留萌管内3年度教育推進の重点 学校・家庭・地域が協働 上田局長 学び止めない教育を
(道・道教委 2021-04-26付)

留萌教育局長上田哲史
留萌教育局・上田哲史局長

 【留萌発】留萌教育局の上田哲史局長は14日、留萌合同庁舎で開いた管内市町村教育委員会教育長会議で令和3年度管内教育推進の重点について説明した。テーマ「学校・家庭・地域社会が協働を深め、ふるさとの未来を担う子どもを育む取組の推進」の実現に向け、「社会で活きる力の育成」など4つの柱を提示。学びを止めない教育の推進、いじめや児童虐待の防止、包括的な学校改善、家庭・地域との連携の推進などを求めた。教育推進の重点の概要はつぎのとおり。

 皆さんは全教職員と一体となり、家庭や地域から信頼される学校づくりを基盤に、子どもの健やかな成長に向けた創意工夫ある教育活動を展開している。

 今なお続く新型コロナウイルス感染症については、これまで経験のない状況下での教育活動を余儀なくされたが、皆さんがリーダーシップを力強く発揮され、子どもの学びを保障するため、懸命に学校経営を進めた。

 教育局としては、新型コロナウイルスの感染再拡大防止はもとより、4月から中学校においても全面実施となった新学習指導要領の着実な実施、さらに、令和の日本型学校教育の構築を目指して本年1月に中央教育審議会が答申をまとめており、そうした国の動向の注視、これまでの管内における取組の成果と課題を踏まえたより実効性のある施策の展開など、各学校の課題解決に向けて全力で取り組んでいく。理解と協力をお願いする。

 本年度のテーマ設定に当たっては、前年度までのテーマを基本的に踏襲することとし、道教育推進計画と道教委の3年度教育行政執行方針を踏まえて設定した。

 道教育推進計画では、自立と共生をこれからの北海道が目指す教育の基本理念として設定し、自然豊かな北の大地で、世界を見つめ、自立の精神に溢れ、自らの夢に挑戦し、実現していく人やふるさとへの誇りと愛着をもち、これからの社会に貢献し、共に支え合う人を育むことを掲げている。

 また、道教委の3年度教育行政執行方針では、「誰もがどこにいても安心して質の高い教育を受け、いつまでも学び続けられる環境を整える」「学校と地域が連携・協働を深め、学びと社会参画の好循環を生み出す」ことを基本姿勢として掲げている。

 各学校等においては、これらの理念の具現化や基本姿勢に基づく教育活動を実践するとともに、各市町村が様々な施策によって地域創生を進めている。

 学校・家庭・地域社会が一層協働していく必要があることから、3年度の管内教育推進のテーマを「学校・家庭・地域社会が協働を深め、ふるさとの未来を担う子どもを育む取組の推進」とした。

 実際の取組に当たっては、先行き不透明な新型コロナウイルス感染症など、生活や社会の劇的な変化に対応しながらも、各学校の特色を発揮し、社会に開かれた教育課程を具体化し、子どもの成長にかかわるすべての大人が協働し、よりよい地域をつくる教育を力強く進めていただくようお願いする。

【柱1 社会で活きる力の育成】

▼学びを止めない教育の推進

 管内においては、コロナ禍によって今までに経験のない対応が求められる中、子どもたちの学びの保障に向けて、年間指導計画の見直し、放課後の補充学習の実施、ICTを活用した授業改善や家庭学習の実施など、各地域の状況を踏まえて創意工夫ある取組が進められている。

 今後は、これらの成果を踏まえ、「新学習指導要領の着実な実施による主体的、対話的で深い学びの確実な実現」「主体的・対話的で深い学びを支える子どもたちが安心して学べる環境づくり」「1人1台端末を積極的に活用した授業改善の推進」などが求められる。

 こうしたことから、「主体的・対話的で深い学びの過程でICTを効果的に活用するなど、学びの質を高める取組」「自己存在感、共感的な人間関係、自己決定の3つの視点による授業改善」「オンラインを活用した学習の充実など、継続した学びを保障する教育活動」に努めるようお願いする。

▼特別支援教育の充実

 管内においては、特別支援教育にかかわる教員の資質向上を目的とした校内研修の実施や、関係機関と連携した個別の教育支援計画の作成など、特別な支援を必要とする子どもへのきめ細かな支援の充実に向けて取組が着実に進められている。

 今後は、これらの成果を踏まえ、「すべての教職員が一体となって、困り感を抱える子どもへの継続的な支援を充実させる組織的な取組」「特別な支援を必要とする子どもについて、幼児期からの切れ目のない一貫した支援を行うため学校間および関係機関との一層の連携強化」などが求められる。

 こうしたことから、「校内研修プログラムを活用した全教職員による計画的な校内研修の実施など、一人ひとりのニーズに応じた指導や支援」「個別の教育支援計画の作成および活用による幼児期からの切れ目のない一貫した指導や支援」に努めるようお願いする。

