道中 働き方改革報告書 各地区調査結果①(関係団体 2021-02-19付)
道中学校長会(鎌田浩志会長)の令和2年度『働き方改革の推進に関する調査報告書』では、全20地区における業務改善の取組状況を調査。各地区・市町村・学校における具体的な取組について分析・検証し、成果と課題を明らかにした。各地区の調査結果を連載で紹介する。
◆石狩地区
▼働き方改革の推進状況
▽地区内の現状
2年度の道内調査における教職員の出退勤時刻の把握方法は、「校務支援システム等」が89%で全体の大半を占めた。教職員の多忙・負担感は、「学校運営と諸会議」(58%)、「授業およびその準備」(61%)、「生徒指導」(66%)、「部活動指導」(87%)、「保護者・PTA対応」(84%)が高く、部活動指導者の不足が深刻となってきた石狩の現状とも合致している。
▼具体的な取組
▽石狩地区および各市町村の取組
石狩管内校長会では、道ならびに各市町村策定のアクション・プランに基づき、2年度研究テーマに「働き方改革の推進」を位置付け、各種研修・情報交流を進め、その具現に努めてきた。
▼成果と課題
▽成果
市町村教委の条件整備が進み、「校務支援システムの勤務管理」「学校閉庁日」「留守番電話」「ガイドラインに沿った部活動時間」などで徐々に成果が出ている。
コロナ禍で、管理職研修をウェブ会議システムZoom研修に変更(2回実施)した市町村の実践もある。
▽今後の課題や方向性
教職員定数の見直しや加配措置、部活動指導員の拡充等、今後も道教委や市町村教委との連携を図りながら、教職員の意識改革と具体の業務改善・条件整備を推進したい。
◆札幌市地区
▼働き方改革の推進状況
▽地区内の現状
今回の道内調査において、札幌市における教職員の出退勤管理は、「校務支援システム等」による把握が100%となっている。平成30年8月から、在校時間の把握に当たって教職員が表計算ソフトに在校時間を入力し、管理職が取りまとめて札幌市教委へ報告する取組を試行実施してきた。2年度から、客観的な計測による方法として、タイムカードと同様の機能をもつ出退勤システムを構築し、運用を開始している。
また、本調査において、教職員の多忙・負担感に関する実態を調べたところ、学校の運営にかかわる業務においては、「職員会議・学年部会・分掌部会などの会議」が63%を占め、次いで「会計関連の事務」が52%、「調査への回答事務」が45%と続いた。
生徒の指導にかかわる業務においては、「部活動指導」の88%が抜きん出ており、「生徒指導」「成績処理」「学校行事」が50%台で続いた。生徒指導においては近年、合理的配慮の提供など個別の対応も増えており、教職員の負担感につながっているという指摘もみられた。
また、外部対応や校外の業務においては、「保護者・PTA対応」が87%と顕著であった。社会に開かれた教育課程の実現に向けて、地域との連携やボランティア活動などを推進する一方で、週休日や勤務時間外の地域対応、引率教員の派遣に苦慮している実態もみえてきた。
▽これまでの取組状況
本調査における、これまで取り組んできた業務改善では、札幌市が全市一斉の取組として実施してきた「自動応答電話の導入」「夏季休校日(学校閉庁日)の設定」が100%、「部活動活動基準の設定」にかかわる改善が89%を占める結果となった。
注目すべきは、「研修や諸会議の内容の精選と時間短縮」(63%)、「学校行事の精選・縮小」(60%)、「部活動指導員やスクール・サポート・スタッフの配置」(54%)といった各学校の工夫改善に向けた取組である。加えて、「その他」の回答にみられた「各種会議のペーパーレス化」や「職員室内の動線整理」「高速複合機の導入」など、各学校が知恵を絞り、創意工夫を積み重ねている姿が見て取れた。
また、取組の成果についての設問では、取り組んだ業務改善の内容とその成果との間に相関関係が認められた。これによって、全市一斉の取組の妥当性が証明されたと同時に、各学校がたゆまぬ業務改善に努め、働き方改革と真摯に向き合っていることが分かる。
一方で、「教員の授業の持ち時数の平均化」や、「勤務時間外に超勤4項目以外の業務を命じた場合の勤務時間の割り振り」など、教職員の定数や配置、職務や勤務態様の特殊性と密接な関係にある問題等は、各校の自助努力だけでは取組が進まず、さらにその成果を実感しづらいという結果が浮き彫りとなった。
