一枚岩で課題に対応 道小理事研修会 神谷会長あいさつ
(関係団体 2021-02-25付)

 道小学校長会が22日にホテルライフォート札幌で開いた第5回理事研修会であいさつに立った神谷敦会長は、各課題に向け組織が一枚岩で対応していく必要性を指摘。また、中央教育審議会答申「令和の日本型学校教育」の概要を説明し、「校長自らが、答申をしっかりと読み解き、教職員に説明していくことが重要」と呼びかけた。あいさつの概要はつぎのとおり。

 本年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、子どもたちは新しい生活様式など制約のある中での教育活動を余儀なくされた。

 全道各地で子どもたちの感染者は出たが、適切な対応によって小学校での大規模なクラスターが発生した事案は現在も報告されていない。これもひとえに、全道の校長先生が各学校でリーダー・シップを発揮し、職員、子どもたちに必要な指導を継続していただいたからであり、心より全道の校長先生にお礼を申し上げる。

 私たち校長会においても、新しい学習指導要領が全面実施という特別な年でもあったが、例年とは大きく異なる1年となった。

 5月の総会・研修会の書面開催から始まり、文教施策・各課懇談会や各地区での地教研の変更や中止、また、5回の理事研修会も会同できたのは8月の3回目のみという状況だった。

 そして、本会として最も大きな意味をもつ教育研究オホーツク・北見大会は、会同が難しいとの判断から初めての誌上交流として開催したが、全道各地の校長先生の協力によって、研修の歩みを止めることなく進むことができた。北見市での開催はかなわなかったが、時間をかけて完璧な準備をしていただいたオホーツク管内校長会の皆さんに、あらためて感謝を申し上げる。

 次年度は、石狩・千歳大会が開催される。現在、石狩管内小中学校長会の皆さんが、大会に向けた準備を精力的に進めており、全道の校長の力を結集して、本年度の思いも合わせて大会を盛り上げていただきたい。

 私たち学校現場では、このコロナ下において、直面する課題がたくさんあった。学習指導要領実施の柱である「主体的・対話的で深い学び」の授業改善、働き方改革の推進、GIGAスクール構想に向けたICTの活用、中央教育審議会答申の理解、高学年の教科担任制の取組、教員不足といった大きな課題に、皆さんと情報を交流したり、取組を進めたりしてきた。次年度も、こうした課題への対応に向けて道小学校長会が一枚岩となって進んでいくことが大切である。

 全国連合小学校長会理事会の喜名朝博会長からは、本年度のコロナ禍にかかわらず、各学校の校長先生たちが様々な困難を乗り越えて、学校運営にまい進してきたこと、そして、校長としての学びを止めない姿勢に対して敬意を表することが述べられている。本年度、北海道が取り組んだ教育研教育研究大会の誌上交流の実施に対し全連小からは高い評価を得ている。

 さらに、全連小が要望してきた35人学級が一歩進んだことは、皆さんのこれこれまでの協力によるものであると感謝の言葉も寄せられている。ここで止まることなく、今後も成果を検証し、さらに30人学級の実現などに向けて、要望を進めていくとのことである。

 教員の質の担保と人材確保については、北海道だけではなく日本全体の問題であり、採用試験の倍率の低下と若手教員の質の低下が危惧されている。この状況に対して、ようやく文部科学省も検討本部を設置して本腰を入れて動き出しているとのことである。

 今後、校長会として、教員の養成・採用・研修の在り方、免許更新制も含めた免許法の在り方、処遇について提言していく考えを示している。

▼中教審答申「令和の日本型学校教育」

 令和3年度は「令和の日本型学校教育の構築」に向けた新しい学校づくり元年であり、その意味からも校長自らが、答申をしっかりと読み解き、教職員に説明していくことが重要となる。

 答申にあるように令和の日本型学校教育とは、「2020年代を通じて実現を目指す学校教育」とし、それは、「すべての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学び」とを一体的に充実することを目指す姿と説明されている。この学びに向けては、「ICTの活用と少人数によるきめ細かな指導体制の整備」が両輪となって進んでいくことと書かれている。

 今回の答申は、これからの新しい学校づくりの指針となることがまとめられており、理念実現の方策においては、①学習指導要領の確実な実施②1人1台端末における授業改善③学校における働き方改革―の3点を進めることが重要となる。

 また、新しい学校づくりには、さらに、教育観の転換も求められている。答申の中にあるように、今までの日本型学校教育のよさは認めつつも、逆にそれによって子どもたちに育成すべき能力が失われてきたことを踏まえ・同調圧力からの解放、正解主義からの脱却、2項対立からの離脱といった点にも配慮し、新しい学校づくりを目指す必要がある。

 答申で「ニューノーマル」という言葉が使われている。ポストコロナの世界において、学校のニューノーマルの構築を進めるためには、学習指導要領の確実な実施、学校における働き方改革、GIGAスクール構想への具体的な取組が求められることとなる。

 詳しい内容に関しては、中教審答申の「令和の日本型学校教育の構築に向けた今後の方向性」「令和の日本型学校教育の構築に向けたICTの活用に関する基本的な考え方」「9年間を見通した新時代の義務教育の在り方について」に関係している。ぜひ読んでほしい。

▼学び続ける教師としての校長

 管理職選考の低倍率化の延長にある校長選考の意味することは、すなわち、校長の質の低下という心配な状況が生まれてきていることを表している。

 校長として、将来の校長候補である副校長・教頭をいかにして育成するか、そして、校長になってからの自分自身を磨く努力をいかに続けるか。これができなければ、その職場には教育の負の連鎖しか生まれないという強いメッセージであることを理解すると同時に、あらためて“校長はゴールではない”ことを再確認する必要がある。

 コロナ禍によって、校長同士が集まって情報交流や共通理解を図る機会が減ってしまい、共通して取り組むべき内容に関して、足並みがそろわないケースも報告されている。組織的な動きや研修機能の強化といった校長会の在り方を、各地区校長会で見直していただきたい。

(関係団体 2021-02-25付)

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