、その他の「個別の打ち合わせ」(19%)や「会計関連の事務」(14%)などの業務については、いずれにも顕著な傾向はみられなかった。「その他」(14%)においては、「生徒指導(不登校対応)」「保護者対応」「特別支援生徒の指導にかかる体制強化のための空き時間の減少」が挙げられたが、本年度の特徴として、「登校時の検温業務」「部活動後の消毒作業」と新型コロナウイルス対応業務について負担感が大きいという回答もみられた。

 生徒の指導にかかる負担感においては、「部活動指導」(76%)が最も多く、「出勤時間前・退勤時刻後の業務」(43%)、「授業およびその準備」「放課後等の学習指導」(38%)となっていた。

 外部対応や校外での業務については、「保護者・PTA対応」が62%と最も高く、「校外での研修・会議・打ち合わせ」(43%)、「地域対応」(38%)、「行政・関係団体対応」(33%)となっており、管内の特徴であるへき地校の多さ、地域との結び付きの強さが現れていたり、職員の少なさから一人の職員が多くの役割を担わなければならない現状も現れたりしている。

▽これまでの取組状況

 道内調査におけるこれまで取り組んできた業務改善では、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(100%)、「研修や諸会議内容の精選と時間短縮」「学校行事(家庭訪問なども含めた)の精選・縮小」(81%)が上位を占めた。この中で成果のあった取組として挙げられたのは、「部活動の活動時間や休養日の設定」(95%)、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」(86%)と多くを占め、次いで、「超勤4項目以外の業務について勤務時間外に業務を命じた場合の勤務時間の割り振り」「研修や諸会議の内容の精選と時間短縮」(43%)となっている。

 タイムカードを含む出退勤管理システムについては、5自治体中1市2町が導入しており、今後、導入が進むにつれ、その効果に対する検証も進むことが予想される。

▼具体的な取組

▽根室地区の取組

 根室管内校長会では、根室教育局が示した「学校における働き方改革アクション・プラン」等に基づき、各市町村教委と連携したアクション・プランを制定した。とりわけ、勤務時間の管理や部活動指導時間の縮減の推進を重点項目として、その具現化に努めてきた。

▽各市町村の取組

 根室市では、市が採用した嘱託職員を日直員として市街地大規模校に配置している。主な業務は、平日においては放課後の時間帯から出勤し、校内の見回りと最終的な施錠を行う。休日は、解錠から施錠まで定期的な見回りを行ったり、電話や来客の対応をしたりする。これは特に管理職の負担軽減に大きな役割を担っている。

 標津町では、「標津町アクション・プラン」を策定し、学校閉庁日として、夏季休業中8月12~14日、冬季休業中12月29日~1月5日の年間11日間設定している。

▼成果と課題

▽成果

 ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定など、大会前や夏季スポーツ等を考慮に入れながら、各校の実態に応じた創意工夫が図られている。  校務支援システムおよび出退勤管理システムの導入によって、教職員の超過勤務時間縮減への意識改革が進んだ。

 ペーパーレス化による職員会議の効率化や各種公簿等の作成時間の短縮が進んだ。

 定時退勤日の設定と徹底によって見通しをもった取組となったほか、分掌等の業務精査・精選が進んだ。

▽今後の課題や方向性

 教員定数の見直しや部活動の社会教育(体育)への移行、フレックス制の導入など、地域・行政が一体となった改革を行い、学校、行政、地域の連携と相互理解が不可欠である。また、前述したへき地における学校の役割が大きすぎるため、地域関連行事もまた軽減しなければならないときが訪れている。

 2年度においては、新型コロナウイルス感染対応業務が増えたことから、今後も地教委との連携協力体制を強化しながら、校内の消毒作業や生徒への検温などの負担軽減のための人員確保が必要である。

 在宅勤務がよりスムーズに行うことができるよう、クラウドシステムを構築することや、生徒が自宅にいながらタブレット等を利用したリモート授業を受けることを可能にすることが急務である。

◆オホーツク地区

▼働き方改革の推進状況

▽地区内の現状

 2年度学校における働き方改革に関する道内調査において、教職員の出退勤時間の把握方法は、「校務支援システム(C4th)」による確認が78%を占めており、今後も導入する町がさらに増加するため、年度内には90%以上になると予想される。

 教職員の多忙・負担感が大きいと思われる業務では、「学校運営」(44%)、「職員会議・学年部会・分掌部会などの会議」(62%)、「個別の打ち合わせ」(49%)が高い割合となった。

 生徒の指導にかかわる業務の中では、「部活動指導」が96%と、ほとんどの学校で負担となっている実態がある。ほかには、「生徒指導全般」や「出勤時刻前・退勤時間後の業務」「学校行事」が挙がった。