▼具体的な取組
▽札幌市地区の取組
札幌市では、28年3月に業務の効率化と負担軽減を目指して「教員の負担軽減に向けて」を作成し、その後、つぎのとおり実効性ある取組を推進してきた。
①夏季休校日(学校閉庁日)の実施
29年度から3日間の夏季休校日を試行実施し、元年度から全面実施。
②部活動活動基準の設定
29年11月に持続可能な部活動の実現を目指し、全国に先駆けて活動基準を設定。2年3月、スポーツ庁および文化庁の基準に準じた内容に改定。
③自動応答電話の導入
30年8月から、勤務時間外(原則午後7時~翌日午前8時)の電話応対を自動応答メッセージによる対応に変更。
④在校時間把握の実施
30年度から試行実施。2年度から出退勤システムの運用開始。
⑤民間コンサルタントの活用
元年度、小中高の各1校をモデル校に指定。教職員へのヒアリング、アンケートの実施、勤務実態等の調査を通して、民間企業の視点から提言を受ける。
▽「札幌市立学校における働き方改革に向けて(指針)」のもとで
2年6月、札幌市教委によって指針が策定され、教職員の業務負担軽減と長時間労働の解消に向けて、より実効性ある取組の具体が明示された。
重点取組項目として、「勤務時間を意識した働き方」「学校行事・業務の見直し」「チーム学校の体制整備」の3つを掲げ、各学校が主体的に推進すべき内容と、札幌市教委の各部署がリーダーシップをとって推進すべき内容とを分け、スピーディかつ着実に前へ進める取組が始まっている。
▼成果と課題
▽成果
札幌市教委が中心となって進めてきた全市一斉の取組については、正こくを射た施策であり、各学校がその意義や成果を十分に実感している。
また、各学校は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う臨時休業等の経験を通して、職員会議や職員朝会等の在り方や、慣例的に行われてきた学校行事や業務について、あらためて見直す貴重な機会を得たともいえる。
働き方改革の大号令に背中を押され、各学校が業務負担軽減と長時間労働の解消に漕ぎ出した最中のコロナ禍であったが、この機運を逃さず、より実効性ある取組の推進が望まれる。
▽課題
①勤務時間を意識した働き方
教職員には高い使命感があり、児童生徒のためならば長時間労働をもいとわない風潮がある。そのため、時間を意識して仕事することや、長時間労働に対する問題意識が高いとは言い難い。ゆえに、時間コストの意識改革が必要不可欠となる。
一方、効率化の名のもとに、教職員の矜持や生きがいを否定することなく、モチベーションを保持できるような配慮が必要である。
②学校行事・業務の見直し
学校行事や様々な業務の中には、その必要性や目的の確認が十分にされないままに慣例的に実施されているものや、実施方法や反省点の共有、見直しの方針等が次年度に十分引き継がれず、結果的に前年度踏襲型で実施されているものが散見される。
各学校には、組織としての構造的な課題を点検しつつ、学校行事や業務の重要度と優先順位の検討に基づく大胆な精選と再構築の動きが求められている。
③チーム学校の体制整備
札幌市では、全小・中学校に校務助手が配置されているほか、部活動指導員、スクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(SSW)、スクールロイヤー、有償ボランティアである相談支援パートナーや学びのサポーターなど、教員の負担軽減に向けた体制整備が進められている。
さらに、2年度から学校事務共同実施が始まり、学校事務職員のさらなる能力活用と、より能動的に学校運営に参画できるような枠組みが整いつつある。
一方で、教員以外の職員が対応可能な業務を教員が行っている実態や、とりわけ、教頭においては事務的な業務に忙殺されている現状に対し、人員によるサポート体制の構築が急務となっている。
◆後志地区
▼働き方改革の推進状況
▽地区内の現状
2年度学校における働き方改革に関する道内調査における教職員の出退勤時刻の把握方法は「校務支援システム等」が75・0%、「タイムカードなどの装置」が25・0%であった。
