道中 働き方改革報告書 各地区調査結果②(関係団体 2021-02-22付)
◆檜山地区
▼働き方改革の推進状況
▽地区内の現状
令和2年度学校における働き方改革に関する道内調査における教職員の出退勤時刻の把握方法は、管内すべての中学校が「校務支援システム」か「全職員に付与しているICカードによる出退勤管理システム」で行われ、記録として残る状態で管理されている。
教職員の多忙・負担感が大きいと思われる業務では、学校運営にかかわる業務の「職員会議・学年部会・分掌部会などの会議」「学校運営」「会計関連の事務」などの業務について、60~70%の学校が負担を感じている。
生徒の指導にかかわる業務の中では、「部活動指導」「生徒指導」が80%を占めた。一方で、成績処理への負担感は2割と少ない。これは校務支援システムを導入したことによって、教職員の負担が軽減されたためと考えられる。
外部対応や校外での業務においては、「保護者・PTA対応」が全体の80%を占めたが、過去の調査等において数値が高かった「地域対応」は20%にとどまった。
▽これまでの取組状況
道内調査におけるこれまで取り組んできた業務改善では、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」「研修や諸会議の内容の精選と時間短縮」「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(以上100%)、「学校行事(家庭訪問なども含めた)の精選・縮小」(90%)が上位を占めた。
この中で、成果のあった取組として挙げられたのは「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(以上90%)となっている。
▼具体的な取組
▽檜山地区の取組
檜山校長会では、檜山教育局が示した「オール檜山で取り組む17の重点」に基づき、新しい時代の学校づくりに向け業務の明確化・適正化や組織運営体制の見直しと教職員の意識改革による働き方改革の推進を重点項目として、具現化に努めてきた。「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」など、管内7町全10校の中学校でそれぞれの地域的特徴を勘案した創意工夫が図られている。
▽各町の取組
管内6町では、各町教委指導のもと共通理解を図り、夏季休業期間中の学校閉庁日を8月12~14日の期間で設定した。
さらに、A町では職員の勤務状況を出退勤管理システムで管理し、まとめたものを各校に情報提供し、勤務状況の改善を促す取組を行ってきた。各学校は提供された情報をもとに校内研修等を実施した結果、勤務時間の縮減につながった。
▼成果と課題
▽成果
校務支援システムを導入している学校においては、①諸帳簿に関する入力等の効率化が図られている②会議等でのペーパーレス化が進んでいる③近隣の小学校との情報共有がスムーズとなり、効率化が図られる―というメリットがある。
データ等をもとに働き方の改善を明確に伝えることによって、職員の意識改革が進んだ。
▽今後の課題や方向性
教員定数の見直しやスクール・サポート・スタッフの待遇改善など、行政の支援を必要とする取組は少なくない。今後も、教育委員会との連携協力体制を強化していく必要がある。
◆渡島地区
▼働き方改革の推進状況
▽地区内の現状
管内調査における教職員の出退勤時刻の把握方法については、指紋認証やタイムカード、ICカードリーダー等の「校務支援システム」「その他」の活用が75%を占めた。
一方、「管理職による確認」「自己申告等」がそれぞれ10%、「報告点検等」が5%であった。
教職員の多忙・負担感が大きいと思われる業務では、「校内研修」が10%と低い数値であったが、その他の項目は35~45%で推移しており、顕著な傾向はみられなかった。
生徒の指導にかかわる業務の中では、「部活動指導」が70%を占め、「生徒指導」55%、「学校行事」50%、「出勤時刻前・後の業務」45%であった。
外部対応や校外での業務では、「保護者・PTA対応」が75%を占め、その他の項目はいずれも30~45%と顕著な傾向はみられなかった。
▽これまでの取組状況
管内調査におけるこれまで取り組んできた業務改善では、「学校閉庁日の設定」「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休日の設定」がいずれも100%であった。「学校行事(家庭訪問なども含めた)の精選・縮小」95%、「勤務時間外に業務を命令した場合の勤務時間の割り振り」90%、「研修や諸会議の内容の精選と時間短縮」75%となっている。