 外部対応や校外での業務では、「保護者・PTA対応」が全体の82%を占めた。

▽これまでの取組状況

 道内調査におけるこれまで取り組んできた業務改善では、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(共に98%)、「勤務時間外に業務を命じた場合の勤務時間の割り振り」(89%)、「学校行事(家庭訪問なども含めた)の精選・縮小」(82%)が上位を占めた。加えて、この中で成果のあった取組として挙げられたのは、「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(84%)、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」(78%)、「学校行事(家庭訪問なども含めた)の精選・縮小」(62%)となっている。

▼具体的な取組

▽オホーツク地区の取組

 オホーツク管内校長会は、「北海道アクション・プラン」に沿った勤務時間縮減の取組や、年間9日の学校閉庁日の設定などを実践している。また、国や北海道が策定した「部活動の在り方に関するガイドライン」、各市町村の「学校にかかる部活動の方針」にのっとり、部活動の在り方や活動時間・休養日について検討し、改革に取り組んでいる。

▽各市町村の取組

 現在、オホーツク地区のほとんどの市町村で校務支援システムが導入されていて、システムを活用した出退勤管理や成績処理、個人情報管理等の効率化を図っている。

 また、市町村ごとに学校閉庁日の期間の設定や各部活動の大会出場の上限を定めることで休日の部活動による負担を軽減するなどの取組が進められている。以下、各校の実践事例を紹介する。

〈勤務時間の縮減〉

①出退勤管理システム(C4th)を活用し、教職員の勤務時間を数値化することで、個々の超過勤務時間に対する意識改革を図っている

②変形労働時間制や休憩時間割り振りを有効活用

③定時退勤日を月2回以上設定

④校長のみならず教頭の定時退勤日を設定して、管理職自ら勤務時間の縮減を実践することで、職員へ意識付けている

⑤各校で学校閉庁日を9日以上設定し、保護者や地域への理解を深めている

〈学校運営・校務に関すること〉

①C4thの有効活用(出席簿や成績など個人情報の一元化による大幅な業務削減)

②情報発信メールの活用によって、紙媒体での学級連絡網を廃止するとともに、連絡時間を大幅に削減

③学校評価など、各種アンケートの入力・集計をウェブやマークシートで行うことによって業務量を大幅に削減

④年度当初に学校のきまりや教育課程を掲載したB3判のスクールガイド(学校案内)を各家庭に配布し、掲示してもらうことで、その後の配布文書や電話での問い合わせ対応を大幅に削減

⑤新型コロナウイルス感染対応を契機として、各種行事の精選や大幅な改革を図った

⑥スクール・サポート・スタッフの配置による各種業務の軽減

〈組織や各種会議に関すること〉

①働き方改革推進委員会を発足し、業務改善案の立案・精選を検討

②校務分掌を精選し、チームで取り組む体制を整備させたことで、教員個人の業務負担を軽減

③C4thの有効活用(情報の一元化・共有ペーパーレスの促進による会議時間の大幅な削減、朝の打ち合わせの廃止)

〈部活動に関すること〉

①部活動にかかわる活動方針を策定し、休養日ならびに活動時間を徹底させるため、顧問が毎月の活動状況表に入力し、部活動担当と管理職が点検・確認

②部活動指導の負担軽減のため、すべての部活動の顧問を複数体制として、大会を除いた休業日は交替で指導

③職員会議や研修日、生徒会委員会などで5時間授業の日は部活動を中止し、定時退勤日としている

▼成果と課題

▽成果

 C4th等の活用で教職員同士の連絡・報告が簡素化された。会議資料等のペーパーレス化が進み、印刷の負担軽減や会議の時間短縮につながっている。

 個々の勤務管理、スケジュール管理が可能となった。授業の空き時間を活用した休憩時間の割り振りを実施して職員の心身の負担が軽減できている。

 出退勤管理では、職員の勤務超過時間の見える化によって、職員の勤務時間に対する意識を高揚させることができている。

 北海道アクション・プランが個々の職員に浸透したことで、日常の業務をいかに効率的にするかを意識する職場の雰囲気ができてきた。

 校舎内の生徒への掲示板活用の工夫やスクールガイドの配布等によって、家庭への配布文書を大幅に削減できた。

▽今後の課題や方向性

 自宅に仕事を持ち帰れない職員が、退勤時間を過ぎても遅くまで残って勤務するようになっている。

 勤務時間を順守することで持ち帰り業務が増えており、実質的な勤務縮減には至っていない。

 C4thのメール機能がぜい弱かつ容量が不足していることで、頻繁なメール管理が必要なことが課題になっている。

 生徒指導や不登校生徒などの日常的・突発的な指導に対応する時間や、日常の業務で発生する精神的なストレス等の解消にはつながっていない。

(連載終わり)

(関係団体 2021-02-26付)

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