札幌市教委 2年度悩み等アンケート 「いじめられた」が減少 コロナ禍における指導成果
(札幌市 2021-04-23付)

 札幌市教委は、令和2年度の悩みやいじめに関するアンケート調査の結果をまとめた。「今の学年になってから、いじめられたことがあるか」の設問に、「ある」と回答した児童生徒の割合は9・9%で、元年度に比べて3・0ポイント減少した。市教委は、コロナ禍で差別や偏見が生じないよう指導してきた成果と分析している。一方で、「ある」と回答した児童生徒のうち、「今もいじめられている」との回答が4割程度あることから、積極的な認知など、学校での組織的な対応や必要な支援を行うことを求めている。

 調査は、児童生徒の実態や各校の対応状況を把握し、いじめの早期発見・対処の取組に資することを目的に平成18年度から行っているもので、2年度は昨年11月に全市立学校で実施。用紙は学校用、児童生徒用の2種類で、児童生徒用はいじめの早期発見・早期対処の観点から記名式とし、プライバシー保護のため、各家庭で記入させ、封筒に入れて学校に提出させた。回収率は97・4%。

 いじめの実態を多面的に把握する観点から、児童生徒に直接する質問のほかに、様々な理由から自己申告できない児童生徒もいることを予想し、学校でいじめが疑われると判断している数について調査。児童生徒への調査において「最近いじめられている人を見たり、聞いたりしたことがあるか」という質問も設け、本人以外からの情報も活用できるよう配慮している。

 児童生徒用のアンケート調査8項目のうち、今の学年になってからのいじめの有無について、「ある」と回答した児童生徒の割合は9・9%で元年度に比べ3・0ポイント減となった。平成30年度から元年度にかけての0・2ポイント減より減少幅が大きく、市教委は「各校でコロナ禍における差別や偏見が生じないよう指導してきたことが関係している可能性がある」と考えている。

 しかし、現在の学年におけるいじめに対する児童生徒の学年別回答では、「今もいじめられている」との回答が約4割を占めた。当該設問に無回答の割合は高校生がゼロとなった一方、小・中学生では元年度より増加しており、全体の回答率は38・3%だった。

 「今の学年になってから、いじめられている人を見たり、聞いたりしたことがあるか」との問いに、「ある」と回答した児童生徒の割合は13・0%で、元年度に比べ3・7ポイント減少した。

 市教委は「被害を訴えることによって“事態が悪化するのではないか”“いじめが再発するかもしれない”などの不安を児童生徒が抱いていることが予想される」としており、児童生徒が相談しやすい環境の構築や組織的な対応、積極的な認知が大切としている。

(札幌市 2021-04-23付)

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