さらに、この中で成果のあった取組として挙げられたのは「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休日の設定」95%、「学校閉庁日の設定」90%、「学校行事(家庭訪問なども含めた)の精選・縮小」85%、「勤務時間外に業務を命令した場合の勤務時間の割り振り」75%となっている。
一方、「部活指導員やスクール・サポート・スタッフの配置」については活用例が5%にとどまり、浸透していないことが分かる。
学校における働き方改革を進めるために必要な事項については、「教職員定数の見直しや給与待遇改善、予算拡充」が85%、「指導方法工夫改善や初任者研修制度等に対応した教員の加配措置」「部活動指導員やスクール・サポート・スタッフ、スクールロイヤーなどの配置」がそれぞれ70%、さらに、「特別支援教育担当スタッフの拡充」「学習支援サポートなどのスタッフの拡充」が60%であった。
管内における校務支援システムの導入は45%となっている。そのメリットとして、「ペーパーレスによる会議や打ち合わせの効率化」「通知表・指導要録・個人調査書等の書類作成の効率化」「個人情報の保護、流出防止効果」「自宅への持ち帰りが制限される分、学校で効率的に業務をこなす工夫がみられる」ことなどが挙げられている。
デメリットとしては、「データの持ち出しができないため、在校時間が延びる傾向が出てきている」ことが指摘されている。
▼具体的な取組
▽渡島地区の取組
渡島小中学校長会では、総会時に採択される宣言文の中で、社会に開かれた教育課程の編成とカリキュラム・マネジメント実現のために学校における働き方改革を推進することを決議した。
経営部では、年4回発行の『経営部ニュース』で情報発信し、中でも平成30年10月号で「働き方改革の方向性や今後の動向について」、元年7月号で「答申の解説」を特集した。
また、同年7月の理事研修会では、渡島教育局の毛利主幹を招へいし、講演「働き方改革を切り口とした学校構想について」を実施するなど、実効性ある働き方改革の推進について情報発信を継続している。
これを受け、各市町校長会では教育委員会と連携しながら各市町独自のアクション・プランや部活動の在り方に関する方針策定への参画・実行に取り組んでいる。
▽A町における取組
・町アクション・プラン、部活動の在り方に関する方針策定への参画
・学校閉庁日の設定と連絡先の一本化
・意見交流会の実施(臨時校長会として)
▽B町における取組
・校務支援システム運用にかかる加配を受け、出退勤管理・通知表・指導要録のデータ化推進等による業務効率化
・部活動休養日、定時退勤日の徹底
・ICT活用による業務効率化の推進
▽C町における取組
・管理用パソコンを用いた出退勤記録の管理
・職員向け研修会の実施
・学校閉庁日の設定
▽D町における取組
・部活動休養日の改革
・変形労働時間制の活用促進
・定時退勤日の定期的実施
・学校閉庁日の設定と実施
・保護者、地域住民への理解促進
・コミュニティ・スクールによる学校支援
▽E市における支援
・校務支援システム(C4th)の導入
・出退勤タイムレコーダーの導入
・定時退勤日の徹底
・市教委、校長会の合議によるそろえた取組
・ICT環境の整備、クラウド活用による教材の共有化推進
▽F町における取組
・各校における行事精選と効率的な学校運営の推進および実態交流の実施
・管理職対象研修会の開催
・タイムカード、校務支援システムの活用
・学校閉庁日の設定
・保護者、地域への周知
▽G町における取組
・校務支援システムの導入
・留守番電話の導入
・学校閉庁日の設定
▽H町における取組
・町アクション・プラン、および部活動の在り方に関する方針策定への参画
・学校閉庁日の設定と連絡先の一本化
・意見交流会(管理職・町教委)の実施
▽I町における取組
・町内全職員対象の研修会を実施
・町の働き方改革取組プラン策定への参画
・出退勤管理システムの導入
▽J町における取組
・町アクション・プラン策定への参画
・会議日は定時退勤日、部活動休養日の設定、学校閉庁日の設定と連絡先の一本化
・意見交流会(校長会)の実施
▼成果と課題
▽成果
在校等時間や超過勤務時間を数値化して見える化したことで、職員個々の勤務時間や業務内容に関する意識が高まった。
管理職は、状況把握が容易になり個々の職員への支援や指導がしやすくなった。
効率的な業務推進への意識が高まり、行事・業務の精選・スリム化につながった。
学校閉庁日の実施によって、職員の余暇利用の拡大につながった。
保護者、地域住民の働き方改革への理解が進んだ。
▽今後の課題や方向性
・業務精選と効率化の洗い出し
・部活動指導との兼ね合い(中学校)↓複数指導体制、指導の偏りの是正
・超過勤務が習慣化している職員の意識改革