▼新しい時代を切り拓く力を育む教育の推進

 管内においては、小学校外国語科の教科担任制や中学校教員による小学校への乗り入れ授業の実施、小・中学校、高校が互いに連携した英語科の授業改善やCAN―DOリストの作成および活用による外国語教育の充実、総合的な学習の時間や特別活動におけるキャリア教育の充実など、今日的な教育課題に対応するため各般の取組が着実に進められている。

 今後は、これらの成果を踏まえ、「子どもたちが英語で積極的にコミュニケーションを図ることができるよう授業の改善」「子ども一人ひとりの社会的・職業的自立に向けて必要となる資質・能力を育むための発達の段階に応じたキャリア教育の充実」「郷土への誇りと愛着を育み、これからのふるさとを担う人づくりに向けたふるさと教育の推進」などが求められる。

 こうしたことから、「動画コンテンツを活用するなど英語でのコミュニケーション能力の向上や教員の指導力を向上させることによる英語教育の推進」「子どもの興味・関心を高め、探究の過程を重視した理数教育の推進」「キャリア・パスポートの活用など、各校種や各学年段階におけるキャリア発達課題に応じたキャリア教育の推進」「民族共生象徴空間ウポポイなどを活用したアイヌの人たちの歴史や文化、北方領土に関する学習」など、歴史や文化を学ぶふるさと教育の推進に努めるようお願いする。

 教育局として、「ウェブ会議システムを積極的に活用するなど、コロナ禍においても学校への支援を止めない学校教育指導訪問による学校支援の充実」「留萌市における学校力向上に関する総合実践事業など、各種指定事業における成果の普及」「年2回の組織力強化会議を活用した検証改善サイクルの確立とミドルリーダーの育成による学校改善」「管内特別支援連携協議会における協議を踏まえた管内が一丸となった取組の推進」「苫前町における道保健福祉部局などと連携した発達障がい支援成果普及事業における支援と成果の普及」「今日的な教育課題に対応した各種研修事業の実施」などに努めていく。

【柱2 豊かな人間性と健やかな体の育成】

▼いじめ・児童虐待の防止、不登校支援、道徳教育の充実

 管内においては、自己存在感を与え、共感的な人間関係を育成し、自己決定の場を与えるといった取組や積極的にいじめを認知し公表する組織的な対応など、子どもたちが安全・安心に学校生活を送ることができる学校づくりが着実に進んでいる。

 本年度は、これらの成果を踏まえ、「子どもたちがコロナ禍で不安を抱える中であっても、互いに気持ちを認め合い、適切に表現できる教育活動の一層の充実」「いじめや不登校への初期段階からの組織的・計画的な支援」「増加している児童虐待における関係機関との迅速な連携」「生命を大切にする心や思いやりの心」など、子どもたちが豊かな心を育むための道徳教育の一層の充実などが求められる。

 こうしたことから、「児童生徒が互いの気持ちを認め合い、思いや考えを適切に表現することができる取組」「関係機関と連携した支援体制の整備充実など、いじめ、不登校、児童虐待の未然防止、早期発見、早期対応の取組」「指導体制の構築や指導計画の整備、家庭、地域との連携による道徳教育の充実」に努めるようお願いする。

▼体力の向上や運動習慣の改善を図る取組の充実

 管内においては、全国的な調査としては中止となった新体力テストにすべての学校が積極的に取り組み、子どもたちの状況をとらえ、改善方策を検討する検証改善サイクルの確立、子どもたちが主体的に体力向上に取り組むことができるよう、各学校が創意工夫を凝らした1校1実践の取組など、それぞれの課題や取り巻く環境に応じて効果的な取組が着実に進んでいる。

 今後は、これらの成果を踏まえ、「運動が苦手な子ども一人ひとりに応じた指導の充実」「学校外においても子どもたちが運動に慣れ親しむことのできる機会の設定」などが求められる。

 こうしたことから、「啓発資料の活用などによる体育や保健体育の授業改善」「家庭、地域が一体となった子どもの運動機会の設定」に努めるようお願いする。

 教育局として、「留萌地域いじめ問題等対策連絡協議会における協議を踏まえ関係機関が連携する取組の推進」「どさんこ☆子ども地区会議や各市町村が実施している子ども会議など、子どもたちが主体となった取組への支援」「学校教育指導訪問を中心に道徳教育充実の指導助言」「研修会の実施による道徳教育に対する教員の資質向上」「留萌市において実施している小学校体育エキスパート教員巡回指導事業をはじめとする各種指定事業の成果普及」などに努めていく。

【柱3 学びをつなぐ学校づくりの推進】

▼包括的な学校改善の推進

 管内においては、目指す子どもの姿を明確にしたグランドデザインの公表による学校経営方針の家庭、地域への浸透や、小・中学校合同での研修の実施、9年間を見通した学習規律の設定、コミュニティ・スクールを活用した学校と地域が一体となった学校運営、業務の見直しや部活動休養日の実施といった働き方改革が着実に進んでいる。

