道中 働き方改革の 推進に関する調査(令和2年度)(関係団体 2021-02-16付)
道中学校長会(鎌田浩志会長)が取りまとめた令和2年度『働き方改革の推進に関する調査報告書』の調査結果と分析はつぎのとおり。
【出退勤管理の実態】
▽考察
全国調査との比較では、校務支援システムの導入率が上昇している。道内においては、校務支援システムを活用した出退勤の見える化が進んでいると考えられる。
▽その他の記述内容
「市町村教委が導入したシステムや校長が作成したソフトウェアの活用」「作成した勤務管理簿等を活用」「QRコード、グループウェア、タイムレコーダー(指紋認証型を含む)の活用」「管理システム“レコル”の導入」「パソコンの起動・シャットダウンの時刻による把握」「出退勤一覧表への記入」のほか、それぞれ独自の方法で出退勤時刻を把握している例が報告された。
【教職員の多忙・負担感に関する実態】
▼学校の運営にかかわる業務
▽考察
道内調査で最も多かったのが「職員会議・学年部会・分掌部会などの会議」で54%となっている。次いで、「学校運営」「調査への回答事務」が40%と続く。全国調査に比べ、各種調査への回答事務への負担感が少なくなってきたと考えられる。
▽その他の記述内容
本年度に限り、「新型コロナウイルス感染症への対応」が多くを占め、「消毒作業」「トイレ清掃」「検温業務」等についての負担感が報告された。また、「不登校生徒への対応」「日中に連絡が取れない保護者等への対応」「学校運営協議会」「教育関係団体以外の外部業務」などが報告された。
▼生徒の指導にかかわる業務
▽考察
部活動に対する業務が突出して高く、道内・全国ともに同様の傾向がみられる。
▽その他の主な記述内容
「新型コロナウイルス感染症の感染拡大による臨時休業に起因した補充学習、分散登校、課題準備等」が多くを占めた。さらに、「不登校等の生徒および保護者に対する支援」「地域行事にかかわる生徒指導や参加協力」などへの負担感が報告された。
▼外部対応や校外での業務
▽考察
外部対応や校外での業務における教職員の多忙・負担感が大きいと思われる業務では、「保護者・PTA対応」が78%と最も多く、全国と同様の結果であった。次いで多いのが「校外での研修会・会議・打ち合わせ」であり、全国との違いが伺える。
▽その他の主な記述内容
校外における対応、特に、土日に開催される地域の祭典等への協力など「地域行事への教職員の参加」「本校閉校に伴う統合準備」などの意見がみられた。
【業務改善のための工夫と条件整備】
▽考察
概ね全国調査と同様の傾向がみられるが、「留守番電話の設置やメールによる連絡対応等の体制整備」と「超勤4項目以外の業務について、勤務時間外に業務を命じた場合の勤務時間の割り振り」の割合が道内は突出して高い。設置者のハード的な対応と、勤務の割り振りの拡大によるソフト面での施策が業務改善に結び付いているものと考えられる。
▽その他の主な記述内容
「職員室内の環境改善」「校務分掌に働き方改革担当部署の設置」「定時退勤日の設定」「部活動担当者の複数配置」「学級担任の負担軽減を目指した取組」など、学校内部のソフト面、ハード面についての業務改善に加え、「PTA、ボランティアの協力を得た教育活動」や「加配配置」など、外部との連携による業務改善が報告された。
【これまで取り組んできた業務改善(年度内の実施予定を含む)で成果が得られているもの】
▽考察
概ね全国調査と同様の傾向がみられるが、平成30年度の調査以降、学校閉庁日やガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定が定着した結果、道内調査の数値が高くなったとも考えられる。さらに、留守番電話や勤務時間の割り振り変更等の整備・活用が効果的であったことが分かる。
▽その他の主な記述内容
部活動への対策として、「テスト前の部活動中止期間の延長」や「複数顧問の配置」、学級担任の負担軽減策としての「授業のない日の設定」「全職員による道徳」、学校組織に働き方改革担当部門を設けるなどの「組織改革」等について効果を挙げているとの報告があった。また、「定時退勤の個別・分割付与」などの取組も紹介された。
【学校における働き方改革を進めるために必要な事項】
▽考察
「教職員定数の見直しや、給与待遇改善、予算拡充(または教職調整額の見直し)」が最も多く、全国と同様の結果となっている。また、特別支援教育担当スタッフや学習支援サポートのスタッフ等については、道内の整備が徐々に進んだことによって割合が低くなったものと考えられる。
▽その他の主な記述内容
「教職員定数の改善等の方策」「勤務時間の弾力的運用」「学校が本来行う業務の見直し」「教職員自体の意識改革」「部活動の改革」などが挙げられた。特に、教職員定数の見直しと部活動改善についての意見が多数寄せられており、特に部活動においては、社会体育への移行を求める意見が寄せられた。
【校務支援システムの導入】
▽考察
道内では、約6割で校務支援システムが導入され、教職員が利用できる環境が整えられている。全国調査との比較においても同様の傾向がみられる。
【校務支援システム導入によるメリット・デメリット】
▽考察
多くの学校に校務支援システムが導入されているものの、導入しているメーカーやバージョンに違いがあり、一律にメリットとデメリットを比較するには難しさが感じられた。
導入の初期はシステムの機能を理解し、活用することに大きなエネルギーを消費するものの、導入後はあらゆる面で校務の効率化を実感している校長が多かった。また、導入したばかりで、現段階ではメリットとデメリットを実感できないといった声も報告された。
▽メリット
校務支援システムは多くの学校で導入されており、校務の効率化につながっていることが報告された。主な視点としては、①書類作成の効率化②成績処理の標準化③業務の効率化(時間、ペーパーレス、データ共有)④職員の勤務管理―等が報告された。
少数意見として、近隣学校との連携が図りやすいこと、異動の際のメリット、より多くの学校が導入することで効果が高くなることが報告された。
▽デメリット
持ち帰り業務に関連した「在校時間の増加」が多くの学校から報告された。教職員への影響では「ICTに堪能な教員への負担集中」「ICTに慣れていない教員の困り感」「コミュニケーション機会の減少」が主な内容として報告された。
校務支援システム自体では、「ソフトの不具合」「様式の自由度が少ない」「定期的な内容変更への対応」について、ハードの面では「パソコン自体のフリーズ」「クラウド環境にないことで仕事の場が制限される」など、在宅勤務に対応していない実態についての指摘が報告された。
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(関係団体 2021-02-16付)
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