教職員の多忙・負担感が大きいと思われる業務では、学校運営にかかわる業務の「職員会議・学年部会・分掌部会などの会議」が62・5%、「学校運営」が54・2%であった。
生徒指導にかかわる業務の「部活動指導」は100%であった。「外部対応や校外での業務」の「保護者・PTA対応」は79・2%を占めた。
▽これまでの取組状況
道内調査におけるこれまで取り組んできた業務改善では、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」(95・8%)、「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(87・5%)、「超勤4項目以外の業務について、勤務時間外に命じた場合の勤務時間の割り振り」(87・5%)が上位を占めた。
加えてこの中で、成果があった取組として挙げられたのは、「長期休業期間内における学校閉庁日の設定」(83・3%)、「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(75%)、「学校行事の精選・縮小」(66・7%)、「超勤4項目以外の業務について、勤務時間外に命じた場合の勤務時間の割り振り」(66・7%)となっている。
学校における働き方改革を進めるために必要な事項で挙げられたのは、「教職員定数の見直しや給与待遇改善、予算拡充」(91・7%)、「部活動指導員やスクール・サポート・スタッフ、スクールロイヤーなどの配置」(75・0%)、「学習支援サポートなどのスタッフの拡充」(58・3%)となった。
▼具体的な取組
▽後志地区の取組
後志教育局の後志管内教育推進の重点で示された働き方改革の重点に基づいて、各町村の行動計画が策定されている。後志小中学校長会では、道小学校長会・道中学校長会からの新しい情報を迅速に提供し、町村における進ちょく状況について交流を図るとともに、管内教育長部会と連携し取組を進めてきた。
また、各町村の推進状況や課題についてのアンケート調査を行い、情報の共有を図るとともに、今後、校長会として働きかけを行う事項を確認することができた。
▽各町村の取組
A町では、校務支援システムの導入によって、情報共有の電子化・一元化が進み、事務作業が格段に削減できた。また、同時に会議・打ち合わせでのペーパーレスなどを進めていた。
B町では、道教委資料『Road』を活用し、校内の業務見直しなど全職員が働き方を工夫改善しようとする機運を高めた。また、人事評価の面談を活用し、習慣などを見直していた。
▼成果と課題
▽成果
部活動について、休養日の設定や学校規模による適正化について、実態に応じた取組が進んでいる。
調査への回答事務について、30年度の全国調査の平均より改善が進んでいる。
▽今後の課題や方向性
部活動指導の多忙・負担感について、すべての学校で感じているという回答は、指導員の配置や競技団体との連携が課題として挙げられる。
町村ぐるみで一体感のある取組を進めていく必要がある。
◆小樽市地区
▼働き方改革の推進状況
▽地区内の現状
2年度学校における働き方改革に関する道内調査における教職員の出退勤時刻の把握方法は、「校務支援システム等」が83%で、「その他」が17%となった。実質出退勤の状況はカードリーダーを用い、市内全中学校ともパソコンで管理している。
教職員の多忙・負担感が大きいと思われる業務では、学校運営にかかわる業務において、「調査への回答事務」が58%と最も多く、「会計関連の事務」が33%と次いで多かった。
生徒の指導にかかわる業務の中では、「部活動指導」が83%を占めた。「外部対応や校外での業務」では、「保護者・PTA対応」が全体の75%を占め、「行政・関係団体対応」が33%と次いで多かった。
▽これまでの取組状況
道内調査におけるこれまで取り組んできた業務改善では、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」(100%)、「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(92%)、「学校行事(家庭訪問なども含めた)の精選・縮小」(75%)が上位を占めた。いずれの取組についても「成果が得られている」と回答されており、特に「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」では、100%の学校が「成果がある」と回答している。
