オホーツク管内教頭会 教頭職・勤務実態調査 1時間以上前出勤50% 休日に校務で学校70%に
(関係団体 2021-03-09付)

 【網走発】オホーツク管内教頭会(泉次郎会長)は、会員を対象に実施した本年度の教頭職に関する調査と教頭勤務実態調査の結果と考察をまとめた。正規の出勤時間より1時間以上前に出勤する教頭の割合が前年度より20ポイント減の50%となり、出勤時間の改善が進んだことを報告している。一方で、休日に校務を行うために学校に行く割合は70%と依然高い状況も確認した。このほか、小規模小学校にみられる傾向として、学級担任としての業務に大きく時間が割かれていることが明らかになった。

 調査結果のまとめと考察の概要はつぎのとおり。

【教頭職に関する調査】

▼教頭の授業等の実態

 本年度、学級担任をしている教頭は前年度より1人増の17人である。特に4学級以下の小学校の教頭の73%が学級担任をしている。

 また、児童数が100人以下の学校では、専科教員が配置されていなく、補欠授業が多く負担を感じている教頭もおり、教頭の負担は依然厳しい現状であるといえる。

▼社会教育への関与

 社会教育への関与については、75%の教頭が「ある」と回答。「PTA活動」「学校開放事業」「青少年健全育成事業」をはじめ、関与している項目は多岐にわたり、開かれ、信頼される学校づくりを目指して社会教育に積極的に関与していることがうかがえる。

▼出勤・退勤時刻

 正規の時刻より「1時間以上」前に出勤する割合が前年度より20ポイント減の50%になるなど、出勤時間に大きな改善がみられた。退勤については、83%が「2~3時間以上」後に退勤しており、前年度と同程度の結果であったが、「3時間以上」後の退勤については35%と前年度より若干の改善がみられた。

 一方で、休日に校務を行うために学校へ行くと答えた教頭は70%と依然高く、早く退勤しようとすると休日に校務を行わなければならないという現状がうかがえる。

▼健康について

 「健康に不安を感じている」教頭が48%おり、また、疲労感が残ると感じている教頭は90%にも上る。上記勤務時間からも多くの教頭が毎日長時間の超過勤務をしているほか、休日勤務の実態が大きく影響していることが考えられる。

 上記改善だけでなく、自ら心身共にリフレッシュを心がけていくことも必要である。

▼学級経営や授業の実態把握

 教頭の教室訪問について、小・中学校ともに「いつでも自由」「連絡すれば可能」合わせて93%だった。より教職員とのコミュニケーションを深め、信頼関係を築くことが重要だと考えられる。今後も直接児童生徒の姿を肌で感じ、教職員への指導に生かしていくことが必要である。

▼住宅について

 自宅の保有率は60%と、ここ数年ほぼ変わらない。単身赴任率は52%。自宅保有者が公宅からではなく、希望者は自分の持家から通勤し、単身赴任を解消することが強く望まれる。家族との時間を大切にし、気持ちをリフレッシュすることが重要である。

【教頭勤務実態調査】

▼勤務時間

 勤務時間の平日の平均は、11時間28分となり、3時間45分の超過勤務をしていることが分かった。校種・学校規模で大きな開きはなかった。

▽学校運営にかかる業務

 一番多くの時間が割かれているのは、事務(調査回答、文書作成、会計等)の2時間51分であった。続いて、教職員への指導助言や教職員との協議に1時間1分、授業参観に45分であった。

▼児童生徒への指導にかかる業務

 一番多くの時間が割かれているのは、学級担任としての業務の21分であったが、小学校・小規模でみると1時間52分であった。校種・学校規模で大きな差があることが分かった。

▽外部対応・校外・その他

 1番多くの時間が割かれているのは、行政・関係団体対応の14分であった。

【全般】

 本年度、どの学校においても校長の指導のもと、働き方改革を意識した学校運営を行ってきた。それらが調査項目の一部ではあるが、形となってきていることが分かった。しかし、過去4年間と比較しても調査項目の多くにおいて大きく改善されたとは言い難い状況であることも分かった。教頭職の難しさは、学校運営にかかる業務だけでなく、児童生徒の指導にかかる業務、渉外業務など多岐にわたっていることに起因している。

 本年度は平日の出勤時間等に小さな前進がみられた。大きな前進につなげるためにも、校種・学校規模にかかわらず、勤務時間の多くが学校運営に傾けられるよう、また、超過勤務削減につながる学校運営となるよう、昨今の働き方改革の流れをより実効性のあるものにしていく必要がある。

 そのためには、学校運営の主軸を担う教頭として、健康管理に留意しながら、諸課題の改善に向け強い信念をもち行動することが重要である。また、効果的な取組には教頭会の仲間で情報を交流していくだけではなく、要望については、道公教を通して発信していきたい。

(関係団体 2021-03-09付)

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