組合通じ学び 交流 道高教組定期大会で尾張中央執行委員長あいさつ(関係団体 2021-03-12付)
道高教組・尾張聡中央執行委員長
道高教組第123回定期大会における、尾張聡中央執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。
この1年は、コロナと1年単位の変形労働時間制も含めた働き方改革に明け暮れた1年だったというのが、私自身の率直な印象である。
この問題を通じて考えたことは、誰しも当然、まず自分のことから発想し、それとの関連で周囲や社会の動きをみることになる。
例えば、コロナ対応でまず問題になったのは、休校中の「在宅勤務」だった。
しかし、私たちの取組は、そこから「時間講師など会計年度任用職員の休業補償」「休校中の子どもたちの学び」「少人数学級の必要性」「行事も含め成長の場をつくりだすこと」など、次々と広がった。
さらに、社会的存在としての労働組合として、「非正規労働者への補償」「大学生の困窮救え」「医療関係で働く人々への支援」「休校中の子育て休業補償の個人申請を認める」など、道労連を中心に働く者、国民全体の生活を守り、「生活補償に税金回せ」という国民的な運動に参加してきた。
それぞれの立場から「自分のこと」を語り、「他者の思い」を聞いて、「自分ごと」を広げることは、まさに労働組合の役割である。職場、社会をみる視野を広げる。政治に関心をもたざるを得ない。
ある意味、コロナはそのことに気付かせたと言えるのではないか。職場の未組織の教職員も、そのことを感じている人は少なからずいるはずだ。
コロナ禍はまだ続き、その影響は、いまだに計り知れない現在進行形の問題である。自殺の増加、特に高校生女子が前年比1・5倍にも増えているのはなぜか、森発言に象徴される日本社会のジェンダー問題との関連はあるのか、私たちの目の前の高校生にどう表れているか。こうしたことについて、「コロナ禍で見えたこと、感じたこと、考えたこと」というレポートを募ってきたが、これも大会での重要なテーマとした。
ことしは10月までに政権選択選挙である総選挙が、間違いなくある。政治が変われば社会も職場も変わる。選択するのは国民であり、私たち教職員も国民の一人である。
選挙のたびに「教職員の政治活動等の禁止等について」という通知が道教委から出されるが、「禁止等」の〝等〟には、部分的な制限が含まれるのであって、一律に基本的人権の行使が禁止されるわけではない。何よりこれからの社会の在り方について、政治的対話を旺盛に展開しよう。
もう一つの問題、全国のトップで、道立学校に1年単位の変形労働時間制がもち込まれる。条例化反対のたたかい、その後の道教委との交渉は、全国から注目を集めた。今後、職場でのたたかい方が全国の先行例となる。
私たちは高教組情報の全教職員配布版『使えない 使っちゃいけない 1年単位の変形労働時間制』で、制度のねらいと問題点、運動の到達点を知らせ、職場での労働組合としての校長交渉を中心にして、職場に導入させない取組を現在進行形で進めている。
ここまでの取組や議論を通して、「自分が使えるか、使うか」で発想しては、ねらいにハマる。職場全体として考えて「使えない、使っちゃいけない」ことを交渉で求める。決して個人の問題にわい小化させず、校長に私たち教職員の働き方に責任をもつことを求めること。
さらに、長時間過密労働の根本的解決のためには、少人数学級と教職員定数改善がどうしても必要だという合意を広げることが、この取組のキモであることが明らかになってきた。
働く者の声を代表して交渉する組合を見せる、知らせる。それが組織拡大の土台を築くという位置付けも重要である。
この取組は、道高教組の土台を再構築することでもある。
教育の問題では、中教審が「令和の日本型学校教育」を打ち出し、GIGAスクール構想やデジタル庁の創設などの政策と一体で、教育の市場化を進めようとしていることをみなければならない。
ICT自体を否定することはできないが、あくまで手段であり、目的ではない。上から降りてくる教育政策を実行することだけが目的化するのではなく、目の前の子ども・青年の姿から教育を考えることができるのは教職員組合の優位性である。議案の中では、「コロナ禍で、学校はかくあるべきと思い込んできた私たちの固定観念を少しずつ揺さぶり始めている」と問題提起しているが、その点で、私自身が最近経験したことを話す。
今、高校生の就職にあたっての「1人1社制」を見直す動きがある。そのこと自体は、民間就職業者の参入と競争原理導入をねらうものであり、私たちは反対しているが、先日、道労連の春闘要請で中小企業家同友会を訪問した際、そのことも話題になった。
同友会の方から「校則問題と一緒で、当事者である高校生の声を聞くべきではないか」という問題提起を受けた。
そう簡単なことではないが、これからの私たち自身の重要な論点と受け止めた。
最後に、組織上の問題として、支部・専門部・分会の体制に苦労されていることと思う。
多少、踏み込んで言えば、形式にとらわれず、集まり交流する場をつくること。誰かに「おまかせ」でなく、それぞれができる形で組合運動を支える気風をつくろう。
その姿を見せて、そこに「一緒にやろう」と呼びかけ、一人でも加入すれば、全道・全国を励ますことになる。
励ましとなる報告もある。総合共済の現勢回復をギリギリまで呼びかけてきたが、全道の組合員の大奮闘で、一昨日達成することができた。全体で喜び合い、この取組を確信にしたいと思う。
組合活動を通じて学びと交流・議論を活発に行い、「自分ごと」を広げ、共にたたかいに参加することで成長する道高教組をつくろう。
(関係団体 2021-03-12付)
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