【解説】通信制高校　質の確保・向上

（解説 2021-03-03付）

　通信制高校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議は、２月２５日の第７回会議で審議のまとめ案を示した。骨子案に第３章「新時代の高校通信教育の在り方」を追加。新学習指導要領を踏まえた通信教育の再構成に当たり、ICTの効果的な活用と先導的な事例の創出・共有の必要性を示した。

　全日制・定時制課程を置く高校は全体として減少傾向にある中、通信制課程を置く高校は増加傾向にある。文部科学省の調査によると、令和２年５月１日現在で通信制課程を置く高校は２５７校と昭和４５年度の８２校から約３倍に増加。うち公立が７８校、私立が１７９校と私立で大きく増加している。

　会議では、これからの時代に対応した高校通信教育の在るべき姿の実現に向け、高校通信教育の質保証方策と新時代の高校通信教育の在り方の２点を検討。教育課程の編成・実施の適正化に向けた通信教育実施計画（仮称）の策定などを提案した。

　第３章として「新時代の高校通信教育の在り方」を追加。新学習指導要領の趣旨・内容を踏まえ、高校教育として共通に身に付けるべき資質・能力を整理。各学校の実情に応じて通信教育全体を再構成するため、ICTの効果的な活用とともに、実証的研究によって先導的な事例の創出・共有を図っていくべきとした。

　また、生徒一人ひとりに寄り添った指導・支援を行うため、多様な専門性をもつ職員の配置を進めるとともに、現在の配置教員と連携・協働する体制、家庭・地域社会との連携・協働が重要とした。

　今後一層検討が必要な論点として、学校が育成を目指す資質・能力を全教職員で共通認識を図ること、新学習指導要領の趣旨・内容を踏まえた学習指導・学習評価の改善を挙げている。

(解説 2021-03-03付)