北教組 第125回中央委員会 超勤・多忙化解消へ団結
(関係団体 2021-03-15付)

北教組第125回中央委員会・全体
自主編成運動を推進する方針を決定

 北教組(木下真一中央執行委員長)は8日、札幌市内の道教育会館で第125回中央委員会を開いた。開会あいさつで木下中央執行委員長は、超勤・多忙化解消や1年単位の変形労働時間制の一方的導入の阻止、組織の強化・拡大などを図るとし、一致団結の重要性を示した。議事では「当面闘争推進ならびにスローガンに関する件」について議論し、たたかいの具体的な進め方を決定したほか、各級段階での自主編成運動を重ね、第71次教研集会に結集するなどとする特別決議を採択した。

 開会に当たり木下中央執行委員長は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う差別の容認や教育格差の拡大を懸念。

 7月の第132回定期大会に向け、学校改革・自主編成推進委員会が発行した『“自分らしく”“よりよく生きる”学びのための18の提言』をもとに、自主編成運動、超勤・多忙化解消、1年単位の変形労働時間制の一方的導入を許さない取組の推進、組織の強化・拡大を図る考えを示した。

 議事に移り、「当面闘争推進ならびにスローガンに関する件」について議論し、当面するたたかいの具体的な進め方を決定。持ち授業時間数の上限設定、教職員定数改善などを求める教職員の長時間労働是正キャンペーンの展開などを盛り込んだ。

 また、組織強化・拡大、超勤多忙化の解消などについて討論した。

 最後に、各級段階での自主編成運動を積み重ねて第71次教研集会に結集すること、自主編成運動と一体的に組織強化・拡大に取り組むなどとする「自主編成運動と一体的に組織強化・拡大を進める特別決議」を採択した。

◆運動を焦点化・効率化 木下中央執行委員長あいさつ

 北教組第125回中央委員会における木下中央執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。

 感染症が終息しない中で、自粛要請が一人歩きし、同調圧力、さらには自粛警察といった偏見が幅を利かせる社会の在り方が問題になっていると感じている。

 北教組が実施した教育課程実態調査においても、3割近い学校で、新型コロナウイルスの影響によって保健室を利用する子どもが増えたとの報告があり、不安や学校生活の大きな変化・制約によって子どもたちが大きなストレスを抱え、落ち着きがなくなったり、不安を訴えたりするようになっている状況が伺える。

 過剰に同調を強いられることによるストレスは、ネットの世界のみならず学校においても、他者へのいじめや攻撃となって歪んだ形で発散されることが心配される。

 我々の調査で、12月末現在、58%の学校が休校による授業の進度の遅れを取り戻し、さらに、例年より進んでいる学校が14%になっているにもかかわらず、教育課程の進ちょく状況のみに固執し、子どもたちの負担や興味・関心、現状には目を向けず、授業時数確保に躍起となっている実態に差別や格差を容認する姿と重なるものがある。

 さらに、コロナ禍において、教育をめぐる様々な問題が顕在化している中、家庭でのIT環境を考慮せずにオンライン授業の推奨や予算を拡充し、一層、教育格差を拡大させようとしていることは極めて問題である。

 このような中、1月に発行された『18の提言』は、社会秩序や経済発展など国・企業の都合にかなう非科学的な教育制度・内容を優先する施策を批判し、学習指導要領体制を乗り越え、誰もが排除されない社会の在り方を再考し、自分らしく、よりよく生きるためを原点として、教育実践を通して民主的な教育に立ち返るため、編集・発行されたものとなっている。

 私たちは、提言を積極的に活用し、学習・実践・総括を通して、いみじくも同時期に出された中央教育審議会答申「子どものあるべき姿」「個別最適な学び」によって、子どもたちの将来が自己責任論に転嫁されないよう、「学校とは何か」についてあらためて問い直し、若い教職員と共に自主編成運動の重要性の理解を深め、超勤多忙化解消、1年単位の変形労働時間制については一方的導入を許さない取組において未組織者に寄り添い、組織強化拡大を進めていくことが重要である。

 各級段階の運動にも、依然として多くの制約が生じることとなっており、例年どおりの運動の検証は不十分となっている。一方で、止めることのできない、動き続けなければならない運動も山積している。

 第125回中央委員会は、7月開催予定の第132回定期大会につながる極めて重要な位置付けとなるものである。先ほど申し上げた自主編成運動、超勤多忙化解消、1年単位の変形労働時間制の一方的導入を許さない取組、組織強化拡大などとともに、2022年4月からの本部負担支部専従、中央執行委員の削減など、直面する重要課題に対して運動の焦点化・効率化を前提に、これまでの北教組運動を再構築するための分岐点をどう迎えるかが、中央委員会の課題であり、中央委員・役員、本部執行部が議論を深め、一致団結することが極めて重要となる。

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北教組中央執行委員長・木下真一
北教組・木下真一中央執行委員長

(関係団体 2021-03-15付)

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