 今後は、これらの成果を踏まえ、「幼児教育と小学校教育との円滑な接続を図る取組の充実」「義務教育段階で身に付けた資質・能力を高校の学びにつなげる取組の推進」「教職員の学校運営への参画意識の向上による学校改善の推進」「各学校の実態を踏まえた働き方改革の一層の推進」「教職員の法令順守の徹底やメンタルヘルス対策」などが求められる。

 こうしたことから、「校種間連携など、幼・小・中・高の円滑な接続に向けた取組」「すべての教職員の参加によるカリキュラム・マネジメントの推進」「教職員の意識改革に北海道の学校における働き方改革の手引『Road』を活用するなど、学校の実態を踏まえた働き方改革」「事例に基づく研修の実施など、教職員の服務規律および法令順守の徹底、メンタルヘルス対策の充実」に努めるようお願いする。

▼学校安全教育の充実

 管内では、1日防災学校など、地域の実態に応じた避難訓練の実施や、通学路の安全マップを活用した交通安全教育の充実など、多岐にわたる学校安全教育に関する取組が着実に進んでいる。これらの成果を踏まえ、「実効性のある危機管理マニュアルに基づく学校安全体制の確立」「あらゆる災害を想定した防災教育の充実」「地域や関係機関と連携を図った交通安全教育の推進」などが求められる。

 こうしたことから、「危機管理マニュアルの見直しなど、地域と連携した地震や津波、台風から命を守る防災教育」「交通安全教室の実施や通学路の安全マップの見直しなど、地域と連携した交通安全に関する教育」に努めるようお願いする。

 教育局として、「留萌市において実施している学校力向上に関する総合実践事業における包括的な学校改善の取組への支援」「初山別村において実施している働き方改革推進事業における取組成果の普及」「定期的な危機管理マニュアルの見直しや改善に向けた情報提供や指導助言」「1日防災学校の実施に向けた継続的支援と好事例の発信」などに努めていく。

【柱4 学びを支え、活かす家庭・地域との連携・協働の推進】

▼地域創生に向けた地学協働体制の確立や取組の推進

 管内においては、総合的な学習の時間において、地域のよさや可能性について子どもたちの課題意識を明確にした学習の指導計画への位置付けや、地域への愛着や地域の将来を担う意識を醸成するための多様な体験活動が着実に進んでいる。

 今後は、これらの成果を踏まえ、「地域人材や企業、団体といった様々な主体との連携を一層深め、地域の可能性や課題を掘り起こし、地域課題探究型の学習を推進すること」「複雑化・多様化する教育課題に対応するためのポイントを絞った研修の実施」などが求められる。

 こうしたことから、「学校の魅力化や地域課題探究型の学習などによる地学協働体制の構築」「学びを地域創生に役立てる研修の実施や道民カレッジの参加促進」に努めるようお願いする。

▼家庭・地域との連携の推進

 管内においては全市町村においてコミュニティ・スクールが導入され、学校と地域が連携しながら地域の教育資源を存分に生かした体験活動の提供など、家庭や地域と連携した教育活動が着実に進んでいる。

 今後は、これらの成果を踏まえ、「保護者や地域住民の学校経営に対する参画意識の一層の醸成」「学校、家庭、地域それぞれが抱える課題を共有しながら解決策を模索し、子どもたちの学習環境を構築していくこと」などが求められる。

 こうしたことから、「コミュニティ・スクールの効果的な活用など、地域の教育力を活かした学校づくり」「望ましい学習習慣・生活習慣の定着」「家庭における読書活動の充実」に努めるようお願いする。

 教育局として、「局独自のオロロンリレーションプロジェクトの取組を一層加速させるなど、地域創生に向けた取組の支援」「PTA団体と連携しながら実施する子どもの望ましい生活習慣・学習習慣定着研修事業における生活習慣や学習習慣の改善に向けた取組の支援」「道内におけるコミュニティ・スクールの好事例の積極的な発信」「社会教育団体との一層の連携を図った取組の推進」などに努めていく。

 新型コロナウイルス感染症の収束がみえない中、先行き不透明な社会に生きる子どもたちに必要な力を確実に身に付けさせるためには、学校、家庭、地域社会、行政において教育に携わる者すべてが子どもへのかかわりをつなげ、広め、深めていくことが大切。

 また、ふるさとの未来を創る中心はこれからの時代を生きる子どもたちであり、そうした子どもたち一人ひとりにしっかりと向き合うなど、教育に携わる者すべての真摯な取組が試されるときでもある。

 教育局として、管内の子どもの健やかな成長を確実なものとするよう、市町村教委や学校との連携を一層強めながら、各種指定事業に対する支援や学校経営訪問および学校教育指導訪問の充実、さらには、教職員研修の質的向上など、全力を挙げて取り組んでいく。皆さんの理解と協力を重ねてお願いする。

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留萌局教育推進の重点図
留萌局教育推進の重点図(クリックすると拡大表示されます)

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