今後、学校における働き方改革を進めるために必要な事項については、「教職員定数の見直しや給与待遇改善、予算拡充(または教職調整額の見直し)」が75%と最も多く、「指導方法の工夫改善や初任者研修制度等に対応した教員の加配措置」(58%)、「部活動指導員やスクール・サポート・スタッフ、スクールロイヤーなどの配置」(58%)など、様々なスタッフの充実が挙げられている。
▼具体的な取組
▽小樽市地区の取組
小樽市校長会では、「先見性・自立」をテーマとし、それぞれの校長が職を全うできるよう研究研鑚している。本年度は重点目標に、①学校運営の強化②小中一貫教育の前進③業務改善の推進―を掲げ、アンケートを実施するなど実態を把握し改善につなげている。
中学校長会では、研究部が中心となり、③の業務改善の推進、特に働き方改革について研修し、改善を進めている。
アンケートの主な内容はつぎのとおり。
①教職員一人ひとりの意識改革を促進したか
②働き方改革に向けた取組を保護者等へ説明したか(予定も含む)
③働き方改革を推進する組織や分掌を位置付けたか
④学校経営方針や重点目標に働き方改革に関する視点を盛り込んだか
⑤保護者あての連絡手段について、メール一斉送信にするなどの効率化を図ったか
―など、16項目について調査した。
▼成果と課題
▽成果
「保護者あての連絡手段について、メール一斉送信にするなどの効率化を図ったか」については100%であった。
「学校経営方針や重点目標に働き方改革に関する視点を盛り込んだか」や「教職員一人ひとりの意識改革を促進したか」についての取組が進んでいる。
▽今後の課題や方向性
「働き方改革を推進する組織や分掌を位置付けたか」「学級だよりを学年だよりに集約化するなど、保護者向けの文書の見直しを図ったか」については進んでいない。教職員一人ひとりの意識改革が必要である。市教委と連携して、部活動指導員やスクール・サポート・スタッフなどの充実を図り、さらなる業務改善を進めたい。
◆上川地区
▼働き方改革の推進状況
▽地区内の現状
2年度学校における働き方改革に関する道内調査を実施し、上川地区全35校から回答を得た。
教職員の出退勤時刻の把握方法は、「校務支援システム等」が31%、「ICカード、QRコード、出退勤ソフト、タイムカード等」が63%であった。指紋認証システムを導入している学校もあった。
教職員の多忙・負担感が大きいと思われる業務では、学校運営にかかわる業務の「職員会議や学年部会、分掌部会などの会議」が57%、「学校運営」が43%を占めた。「その他」として新型コロナウイルスへの対応業務があった。
生徒の指導にかかわる業務においては、「部活動指導」が86%と高く、「授業およびその準備」が49%、「学校行事」が43%であった。外部対応や校外での業務では、「保護者・PTA対応」が77%、「地域対応」も43%と高い割合を示している。
▽これまでの取組状況
道内調査におけるこれまで取り組んできた業務改善では、「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(100%)、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」(97%)、「学校行事(家庭訪問なども含めた)の精選・縮小」(80%)、「研修や諸会議の内容の精選と時間短縮」(77%)が上位を占めた。この中で、成果のあった取組として挙げられたのは「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(94%)、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」(80%)となっている。その他、ペーパーレス化の取組も成果として挙げられている。
▼具体的な取組
▽上川地区の取組