勤務時間の見える化が進み、効率的業務推進にかかる意識が高まっているが、業務のスリム化や効果的な外部連携など、学校の抱えている業務そのものの、変革を進めることがさらなる課題である。
◆函館市地区
▼働き方改革の推進状況
▽地区内の現状
2年度学校における働き方改革に関する道内調査における教職員の出退勤時刻の把握方法は、2年度から市内全学校にカードリーダーによる出退勤システムが導入され「校務支援システム等」が100%であった。
教職員の多忙・負担感が大きいと思われる業務では、学校運営にかかわる業務の「職員会議・学年部会・分掌部会などの会議」「会計関連の事務」が40%、生徒の指導にかかわる業務の中では、「部活動指導」が86%を占め、「生徒指導」52%、「生徒会、学年学級に対する指導」48%であった。
外部対応や校外での業務では、「保護者・PTA対応」が全体の86%を占めた。
▽これまでの取組状況
道内調査におけるこれまで取り組んできた業務改善では、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」「学校行事(家庭訪問なども含めた)の精選・縮小」「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」がいずれも95%、「研修や諸会議の内容の精選と時間短縮」が90%と上位を占めた。
この中で成果のあった取組として挙げられたのは、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」「研修や諸会議の内容の精選と時間短縮」「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休業日の設定」がいずれも86%、「学校行事(家庭訪問含む)の精選・縮小」が76%となっている。
▼具体的な取組
▽函館市地区の取組
函館市中学校長会は、29年12月に函館市教委が策定した「教職員の業務改善のための取組」を始まりに、市教委の指導・協力のもと、これまでの働き方を見直した。
限られた時間の中で、教員の専門性を生かしつつ、授業や個別指導、教材研究などの子どもたちと向き合う時間を確保し、教員が健康でやりがいをもって勤務しながら、学校教育の質を高めることができる環境を整えることを目的に、教職員の業務改善に取り組んできた。さらに、元年度に道教委が示した学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」や本年度発行された北海道の学校における働き方改革の手引『Road』などに基づき、その具現化に努めてきた。
函館市教委は29年度から、学校現場の業務改善などの教職員の働き方改革にかかる取組を進めており、学校閉庁日の設定をはじめ、定時退勤日や退勤時間等について市内各校との共通理解のもと取り組んできた。また、北海道の部活動の在り方に関する方針に基づき、生徒の心身の負担軽減やバランスのとれた学校生活、教師の部活動指導における負担を軽減し、働き方改革を推進することを目的に、市立学校にかかる部活動の方針を策定し、各校の部活動についても業務改善の観点から見直してきた。
元年度は市立学校4校をモデル校に指定。2年度は、業務改善推進のためのモデル事業において市立学校19校でつぎの取組が進められている。
・保護者アンケート等におけるICTの活用
・学校における留守番電話の導入
・各校働き方改革に関する研修会等の実施
・市教委による業務改善のための研修会の実施
・部活動運営にかかる報告
▼成果と課題
▽成果
函館市教委が市の施策として、学校現場の業務改善などの教職員の働き方改革にかかる取組を進めてきたことによって、市立学校すべてで取り組む体制となり、横並びで実施しやすい環境が整っていた。
これらによって、各学校への施設・設備の導入が必要となるが、校務支援システムの導入等が計画的に行われ、比較的スムーズに対応することができた。
学校現場の業務改善などの教職員の働き方改革にかかる取組を市立学校すべてで取り組む体制のため、部活動の活動方針などでは、足並みをそろえることができている。
行政、市教委の積極的推進によって教職員の意識改革が進んだ。
▽今後の課題や方向性
勤務時間と授業時間、業務内容の整合性がとられていないため、業務を勤務時間内で終えることが困難である。そのため、残業や持ち帰り業務となり、それを避けることは難しい問題である。
教員定数の見直しや部活動支援員の拡充と部活動指導員の配置など、行政の支援を必要とする取組は少なくない。今後も函館市教委と連携、協力して体制を整えていく必要がある。
(関係団体 2021-02-22付)
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