後志管内3年度教育推進の重点 質の高い学びを実現 川端局長 地道に取組重ね(道・道教委 2021-05-11付)
後志教育局・川端香代子局長
【小樽発】後志教育局の川端香代子局長は、4月16日オンライン開催の管内公立学校校長・副校長・教頭会議で、令和3年度管内教育推進の重点を示した。「全ての子どもに必要な資質・能力を育成する」をテーマに「安全・安心な居場所としての学校づくり」「全ての子どもたちの可能性を引き出す質の高い学びの実現」など5項目を設定。前年度より一歩進めるため、「取組を磨き、高めていくことを地道に積み重ねる」よう要請した。教育推進の重点の概要はつぎのとおり。
◆はじめに
前年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための臨時休業から1年間がスタートし、管内の市町村教委や学校では、これまで経験したことのない状況の中、感染症対策の徹底と子どもの学びの保障のため、知恵を絞り、力を出し合い、学校教育活動の継続に努めていただいた。
後志教育局では、本年度も、「全ての子どもに必要な資質・能力を育成する」ことを目指し、皆さんと一体となって取組を進めていきたい。
校長、教頭には、前年度、どのようなプロセスで学校全体の取組が実現できたのかを振り返り、例えば、校長が方針を明確に示したこと、校内の組織が機能したこと、ミドルリーダーが活躍したことなど、成功の秘けつを明らかにするとともに、学校全体で取り組んだことによる子どもの変容など、そのよさを教職員全体で共有していただきたい。それが、各学校の強みであり、つぎの学校改善へのエンジンになる。
こうしたことから、サブテーマを「学校全体の取組の充実」とし、前年度の成果を基盤として、さらに取組を充実させる視点を示す。
◆重点項目
【安全・安心な居場所としての学校づくり】
新型コロナウイルス感染症への対応が続く中、学校を安全・安心な居場所として保障し、子ども一人ひとりがその能力や適性に応じて、意欲をもって学びを深められるよう、魅力ある環境づくりを進めることが重要。
そのため、学校安全教育の充実と温かい学校づくりに取り組んでいただきたい。
▼学校安全教育の充実
管内においては、学校独自のガイドラインよる教職員の共通理解のもとでの感染症対策の徹底や、子どもが自ら考え、行動し、自分で身を守ろうとする力を身に付ける1日防災学校などの取組が進められている。 今後は、
▽正しい知識のもと、子どもが自ら感染リスクを判断し、これを避ける行動をとることができる指導の充実
▽保護者や地域の方々、関係機関との連携・協働による子どもの防災意識の醸成
―など、子どもの命を守り抜く取組の一層の充実に努めていただきたい。
▼互いを認め、尊重し合う温かい学校づくり
管内においては、友だちへの感謝の気持ちを掲示して共有したり、子どもを認め励ます教師の声かけについて研修するなどの取組が進められている。
今後は、
▽子どもが自分のよさや可能性を認識し、多様性を尊重する態度を育む指導の充実
▽子どもの成長やつまずき、悩みなどの理解に基づき、意欲を高める教師のかかわり
―など、子どもの自己有用感を高め、いじめのない学校づくりに向け、取組をさらに進めていただきたい。
【全ての子どもたちの可能性を引き出す質の高い学びの実現】
社会が劇的に変化する中、すべての子どもたちに必要な資質・能力を育むため、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させることが重要。そのため、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善、学習規律の徹底に取り組んでいただきたい。
▼授業改善
管内においては、課題解決型の授業展開に全校で取り組んだり、臨時休業中の経験を生かしてオンライン学習の仕組みを構築するなどの成果がみられる。
今後は、
▽子どもの学習内容の定着状況を丁寧に把握し、単元や1単位時間の指導に生かすカリキュラム・マネジメントの充実
▽課題提示、交流での協働的な学びなどの学習過程に応じ、子どもの柔軟な発想も生かした1人1台端末の効果的な活用
▽子どもの学びを深め、広げる遠隔授業の実施
―など、子どもたちの可能性を引き出す質の高い学びの実現に努めていただきたい。
▼学習規律の徹底
管内においては、市町村として目指す子どもの姿を明確にして学習規律の徹底に取り組むなど、学習の基盤づくりが進められている。
