道中 働き方改革報告書
(関係団体 2021-02-25付)

◆十勝地区

▼働き方改革の推進状況

▽地区内の現状

 令和2年度の道内調査における教職員の出退勤時刻の把握方法は、「校務支援システム等」が38%、「その他」でタイムカードや町村教委が導入した勤務管理システム等を含めると約80%となり、これまでの「管理職の確認等」から大幅な変化がみられた。

 教職員の多忙・負担感に関する実態を分析。まず、学校運営にかかわる業務では、「学校運営」「各種会議」「個別の打ち合わせ」が約40%で、ほぼ同じ割合で上位を占めた。生徒の指導にかかわる業務では、「部活動指導」が85%、外部対応や校外での業務では、「保護者・PTA対応」が59%を占めた。

▽これまでの取組状況

 道内調査におけるこれまで取り組んできた業務改善では、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」(97%)と「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(94%)が上位を占めた。

 加えて、この両項目は、成果のあった取組(いずれも91%)として挙げられた。

▼具体的な取組

▽十勝地区の取組

 十勝小・中校長会は、平成30年度から北海道アクション・プランに沿い、学校運営体制の充実、負担軽減、本来業務に専念できる環境の整備、町教委の適切なサポートの観点から落ちることなく進めるよう必要な情報提供に努めている。具体的には、各町村のアクション・プランの設定、部活動休養日の設定、変形労働時間制の活用、学校閉庁日の実施の進ちょく状況等を把握し、情報を適時提供している。

 今後は、町村や学校の違いによる不利益や不公平感を生まないために、地域社会に開かれた教育課程の実施や、カリキュラム・マネジメントの実際等についての交流などを行う。

▽各町村の取組

 幕別町では、30年9月に学校における働き方改革「幕別町アクション・プラン」を策定し、以下の指標を示して2年6月に改正した。

 2年度末に目指す指標として、

①部活動休養日を完全に実施している部活動の割合を100%とする

②変形労働時間制を活用している学校の割合を100%とする

③定時退勤日を月2回以上実施している学校の割合を100%とする

④学校閉庁日を年9日以上実施している学校の割合を100%とする

 ―を設定。

 それらの実現のため、

Action1=本来担うべき業務に専念できる環境の整備

Action2=部活動指導にかかわる負担の軽減

Action3=勤務時間を意識した働き方の推進と学校運営体制の充実

Action4=教育委員会による学校サポート体制の充実

 ―に取り組んでいる。

▼成果と課題

▽成果

 会議の開催や打ち合わせのもち方については、各校の実態に応じた工夫が図られている。

 ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定によって、教職員の意識改革が進んだ。

▽今後の課題や方向性

 校務支援システムや出退勤管理システムについては、導入や活用に差異がみられるため、今後も町村教委との連携協力体制を強化していく必要がある。

 新型コロナウイルス感染症対応による校務は増加しており、配置決定となったスクール・サポート・スタッフおよび学習指導員の人員確保と有効活用を早急に図る必要がある。

◆帯広市地区

▼働き方改革の推進状況

▽地区内の現状

 2年度学校における働き方改革に関する道内調査において、教職員の出退勤時刻の把握方法は、市が2年8月から全小・中学校でICカードによる出退勤システムを導入したことによって、全校が「校務支援システム等」と回答。教職員の多忙・負担感が大きいと思われる業務では、学校運営にかかわる業務の「個別の打ち合わせ」(64%)、「職員会議・学年部会・分掌部会などの会議」(57%)と高めの数値が出ている。生徒の指導にかかわる業務の中では、「部活動指導」が86%を占め、「生徒指導」が79%であった。外部対応や校外での業務では、「保護者・PTA対応」が93%で、ほぼすべての学校が回答しており、「部活動指導」「生徒指導」や「保護者対応」に各中学校が多忙感を感じている現状がある。

▽これまでの取組状況

 道内調査におけるこれまで取り組んできた業務改善では、全校が「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」と回答している。そのほか、「ガイドラインに沿った部活動などの活動時間や休養日の設定」(93%)、「学校行事(家庭訪問なども含めた)の精選・縮小」(86%)が上位を占めた。加えて、この中で成果のあった取組として挙げられているのが、「長期休業期間内における一定期間の学校閉庁日の設定」(93%)、「ガイドラインに沿った部活動などの活動時間や休養日の設定」(86%)となっており、各学校で取り組んだ業務改善において一定の成果がみられる結果となった。