上川管内校長会では、30年度から市町村会長研修会やブロック研修会等において、各市町村および各学校の働き方改革への具体的方策と進ちょく状況、課題等について交流を深め、意見交換を行ってきた。また、各市町村とも、道教委によって示された北海道アクション・プランに基づき、働き方改革検討委員会等を設置し、市町村教委と連携した取組がなされている。
▽各市町村の取組
A市とB町では個々のQRコードのカードによって、出退勤管理を行っている。C町では教職員が抱える業務に対し、チームで取り組むシステムを編成し、多忙の中にも個々の力量を高め、さらに教師としてのやりがい・働きがいの醸成に取り組んでいる。その他、一斉退勤日の設定、部活動指導の輪番制、PTA活動内容と組織のスリム化、留守番電話の設定、町費負担による教員の配置などを行っている。
▼成果と課題
▽成果
各校とも校長のリーダーシップのもと、業務改善・組織の見直し等について、教職員との連携のもと進められている。
近隣自治体との情報交流を密に行い、教職員の意識改革と着実な改善が進んだ。
▽今後の課題や方向性
職場内の人員確保、教職員定数の見直し、特別な支援を要する生徒の増加、ICT機器の効果的な活用への対応など、課題は山積している。教育の質を低下させることなく改革検討していく必要がある。
◆旭川市地区
▼働き方改革の推進状況
▽地区内の現状
2年度学校における働き方改革に関する道内調査における教職員の出退勤時刻の把握方法は、「校務支援システム等」が78%で全体の大半を占めた。「その他」として、パソコンの起動・終了時刻の活用、エクセルをベースにした管理ソフトの使用等であった。
教職員の多忙・負担感については、「調査への回答事務」(59%)、次いで「職員会議・学年部会・分掌部会などの会議」(56%)、「個別の打ち合わせ」(41%)となっている。また、「その他」として、新型コロナウイルス感染症対策(26%)となっており、いずれにおいても顕著な傾向がみられる。
生徒の指導にかかわる業務の中では、「部活動指導」(85%)が圧倒的に多く、次いで「生徒指導」(78%)となっている。
外部対応や校外での業務については、「保護者・PTA対応」(78%)、次いで「校外での研修会・会議・打ち合わせ」(52%)となっている。
▽これまでの取組状況
旭川市地区における、これまで取り組んできた業務改善では、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」(96%)、「研修や諸会議の内容の精選と時間短縮」(89%)、「学校行事(家庭訪問などを含めた)の精選・縮小」(89%)、「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(89%)が上位を占めている。
加えて、成果が得られた取組として、「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」(96%)、「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」(89%)、「学校行事(家庭訪問などを含めた)の精選・縮小」(85%)となっている。
学校における働き方改革を進めるために必要な事項については、「教職員定数の見直しや給与待遇改善、予算拡充(または教職調整額の見直し)」(96%)、「部活動指導員やスクール・サポート・スタッフ、スクールロイヤーなどの設置」(81%)、「特別支援教育担当スタッフの拡充」(78%)が必要と押さえている。
▼具体的な取組
▽旭川市地区の取組
旭川市中学校長会では、31年1月に旭川市教委が「子どもたちの豊かな学びや成長に向け、教職員が誇りや情熱、やりがいとともに、心身ともに健康でいきいきと子どもたちと向き合うことができる環境づくりを推進します」をスローガンとして策定した市立小中学校働き方改革推進プラン等に基づき、改革を進めてきた。とりわけ、「学校や教職員が本来担うべき業務に専念できる環境整備」「部活動指導にかかわる負担軽減」「勤務時間を意識した働き方と学校運営体制の充実」「教育委員会による学校サポート体制の充実」という4つの重点戦略を掲げ、達成目標の具現化に努めてきた。
達成目標については、2年3月に北海道アクション・プランが一部改正されたため、「教育職員の在校等時間から所定の勤務時間を減じた時間を1ヵ月で45時間以内、1年で360時間以内とする」ことへ改定した。