今後は、
▽子ども自身が定着状況を振り返り、新たな目標を設定するなど、主体的に取り組む態度の育成
▽学習の進め方(学習計画や学習方法)について子どもが振り返り、調整する力を身に付けさせる指導の充実
―など、学びに向かう力の育成に取り組んでいただきたい。
【質の高い教育活動を持続的に行う働き方改革の推進】
学校における働き方改革の目的は、教員のこれまでの働き方を見直し、自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人間性や創造性を高め、子どもたちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになることで。学校経営におけるマネジメントそのものである。
管内においては、在校等時間の客観的な把握、ワークショップの実施による教員の意識改革と主体的な取組の促進などが着実に進められている。これらは、学校における働き方改革「北海道アクション・プラン(第2期)」で重視する視点とされている個の気付きやチームの対話につながるもの。今後一層、実効性のあるものとするとともに、
▽働き方改革の趣旨や取組の保護者等への積極的な情報提供による理解・協力の醸成
▽ICTを積極的に活用した業務の推進
―など、手引『Road』も活用し、働き方改革の理念を一層浸透させていただきたい。
【子どもの学びをつなげる学校間の連携・接続】
生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育と小学校教育の接続、小・中9年間を見通した指導体制の構築、義務教育で培った資質・能力をさらに発展させる高校教育など、学校種間の連携・接続は、教育効果を高める有効な取組と考えている。
管内においては、前年度、すべての市町村で小中乗り入れ授業が実施され、また、小・中・高校が連携した英語教育など、学校種間の連携・接続が着実に進んでいる。
今後は、
▽今後導入が予定されている小学校における教科担任制も見据えた乗り入れ授業の実施
▽地域課題や地域の魅力を学び、発信し、行動する力などを育む小・中・高校における系統的な総合的な学習(探究)の時間
―など、子どもの学びを円滑につなぎ、豊かな成長を促す取組を一層進めていただきたい。
【子どもの成長を共に支える家庭・地域との連携・協働】
学校・家庭・地域などが、子どもたちの状況や地域の課題を共有し、その解決策を共に考え、実践する活動を通し、子どもたちの健やかな成長を促すとともに、地域への愛情や地域の将来を担う意識を醸成することが重要。
管内においては、家庭教育サポート企業や地域の様々な専門性を有する人の協力による学習支援が進められている。
今後は、
▽コミュニティ・スクールの導入促進と機能の充実
▽子どもと大人による地域課題解決の取組
―など、将来、地域のリーダーとしての役割が期待される子どもたちの成長を共に支える取組の充実に努めていただきたい。
なお、家庭や地域と協働を進める上でも、信頼を損なう行為や事故はあってはならない。引き続き、服務規律の厳正な保持に取り組んでいただきたい。
◆おわりに
後志管内のシンボルである羊蹄山に、いくつもの登り方があるように、学校が目的に向かっていく道筋も様々であるため、校長には、変化を前向きに受け止めつつ、一歩先に進むための切り口を見極め、どこまで、どのように進んでいくのかを自ら示したり、ときには、教職員の発想を生かしながら、取組を磨き、高めることを地道に積み重ねていただきたい。
また、さらなる充実の視点として挙げた内容は、「令和の日本型学校教育の構築」と軌を一にするものであることから、取組を新しい時代に求められる教育の実現につなげていただきたい。
後志管内の1校1校が教職員一体となって、よりよい方法で学校改善を加速化できるよう、義務教育指導監、指導主事等によるきめ細かな学校支援や管内外の好事例の紹介に努めていく。
後志管内のすべての子どもがふるさとに誇りと愛着をもち、たくましく成長できるよう、管内教育の充実・発展に全力で取り組んでいくので、理解と協力をお願いする。
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(道・道教委 2021-05-11付)
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