子に寄り添った学びを 川村執行委員長あいさつ
(関係団体 2021-03-19付)

 道教組の第34回定期大会における川村安浩執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。

 全道、全国の一斉休校。あれから1年が経つ。去年の今ごろ、学校現場は大混乱だった。いまだ終息の道筋が見通せないコロナ禍は、社会にも学校にも大きな影響を与えている。

 私たちの生活様式も、学校の教育活動も、多くの制約のもとで変わらざるを得なかった。その変化は、我慢でもあり、新たな創造でもある。それは、コロナ後の社会の姿にもつながっていくのだろう。コロナ後の社会に、コロナ対応を経験した私たちが何をどう残すのか、これから問われていく課題であろう。

 そのような中で、注目しておきたい課題の一つが「個別最適な学び」である。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止が大前提の教育活動にあって、オンライン授業がクローズアップされている。これこそ未来の授業の姿であるかのような扱いもみられる。個別最適な学びの構築へ向けての体制づくり、基盤づくりがコロナ対応と相まって加速度的に進行している。

 この状況に強い危機感を感じている。学習指導要領の中身を効率よく学ばせるための個別最適化とみえるからである。「学ぶための環境や機材、方法は提供した。学ぶ内容も決めてある。さあ、自分で学ぶんだ」と、学びの自己責任を言っているように感じる。

 一人ひとりに寄り添った学びは、私たちも心掛けてきた。では、個別最適な学びは子どもたちに寄り添うものとなるだろうか。はなはだ疑問である。

 効率重視の「発信は一斉、受信は個別」では寄り添えない。子どもに寄り添いながら“個別最適”を実現していくには、ICTではなく少人数学級ではないだろうか。

 私たちが大切にするべきは、子ども理解をベースにした一人ひとりを大切にする学びである。そのためには、文部科学省が進めようとしている個別最適化ではなく、少人数学級の拡充こそが重要である。

 コロナ禍は、学校現場に大きく強烈な影響を与えているが、私たち教職員組合運動にも多大な影響を及ぼした。その中にあっても、私たちは、つながることを大切にしてきた。各種会議や集会、学習会などをオンライン開催としてきた。

 日々、子どもたちと接する中で、顔色や声色、しぐさや表情、まなざしや雰囲気を感じ取りながら対応しているわけだから、オンラインのもどかしさ、物足りなさ、不安などは、他の職種の人たちより感じるのだろう。組合活動の中で集うことの大切さが実感された1年だったと思う。

 学校として、子どもたちの命と健康を守ることが最優先されるのは当然である。それと同じように、子どもの豊かな発達を保障することも重要である。

 「コロナだから仕方がない」と我慢や制限を強いるだけではなく、その中でも何かできないかと追及することこそが学校の役割なのではないだろうか。そういう学校で過ごした子どもたちは、この1年間が他に代えられない大きな財産になって成長していくように思える。

 いつもと違う、普通ではない状況はまだ続きそうである。普遍的なものを見出していくことも大切なことではないかと思う。

(関係団体 2021-03-19付)

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