旭川市では、先に述べた達成目標に向けて4つの達成指標を掲げている。①部活動休養日を完全に実施している部活動の割合100%②変形労働時間制を活用している学校の割合100%③定時退勤日を月2回以上実施している学校の割合100%④学校閉庁日を年9日以上実施している学校の割合100%―である。27校で組織する旭川市中学校長会としても、教育委員会の指導助言のもと、4つの達成指標の共通理解を図り、具体的な取組を推進している。
▼成果と課題
▽成果
①戦略1
「チーム学校」の実現に向けた専門スタッフ等の配置が促進された。
事務職員の校務運営への参画が推進された。
②戦略2
部活動指導にかかわる適切な休養日および活動時間が設定された。
旭川市中学校部活動ガイドラインおよび学校の部活動にかかわる方針が策定された。
合同チームなど学校規模に応じた部活動数の適正化が図られた。
③戦略3
教職員の勤務状況および出退勤の把握が推進された。
学校閉庁日の確実な設定が図られた。
学校の組織運営等に関する精選・見直しが進んだ。特に、校務支援システムの導入によってペーパーレス化が進み、会議の効率化、時間短縮が図られた。
ワークライフバランスを意識した働き方改革が推進された。
④戦略4
研修事業等の精選・見直しが推進された。
給食費の公会計化について見通しが示された。
▽今後の課題や方向性
中学校長会として、重点的に取り組んでいるが、学校規模等によって、成果に違いがみられる。今後、市教委と連携協力体制をさらに強化し、より達成率を高めていく必要がある。
5年度から部活動改革の全国的な展開が予想される。休日の部活動の段階的な地域移行(休日の部活動の指導を望まない教師が部活動に従事しない環境の構築)となるため、教師の負担は軽減されるが、部活動は地域単位の取組となるため地域指導者の人選等、その環境づくりには多くの困難が予想される。
地域という枠のため、部活動が淘汰され、結果的には部活動全体の人数が少なくなり、自主的・自発的な活動につながらない懸念も考えられる。
コロナ禍の中で「働き方改革をいかに進めていくか」が最大の課題と考えている。新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた新しい生活様式を各学校で実践しているが、毎日の拡大感染防止に向けた実践や取組が教職員の重い負担となっていることも事実である。
働き方改革の推進のためにも、スクール・サポート・スタッフ等の人的配置の取組はぜひ、今後とも継続されるよう働きかけていきたい。
◆宗谷地区
▼働き方改革の推進状況
▽地区内の現状
2年度学校における働き方改革に関する道内調査における管内の教職員の出退勤時刻の把握方法は「校務支援システム等」が45%であった。また、「その他」が55%であり、内容に関しても、タイムカードやICカードなどの活用がみられ、管内すべての学校で出退勤時刻の客観的な把握がなされている。
教職員の多忙・負担感が大きいと思われる業務では「学校運営」「職員会議・学年部会・分掌部会などの会議」「調査回答」が半数近くを占めている。記述の回答では「コロナ対策にかかわるもの」もみられ、本年度の状況を反映しているものもあった。
生徒指導にかかわる業務では「部活動指導」が82%と多く、次いで「学校行事」50%、「授業およびその準備」45%となっており、部活動の負担が際立っていると言える。
外部対応や郊外での業務では「保護者・PTA対応」68%、「校外での研修、会議、打ち合わせ」50%となっている。「地域対応」「行政・関係団体の対応」も約4分の1の学校で負担感を感じている。
▽これまでの取組状況
道内調査におけるこれまでに取り組んできた業務改善では、「長期休業期間における一定期間の学校閉庁日の設定」と「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」では、すべての学校が取り組んでいる。また、「研修や諸会議の内容の精選と時間短縮」「学校行事の精選、縮小」についても91%と高く、「その他」でも各学校で改善のため様々な取組を実施している様子がみられる。