 また、学校における働き方改革を進めるために必要なことは、「教職員の定数見直しや給与待遇改善、予算拡充」(93%)となった。

▼具体的な取組

▽帯広市地区の取組

 帯広市校長会では、30年度から働き方改革推進プロジェクトを立ち上げ、市教委へ予算化を要望することなどをまとめ、市教委の担当者と話し合いを進めてきた。

 主な要望事項は、①校務支援システムの導入②学校施設の管理委託(除雪、学校開放、時間外の校舎内警備など)③留守番電話等多機能電話の設置④タイムカードの導入(勤務時間の管理の徹底)⑤支援員の増員、部活動サポートスタッフやスクール・サポート・スタッフ等の独自配備―などであるが、本年度に入って実際に現実化した事例もある。

 帯広市は、30年5月に「帯広市立学校における教職員の働き方改革推進プラン」を策定し、長期休業中の学校閉庁日の設定をはじめ、様々な取組を推進してきた。

 また、元年9月に「帯広市立学校にかかわる部活動の方針」を策定し、年度内にすべての中学校は学校ごとの部活動基本方針を策定した。

▼成果と課題

▽成果

 本年度からICカードによる出退勤システムが導入され、勤務時間の把握が容易になった。また、学校開放の外部委託が進み、長年、教頭の負担となっていた学校開放主事としての負担が軽減されることになった。さらに、本年度については、働き方改革推進プロジェクトから学校図書館司書の配備を要望したところ、次年度から予算化される見込みもでてきた。

▽今後の課題や方向性

 市の課題は、「生徒指導」「保護者対応」にかかわる部分が多く、解決には教員定数の見直しなどの人的措置が必用になる。そのため、今後も行政との連携強化が大切である。

◆釧路地区

▼働き方改革の推進状況

▽地区内の現状

 2年度学校における働き方改革に関する道内調査において、教職員の出退勤時刻の把握方法は、「校務支援システム等」が64%、「その他(ICカード、タイムカード等)」が36%となっており、釧路管内ではすべての学校において何らかの管理システムを用いていることが分かった。

 教職員の多忙・負担感が大きいと思われる業務について、学校の運営にかかわる業務では、「学校運営」「職員会議・学年部会・分掌部会などの会議」「個別の打ち合わせ」「調査への回答事務」などがいずれも30~40%で顕著な傾向はみられなかった。また、「校内研修」はゼロだった。

 生徒の指導にかかわる業務では、「部活動指導」が77%を占めた。管内中学校22校中17校が回答する結果となり、生徒数の多少にかかわらず、負担感が大きいことがうかがえる結果となった。

 外部対応や校外での業務では、「保護者・PTA対応」が全体の68%を占めた。

▽これまでの取組状況

 道内調査におけるこれまで取り組んできた業務改善では、「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(100%)、「長期休業期間内における一定期間の学校閉庁日の設定」(95%)、「研修や諸会議の内容の精選と時間短縮」(91%)、「学校行事(家庭訪問なども含めた)の精選・縮小」(86%)が上位を占めた。

 加えて、この中で成果のあった取組として挙げられたのは、「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(91%)、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」(82%)となっている。

▼具体的な取組

▽釧路地区の取組

 釧路校長会は理事会において、町村ごとの情報交流を行い、各町村の働き方改革の取組方法について情報共有している。また、最新の施策や道教委や地教委のスタンスを収集し、町村校長会への情報提供の機会を設定している。

▽各町村の取組

 各町村では、校長会議において各校の実態を交流している。特に、時間外勤務者が多い学校や一部の教職員に業務が集中している実態等を交流している。

 また、時間外勤務削減のための方策について、特に効果の高い実例を交流し、各校で実践後、交流を行うなど、効果の高い方策の“拡がり”を期待している。

▼成果と課題

▽成果

 「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」「長期休業期間内における一定期間の学校閉庁日の設定」など、各町村、各学校の実態に応じた工夫が図られている。

 研修や諸会議の内容の精選と時間短縮においては、校務支援システムの活用や会議資料のペーパーレス化などによって、負担を少なくしていることが分かる。

▽今後の課題や方向性

 教員定数の見直し、部活動指導員の配置・拡充など、行政の支援を要する取組が必要と感じている割合は多い。特に、部活動については、多くの学校が町村の枠組みを超えた合同チームにせざるを得ない状況の中、中体連組織の見直しを求める声も上がっている。