この中で、成果のあった取組として挙げられたものは、「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」91%、「研修や諸会議の内容の精選と時間短縮」86%、「学校行事の精選、縮小」82%と続き、改革が着実な成果となってあらわれている。
▼具体的な取組
▽宗谷地区の取組
宗谷校長会では随時、会員へ働き改革に関する情報提供を行った。また、管内各市町村の取組状況を把握し、各校で働き方改革に大きな差が生じないよう努めた。結果として、業務改善では、ほぼすべての学校で取り組んでいる項目が4つと多くみられた。
▽各市町村の取組
現在、管内の各市町村で校務支援システムを一元化しようとする動きがある。管内で同じ校務支援システムになれば、異動した教員の負担が軽減され、さらなる業務改善になると期待されている。ただし、財政的な面で課題があり、実現には至っていない状況ではあるが、宗谷校長会が中心となり、各市町村校長会が積極的に教育委員会に働きかけることで、その実現が期待される取組の一つである。
▼成果と課題
▽成果
働き方に関する教職員の意識の変革がみられる。
また、行政の主導による情報提供や具体的な施策によって、保護者や地域の学校や教職員への働き方に対する理解も進んでいる。
▽今後の課題や方向性
学校における働き方改革は、現場の工夫はもとより、教育行政の具体的な取組によって大きく進展するものである。そのためにも、早急に教職員定数の改善、部活動の取り扱い方に対する具体的な取組が必要である。
一方、へき地などでは人材不足等の状況があり、働き方改革そのものが校長のマネジメントの問題にわい小化されてしまう危惧も残る。
◆留萌地区
▼働き方改革の推進状況
▽地区内の現状
2年度学校における働き方改革に関する道内調査における教職員の出退勤時刻の把握方法は「その他」が45%、「校務支援システム等」が36%、「管理職による確認」および「自己申告等」がそれぞれ9%であった。「その他」の内容としては「タイムカード」「(校務支援システム以外の)校内共有データへの打ち込み」であった。なお、この道内調査の実施以降(8月以降)に校務支援システムを導入した町があるため、9月時点での「校務支援システムによる把握」は45%となる。
教職員の多忙・負担感が大きいと思われる業務では、「学校運営にかかわる業務」の「職員会議・学年部会・分掌部会などの会議」が73%と最も多く、次いで「個別の打ち合わせ」36%、「調査への回答事務」27%であった。
新たなものとして「新型コロナウイルス感染症に関連した校内消毒作業」(18%)という回答もみられた。
生徒の指導にかかわる業務では「部活動指導」が100%、「生徒指導」64%、「学校行事」45%であった。「成績処理」「放課後等の学習指導」「その他」はゼロで、ほかの業務については顕著な傾向はみられなかった。
外部対応や校外での業務については、「保護者・PTA対応」64%、「校外での研修会・会議・打ち合わせ」45%、「行政・関係団体対応」36%であった。
▽これまでの取組状況
道内調査における、これまで取り組んできた業務改善では、すべての学校において「長期休業期間内における一定時間の学校閉庁日の設定」「研修や諸会議の内容の精選と時間短縮」「学校行事の精選」「ガイドラインに沿った部活動の活動時間や休養日の設定」は取り組まれていた。
「生徒の下校時間を見直すなど週時程の工夫」「学校規模に応じた部活動数の適正化」「部活動指導員やスクール・サポート・スタッフの配置」は30%以下であった。
学校における働き方改革を進めるために必要な事項については、「特別支援教育担当スタッフの拡充」「指導方法工夫改善や初任者研修制度等に対応した教員の加配措置」「部活動指導員やスクール・サポート・スタッフ、スクールロイヤーなどの配置」「教職員定数の見直しや給与待遇改善、予算拡充」が70%を超えていた。
「その他」として「勤務時間の割り振りや各種加配、支援員・スタッフ等の申請や報告等にかかる事務手続きの簡素化」を望む意見や「指導力不足教員に対する支援の拡充」「勤務時間にかかわる各種制度と長期休業中に受講することの多い教員免許更新制度に関する検証」等が挙げられた。
▼具体的な取組
▽留萌地区の取組