 釧路管内では7町村中3町が校務支援システムを導入しているが、利用することによって、業務の効率化は図られるものの、本格運用時における負担感はかなり大きい。専門の担当者の配置が望まれる。

◆釧路市地区

▼働き方改革の推進状況

▽地区内の現状

 2年度学校における働き方改革に関する道内調査(釧路地区)において、教職員の出退勤時間の把握方法では、市教委提供の「ICカードによる出退勤管理システム(パソコン管理)」を用いて全小・中学校で実施していることが分かった。教職員の多忙・負担感が大きいとされる業務では、「職員会議・学年部会・分掌部会などの会議」と「調査への回答事務」が共に67%となっている。特に、本年度は感染症対策による業務の多忙が挙げられる。  生徒の指導にかかわる業務では、「部活動指導」が87%を占めた。平日ならびに土日・祝日の部活動指導での負担が大きい。つぎに、「出勤時刻前・退勤時刻後の業務」が60%、「生徒指導」が47%であることを考慮すると、部活動指導の87%は高い数値を占めている。ここでは、生徒の悩みや不安に寄り添うための相談体制にかかわる人員や時間の少なさが指摘されている。

 外部対応や校外での業務については、「保護者・PTA対応」が93%と高い数値を示している。学校への様々な要望や問題行動対応については、保護者の考えが多様であり、その対応については、特に担任教諭、学年主任や生徒指導主事にとって大きな負担となっている。

 釧路市地区では、以前のような非行行為への指導は極端に減少したものの、SNS上の問題や不登校生徒の増加が課題である。

▽これまでの取組状況

 道内調査における業務改善のための工夫と条件整備において、これまで取り組んできた業務改善では、「ガイドラインに沿った部活動の活動時間」や「休養日の設定」が100%であった。

 次いで、「長期休業期間内における一定期間の学校閉庁日の設定」と「研修・会議の内容の精選や時間短縮」が93%であった。

 この中で成果のあった取組としては、「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」と「学校行事(家庭訪問などを含めた)の精選・縮小」が挙げられた。

 特に、4月からのコロナウイルス感染症拡大防止措置として臨時休業や分散登校に伴い、家庭訪問や参観日、PTA総会等の実施の仕方を工夫した結果が現れたものと考える。

 また、働き方改革を進める上で必要な事項では、「部活動指導員やスクール・サポート・スタッフ、スクールロイヤーなどの配置」が100%であった。「教職員定数の見直しや給与待遇改善、予算拡充」が87%と続いた。

▼具体的な取組

▽釧路市地区の取組

 釧路市中学校長会では、道教委の学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」を基本として、市教委から示された「釧路市立学校における働き方改革アクション・プラン」に基づいた取組を推進している。

①学校閉庁日の設定

 市教委の指導のもと、各校で、夏季休業中は8月12~14日の3日間、冬季休業中は12月28日~1月3日の7日間(コロナの影響で本年度は29日からとなり、実質6日間)と共通理解を図り設定した。年間9日以上実施の学校は100%。

②定時退勤日の設定

 各校で月行事を検討する際、月2回以上の定時退勤日を設定し実施している。

③放課後学習での外部スタッフの活用

 退職教員等外部人材活用事業として、放課後学習を指導・サポートしている。また、道教育大学釧路校の学生を放課後学習サポートを希望する学校で活用。大学近隣校では釧路公立大学学生による放課後学習サポートも実施している。

▼成果と課題

▽成果

 ガイドラインに沿った変形労働時間制や部活動の活動時間や休養日の設定など、各校の実態に応じて創意工夫が図られている。

 教員に意識してほしい業務の効率化の重要性が浸透し、個々に「変えていこう」とする気構えが感じられるようになってきた。

 また、管理職が意識すべき効果についても職場内において根付いてきている。

▽今後の課題や方向性

 校長は、教職員一人ひとりが働き方改革の必要性を理解する場をつくり、改革意識を醸成することで教職員の理解と賛同で実践していくことが肝要である。

 スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクール・サポート・スタッフ、部活動指導員等の拡充、教職員定数の見直しなどについて市教委と連携し、協力体制の強化を図る必要がある。

(関係団体 2021-02-25付)

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