留萌管内校長会では、30年度留萌地区教育経営研究会において、道教委から示された学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」にかかわる提言が組織部から示された。
協議の中では、今後の活動において「学校経営方針や重点に“働き方改革”を位置付ける」「地域・保護者に対する働き方改革の理念についての丁寧な説明等の重要性」などについて意見が出され、「教職員の意識改革を行うためには管理職としての意識改革(意識の向上)」「しっかりとした計画を立てた中での活動の推進」「行政と連携した取組」等が確認された。
また、「部活動における合同チームの練習の調整」や、「タイムカードによる勤務時間記録を勤務時間縮減にどう活用するか」などの課題が出された。
元年度の留萌地区教育経営研究会では、各学校における働き方改革の取組の現状と課題や課題解決に向けた方向性について、ワークショップ形式で協議を行った。部活動や諸会議、勤務時間の割り振り等について、各市町村や学校の実態に合わせた取組が交流され、管内における共通の課題と課題解決に向けた方向性について協議を深めた。
▽各市町村の取組
管内各市町村において働き方改革アクション・プランが策定されており、それぞれの市町村・学校の実態に沿った取組が推進されている。
また、長期休業中における学校閉庁日の設定、活動時間の制限や休養日の設定が定着するなどの部活動改革が進んでいることが確認されている。
A村では、定時退勤週間の設定、変形労働時間制などについて小・中学校が共通した取組を実施した。また、教職員の退勤時間を把握し、勤務時間を可視化することによって時間外勤務の縮減を進めるよう努力している。
B町では、勤務時間終了後や休日の学校への電話を管理職に転送する機能を導入し、教職員の勤務時間縮減に努めている。また、ガイドラインに沿ったB町部活動方針を策定するなど、教育の質の向上と働き方改革を目指した取組が進められている。
C町においては、町教育委員や教育委員会、高校の校長・教頭・事務長、小・中学校教頭などの教育関係者による合同研修会を開催し、C町における働き方改革の現状と課題について発表した。その中で、今後の働き方改革の推進に向けて意見や感想をいただく機会を設けた。
また、メールや町内全校に設置されているIP電話の活用によって、緊急時の連絡において教職員の負担が軽減され、より早く正確に情報が伝わるようになった。
▼成果と課題
▽成果
部活動の活動時間や休養日の設定などによって教職員の勤務時間の縮減や負担感の軽減が図られた。
行事において、前年度踏襲ではなく行事の目的からその内容を考えるといった意識改革が図られるようになった。
ICT環境の整備が進み、職員会議や研修におけるペーパーレスの導入で、印刷業務や文書整理などの業務が軽減された。
また、紙ファイルが不要となったため、机上や職員室内の整理整頓が進むという効果もみられた。データ管理と確実なバックアップが必要である。
▽今後の課題や方向性
業務量やバランスの偏りを解消するため、業務内容の見直しや業務の振り分けを行うとともに、校内分掌組織や校内特別委員会の見直しが必要である。
免許外教科担任の解消や期限付教員の確実な配置が強く望まれる。また、学習サポートスタッフや部活動指導員などの人材確保が困難な市町村が多い。制度は整っていくが、その制度を活用することができない実態もあるため、市町村教委との連携と行政に対する働きかけを強化していく必要がある。
部活動では、近隣市町村をまたいでの合同チームが増えている。合同練習や大会参加における交通手段、宿泊費などの補助も市町村によって異なることがある。文部科学省から示された学校の働き方改革を踏まえた部活動改革の実施を見据えた市町村間の確認と協力が必要となる。
それぞれの学校で教職員の負担軽減・勤務時間縮減に向けて努力と工夫を行い、併せて働き方改革に関連して各市町村教委をはじめ関係機関に対する働きかけを行っている。
今後も管内的に情報交流を進め、実効性のある取組を共有し進めていくことが、ますます重要であると考える。
(関係団体 2021-02-19付)
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